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・プラモデル製作入門 <第8回> 筆塗りにチャレンジ
 かつて作ったことがあるはずなんだけど、知っているようで知らない、プラモデルや模型の作り方。この特集では、今さら人には聞けないと思っている方や、これからプラモデル作りを始めようという方へ、プラモデルの基本テクニックを、初歩の初歩から順を追って解説いたします。

 前回は塗料の種類について学びました。今回はプラモデル塗装の実践編です。代表的な塗装方法には、筆塗りとエアブラシ塗装の2種類がありますが、まずはエアブラシ塗装よりもハードルが低い、筆塗り塗装をご紹介します。

 筆塗りは、エアブラシをメインで使う場合も必要になってくるので、この特集でしっかり覚えておきましょう。上達するとハイレベルな表現が可能になります。



今回使う主な道具

 必要な道具は、塗料、筆、塗料皿、溶剤、スポイト、調色スティックなど。筆は材質や穂先の形状などで価格が異なりますが、一般的に価格が高くなるほど穂先の持ちが良く、ばらけたり、毛が抜けにくくなる為、塗装もしやすくなります。

 皿は専用の物もありますが、使わなくなった陶器の皿でもOKです。調色スティックは金属棒なら何でも良さそうですが、専用の物の方が使いやすいのでオススメです。スポイトは100円均一のものでもOKです。溶剤を使いますので消耗品となります。もちろん塗装するプラモデルキットも必要です。

筆の種類

 筆の穂先には種類があって、写真左から斜筆、平筆、丸筆、面相筆です。広い面積を塗るには平筆がいいのでしょうが、プラモデルの世界では面相筆で広い面積を塗装することもあります。これは好みの問題だと思いますので、ご自身でどれが合うのか試してみてください。

 模型の塗装で斜筆を使っている方は少ないかもしれませんが、塗装する場所によっては意外と便利だったりします。自分の使いやすい筆を探すのも楽しみの一つです。

塗料皿について

 金属製の丸い皿(写真手前)が昔なじみのいわゆる万年皿ですね。筆者も子供のころから愛用してきましたが、この皿は軽いのでひっくり返すことがあり、いろいろと試行錯誤して結局陶器の皿(写真奥)を使っています。

 100円均一の安いものですが、パレットのようになっていて気に入っております。絵画用で言うと梅皿というやつです。かなり色がこびりついていますが、パレットは洗わず、そのまま使い続けています。そのため何枚か持っているわけです。塗料はラッカー系を使っていますが、固まった塗料も溶剤で溶かすことができます。

その他、あると便利なもの

 塗料は結構こぼしたりしますので、この上で作業するといいです。菓子箱のフタですよねこれ。結構使っていてコテコテです。万年皿をここでひっくり返しているわけです。それとこれも100円均一で売っている小さなバケツです。筆を洗う際に溶剤を拭き取ったティッシュなどはここに放り込んでおきます。作業が終わった後も溶剤が揮発するまでここで放置してから捨てています。

部屋をキレイに

 塗装時のホコリは大敵です。塗装している際に付くホコリは乾いてから削るなど処理が必要で、不要な手間がかかってしまいます。出来ればホコリが立たないようにキレイにしておきましょう。また、塗装する机の上と下に新聞紙を敷いておくと、万が一塗料をこぼしても床や絨毯を汚さずに済みます。実は万が一ではなく、結構こぼします。筆者自身も経験済みです。できれば服装も汚れてもいいものにします。

しっかり換気を

 塗装ブースがあれば一番いいのですが、窓を開けるか、換気扇で換気します。扇風機なども活用してください。エアコンにも換気機能があったりしますので確認してみてください。溶剤をあまり吸い込むと身体にはよくありませんのでしっかりと換気を。締め切って風が通らないところでは塗装してはいけません。

キットを洗います

 塗装する前に準備を行います。プラモデルは金型に樹脂を流し込んで作るのですが、プラパーツと金型を剥がしやすいように離型剤を使用していました。離型剤は塗料を弾いてしまいます。古いキットを製作する際や海外メーカーの製品は離型剤を落とすために一旦プラパーツを洗います。台所洗剤など中性洗剤を使用して洗えばOKです。日本製で新しいプラモデルはそのまま塗装しても大丈夫ですが、ウェットティッシュなどで軽く拭いておくと安心です。また、レジンキットなどは、新しい製品でも必ず洗ってください。

今回のキットは・・・

 今回塗装するキットは、「ハセガワ 1/72 VF-11B サンダーボルト(マクロスプラス)」です。架空の戦闘機ですが、抜群のフォルムでとてもカッコイイです。すでに組み立て終わってクリアパーツ以外はボンドで固定されています。パーツを分割して塗装すると更にキレイに仕上がりますが、全部組み立ててから塗っても全然大丈夫です。はじめて作る場合は、とにかく全部組み立てましょう。

使う塗料

 塗料は前回ご紹介した、ラッカー、水性アクリル、エナメルなど、どれを使ってもいいのですが、今回はラッカー塗料を使います。プラモデル作りには定番のクレオスのMr.カラーです。とても乾きが早く、塗膜が強いので扱いやすいです。取り扱い説明書には使用するカラーが載っているのですが、かなりたくさんの種類が記載されています。指定されているカラーを使うとより良いのですが、近いカラーがあれば混ぜて使うこともできます。

よく混ぜます

 塗料はフタを開けると、アクリルと溶剤で分離しています。調色スティックなどでしっかりと混ぜてください。「ペイントミキサー」という電動の攪拌機もあります。しっかりと混ぜておかないと本来の色味が出ないことがあります。ついやってしまいそうなのが筆で混ぜることです。筆を傷めたり、中で毛先が抜けたりしますので止めた方が無難です。

塗料を取り出します

 塗料は先ほど混ぜたスティックでパレットに少しずつ取り出して使います。スティックに付いている塗料も筆でキレイに取って使いましょう。塗料は、そのままでは濃度が高いので希釈(薄める)します。薄めることで筆塗りを滑らかにします。希釈の比率は前回の塗料をご紹介した際に記載しましたが、今回は筆塗りの比率を参考に掲載しておきます。

  • 希釈の比率・・・ラッカー系1:1〜1.5、水性アクリル1:0.0〜0.5、エナメル1:0.5〜1.0(※数値は 塗料:うすめ液)


  •  揮発していると更に薄める必要がありますので、あくまで感覚的なものです。塗料が塗りやすいと感じるところまで薄めてください。薄め過ぎても問題はありませんが、濃すぎるのは塗りにくいので問題有りです。比率に関しては、メーカーカタログなどに記載している数値を参考にしています。状況に応じて何十倍にも薄めて塗ることがあります。

    塗り始めます

     最初は塗りにくそうなところから塗っていきます。塗りにくそうなところは暗い部分が多いと思いますので、機体の基本色より暗い目の色を塗っておこうと思います。隙間とか裏側も全部これで塗っておきました。筆は面相筆を使っています。一通り陰や見えにくいところを塗り終わりましたらメインの機体色を塗っていきます。

    基本色を作ります

     説明書によると機体の基本色は混ぜて作るということなので、FS16440にレッドブラウンを少々混ぜていきます。写真ではレッドブラウンが無かったので艦底色を混ぜています。FS16440は3本もあったので、ある程度使っている1本に混ぜて使います。混ぜる場合に注意する点は、薄い色に対して、濃い色を少しずつ混ぜていくのが大前提です。ほんの少しずつ混ぜて調子を見ていきます。逆に濃い色に薄い色を入れてもなかなか混ざりません。

     FS16440が無ければグレーを自分の好きなように混ぜて作ってみてください。ここも注意点として、機体のような大きな面積を塗る際に、混ぜた塗料は多めに作っておいてください。一度混ぜた塗料をもう一度作ることは不可能なので、全部塗り直すことになります。作った色味がどんなものか後でわかるように、フタに少し色を塗っておくといいです。何の、どのモデルに塗ったのかも書いておけば一番いいですね。作った色を保管するに便利な「スペアボトル」もあります。

    機体を塗る筆は・・・

     出来上がった塗料をパレットに取り出し、溶剤で濃度を薄くしておきます。かなり薄い目にしてください。今回は表面積が広いので幅の広い筆にしました。平筆に見えますが、斜め筆です。穂先が斜めにカットされていて、先を使うと細かいところも塗れたりします。広い面積でも面相筆で塗られる方もおられますのでいろいろ試してみてください。

    機体色を塗ります

     いよいよメインの機体表面の塗装です。どのように塗りましょうか。本当は自分の好きなように塗るのが一番だと思います。しかし、意識した方がいい部分はあります。

  • 塗料はかなり薄める
  • 筆に少しだけ取る
  • 返し筆せず一定方向に塗る
  • 何度も同じ場所を塗らない


  •  これらを意識すると、より塗りやすいかと思います。一番失敗しやすいのが、一回で塗料を塗ってしまおうとすることです。プラモデルは一回でべた塗りすると表面が波打ったり、乾かなくなったりするので注意が必要。塗料を薄く、何度も重ねて塗ることでキレイな色になります。

    筆の運び方

     昔から縦、横、斜めと順番に塗っていくと筆ムラが無くなるといいます。機体部分(面積の広い部分)はそのようにして塗ってみました。縦方向に塗装 → 乾燥 → 横方向に塗装 →乾燥 さらには斜めにも筆を入れます。とは言え、なかなかこのように塗れるところばかりでは無いはずです。これも一つの方法なので、いろいろやって自身の塗り方を見つけてください。とにかく筆を返さずに一定方向に流していくのがコツです。

     ラッカー系の場合は、順番に塗っていくと最初の場所が乾いてきますので、同じ色ならすぐに塗り重ねていくことができます。アクリルやエナメルの場合は少し時間を置きます。違う色を載せる場合は1日以上乾燥させてから塗装します。1日で終わせようとせず、時間を掛けてじっくりと塗装すると上手くいきます。

    筆ムラをリカバリー

     このような筆ムラが付くと、一旦乾燥させてから紙ヤスリで削り落とします。その後再度塗っていくことになります。あまり波打っていないところも、ペーパー掛け、塗装を繰り返すとかなり滑らかな塗膜を作ることができます。また、ホコリが載ってしまった場合も、紙ヤスリで削ります。番手は1500〜2000番くらいのかなり細かいものを使います。

    基本色が塗り終わりました

     機体の基本色を塗り終わりました。これで全体的に6回くらい塗っています。これくらい塗ると大丈夫だと思いますが、しっかりと全体を見回して色乗りが悪い場所がないか、よく確認します。特にムラを消したり、平らにしていませんが、個人的にこれくらいで充分だと思います。

    主翼のアップ

     主翼のアップです。縦、横に筆を走らせています。光っている部分を見ると筆の跡が少しわかります。これも消してしまいたい場合は、2000番以上の紙ヤスリでソフトに掛けます。後はコンパウンドで磨きます。

    他の色を塗り重ねます

     基本になる機体色は塗れましたので、他の色も塗っていきます。かなり薄いブルーを塗っていきます。(指定色より明るい色で塗っています)筆は面相筆に持ち替えました。違う色を塗り重ねる際に気をつけたいところは、下地を溶かさないように塗ることです。何度も筆を擦ると下地が溶けて違う色になります。(下地が泣く)それはそれで良いときもあるのですが、今回は出来るだけ下地が溶けないようにします。

     筆運びは、筆を置いていく塗り方です。機体は筆を流して塗りましたが、今回はパネルラインをトレースする以外は筆をポンポンと置いていくだけです。この方法なら擦らずに済むので下地は溶けません。筆は穂先を並べていくように塗っていき、重ねる際は、その間を埋めるようにしていきます。

    重ね塗り完了

     色を置いていくと、こんな感じで仕上がります。塗料の濃度が濃くなると筆の跡がつきやすくなりますのでご注意を。よく見るとまだ少し色の薄い部分があります。前回ご紹介したリターダーを使うと乾きが少し遅くなる分、平滑になります。

    せっかくなのでもっと塗ります

     オレンジの部分は本来デカールがあるので塗らなくてもいいのですが、こちらも合わせて塗ってみます。ラインを引くには穂先が細くて長い目の筆を使うと引きやすいように思います。先っぽで書くよりは、筆の幅一杯に引きずる感じで塗るとブレにくいです。

    できあがり

     上部のオレンジも黒い部分もすべて筆で塗っています。マスキングといって、紙テープで塗りたくないところを隠して塗る方法もありますが、とても面倒なのでフリーハンドで塗っています。フリーハンドで塗ると失敗したらどうしようと思うかもしれませんが、リカバリーすればいいので失敗はありません。どこまでリカバリーを丁寧に行うかだと思います。
    クリアパーツは後から

     すべての塗装が終わってからクリアパーツを付けます。木工ボンドで今付けたところなので少し白くなっていますが、乾くと透明になります。塗膜が厚くなっているとパーツが合わなくなりますので、その場合は少し削ってから付けます。木工ボンドは簡単に取れないですし、水を付けるとすぐに外れるという優れものです。固まった後は透明になってくれますのでプラモデルでも使えます。

    機首

     キャノピーも筆塗りです。透明パーツははみ出したくないところですので気をつけて塗ります。はみ出したら乾いてから紙ヤスリでとコンパウンドで磨くとリカバリーできます。カナードの部分もキレイに塗れているように見えます。パイロットは機体を塗っている最中に余った塗料を適当に塗っています。

    側面

     少し尾翼部分の色乗りが悪い感じです。キチンとチェックするのが漏れていたようです。機体下部は少し複雑な形状をしているので、見えている部分だけを塗っている感じです。それでも見た感じは問題ないと思います。

    上部

     こうやって少し遠目で見るとまったく筆塗りでも問題ないように思います。一部デカールの部分も塗装してしまったのですが、残りのデカールとスミ入れをすれば本当の完了です。今回は筆塗装なのでここまでにしておきます。

    ガンプラも筆塗り

     ガンダムのプラモデルは子供の時から親しんでいる旧キットです。今でもリーズナブルな価格でリリースされています。簡単に組み立てられて塗装を楽しめます。いろんな塗装を楽しむのにもってこいですね。また面積の広いアッガイやズゴックなんかを手元に置いておくと色味を見るのに使えます。ちょくちょく試し塗りするのです。

    筆塗りと言えば・・・

     SF3Dから始まったマシーネンクリーガーシリーズは筆塗りの代名詞です。写真は「ナッツロッカー」といって、かなりの大型モデルですが、これも筆で塗っています。これもまたご紹介できたらと思います。

    手入れ

     塗料皿は普段洗わないでそのまま放置しています。もうダメだと思ったら台所用漂白剤にしばらく浸けてから洗います。ちょっと擦れば剥がれていきます。



     プラモデル塗装の基本は筆塗りです。突き詰めていくと、どんどん面白くなってきます。今回は基本的な塗り方をご紹介しましたが、プロが製作しているものを見るとかなりいろんな技術、手法が盛り込まれています。キレイに塗ってみたり、絵画的に塗って見たり、いろいろ試してください。

     プラモデルの箱絵はプロが描いた物も多いのですが、これを参考に塗ってみても面白いでしょう。一色で塗るだけでなく、陰の部分は陰の色を塗ってみたり…、明るいところはベースの色より明るく塗ってみたり…、自分の感性で塗ってみてください。見たまま、感じたまま塗ってみます。そうこうしていると作るより、塗る方が楽しくなってきたりします。筆塗りをすると個性が出やすいです。他の方とちょっと違う物が出来上がると愛着も湧きます。道具も揃えやすいのでお気軽にチャレンジしてください。


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      --- E N D --- 2013/1/29 公開(ガルダン

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