徹底活用 ビデオカメラ

差をつける撮影テクニック

 誰でも手軽に撮影できるのがビデオカメラの楽しいところ。でもどうせ撮るなら「撮影が上手ですね」と言われたいものです。
 このページではほんのちょっとの工夫で、仕上がりがぐっと変わってくる撮影テクニックを集めてみました。ビデオ撮影が初めての方は、まず[初級]と書いてある部分を実践してみて下さい。

[初級] カメラを安定させるのが、上手な撮影の第1歩

 アマチュアカメラマンとプロの一番の違いは、画面が安定しているかどうか。三脚を使用するのが上手に見える一番の近道ですが、三脚はなかなか持ち運ぶのも取り回しも大変。というわけで、三脚を使わない撮影の時は脇をしっかり締めて、両手を使ってカメラを安定させて撮影することをおすすめします。
 木や壁がある場合は寄りかかって撮影する、固定されたものはとことんもたれて利用するという作戦が有効です。細かいことですが、ビデオカメラのグリップはマジックテープで固定するようになっているので、手の大きさに合わせてきちんと調整しておきましょう。
[初級] カメラを一切動かさない

 始めてビデオカメラを手にしたら、ついついカメラをぐるぐる振り回して撮影してしまうもの。これはふだん目で物を見る時と同じようにカメラを動かしてしまうのが原因ですが、テレビを通してこの映像を見せられたら間違いなく目が回ってしまいます。
 そこで初心者の方におすすめしたいのが「カメラを一切動かさずに撮影する」というテクニック。もちろん撮影中のズームも厳禁で、被写体が画面から出ていってしまったら一旦テープを止めましょう。これだけの事でぐっと見やすいビデオが仕上がる上に、あらかじめ被写体の動きを読んでカメラの構図を決める癖もつきます。慣れてきたら、カメラの動かし方を徐々に勉強しましょう。まずは「カメラを動かさない撮影法」を試してみて下さい。
[初級] シーンはカットでつないでいく

 テレビドラマや映画を注意して見ればわかりますが、ひとつのシーンでもいくつものカットに分割されています。二人の向かい合った人物が話し合うシーンでは、話し手が変わるたびにカットが変わる場合も。さすがにここまで細かいカット割りは無理ですが、場面をつなぐ時はカメラをだらだら動かすのではなくばっさりとカットしてつないでいった方が見やすい画面ができることを覚えておきましょう。テレビや映画のカット割りはプロの技ですので、意識して見ておくと勉強になります。
[初級] ワンシーンは最低4~5秒は撮影する

 長すぎるカットも考え物ですが、逆にワンシーンが1~2秒というのも見ていて疲れるもの。特に何が映っているかわからないうちにどんどんシーンが切り替わっていったのでは、見ている方もストレスがたまってしまいます。ビデオカメラのファインダー内には幸いデジタル時計が内蔵されているので、撮影ボタンを押したらカウンターを数える習慣をつけておきましょう。ワンシーンの目安は動かない被写体でだいたい5秒。編集を前提に撮影するのであれば、7~8秒くらい撮っておけば後で加工しやすくなります。
 余談ですが、ビデオカメラのマイクは感度が良いので、撮影中にカウンターの数字を声を出して読み上げるとしっかり録音されてしまいますよ。
[初級] 太陽を背中にして撮影する

 屋外で撮影する時は、日差しが強いので逆光だと表情とかが真っ黒になってまったく見えなくなってしまう事もあります。これを防ぐために、常に太陽の位置を気にする習慣をつけましょう。基本は太陽を背中にして撮影することで、これを守れば初心者でもまず失敗のない撮影ができます。子供が走り回る場合もできるだけ太陽を背にするようにカメラマンがこまめに撮影位置を変えること。建物が撮りたい時など、どうしても逆光になってしまう場合はビデオカメラについている逆光補正ボタンを押してみましょう。ただしこれは無理矢理露光をオーバー気味にする機能ですので、陰になっている部分は露出が合いますが明るい部分は露光オーバー(ギラつき気味)になることを覚えておきましょう。
[初級] 人物の目の高さで撮影する

 ビデオカメラは正直なもので、大人の目線で撮影すると大人が見ているような画面に、子供の目線で撮影すると子供の見ている画面になります。お子さまを撮る場合は、子供に話しかけるように子供の目の高さで撮影するように心がけましょう。
 同様にペットを撮影する場合はペットの目線で、犬や猫を撮影する場合は地面すれすれにカメラを持って液晶モニターで見ながら撮影するようにすれば、犬や猫の世界に入り込んで撮影することができるのです。
[初級] ズームは可能な限り、広角側にして撮影する

 8倍や12倍など、強力なズーム機能を持っているのがデジタルビデオカメラ。特に遠くの物が大きく見える望遠側はついつい使ってみたくなるもの。ところが強力な望遠はブレやすく、カメラをちょっと動かしただけでも画面は大揺れを起こします。望遠は三脚と組み合わせて使うのを前提にして、なるべく必要最小限におさえるように心がけましょう。ズームは可能な限り広角側にして、近づいて撮れるものはできるだけ近づいて撮影するのがブレのない美しい画面を撮影するコツです。
[初級] 看板や建物など、場面の移り変わりがわかるカットを撮っておく

 テープを再生してみたら、だらだらと同じようなシーンが続くばかりでどこへ行ったのか全然わからないビデオになっていた。そんな経験はありませんか? 特に室内撮影が続く場合は、建物や部屋が変わっても見ている人は気づかない場合が多いものです。
 移動したり場所を変わったりしたら、建物の全景や入り口・あるいは移動中の乗り物の中でもビデオを回すような習慣をつけましょう。そうすればメリハリのきいた、流れのわかるビデオ作品ができあがります。お子さまの成長記録でも、日がかわるたびにお家の外観や外の景色などをワンカットずつ挿入するようにすれば、時間の経過が表現できます。
[中級] カメラを動かす時(パンニング)は、前後で約5秒停止する

 カメラのフレームに入りきらないような巨大な風景をおさめるのがパンニング。ただカメラを動かせば良いように思いますが、意外と難しいテクニックです。まずはどこからどこまでをカメラにおさめるのか、その中で一番見せたいものは何かを考えながらカメラを動かす範囲や方向を決めます。重要なのは撮影をはじめる位置と終える位置。ここには必ず見せたいものを入れて、5秒弱カメラを止めるようにしましょう。特にパンニングが終わってカメラが止まった場所に何もなかったら、見ている人は肩すかしをくらってしまいます。
 もうひとつ重要なのは、カメラはゆっくりとなめらかに動かすこと。ここでも三脚を利用すれば成功する率が高くなります。上級テクニックですが、最初と最後の被写体を強調したい場合は両者の間を猛スピードでパンニングするという技もあります。これは最後に見せたいものの場所でカメラがぴたっと止まるかどうかが、成功のポイントでしょう。
[中級] ズームイン・ズームアウトはゆっくりと

 全景からはじまって、徐々に見せたいものへ画面が迫っていくのがズームイン。何をズームインするのかを決めて、確実にズームアップしていくのが成功の秘訣。パンニングと同じく、前後に5秒前後カメラを止めるのと画面が見やすいようにゆっくりズームするのがポイントです。全体と部分が連続してつながるので、うまく利用すればわかりやすい絵作りができるテクニックと言えるでしょう。
 逆に要注意なのが逆方向に動かすズームアウト。印象が強いカットが出来上がりますが、それだけに多用するとしつこく感じるようになります。アップにした映像よりも、全景の方を見せたい場合に使うテクニックであると覚えておきましょう。
[中級] タイトルやBGMを挿入するだけで、作品がワンランクアップ

 パソコンを使ったビデオ編集が身近になったおかげで、タイトルや字幕・BGMが手軽に入れられるようになりました。手間はかかりますが、これらを処理することによって作品の値打ちがワンランクもツーランクも上がります。
 忙しくて編集を行う時間がない場合は、せめてビデオごとにタイトルぐらいは挿入するようにしましょう。タイトルがあるだけでも、作品の雰囲気ががらっと変わります。パソコンを使わなくても、おみやげの小物を並べたりビデオカメラのタイトル挿入機能を使うだけでも、手軽にタイトルを作ることができます。