プロジェクター豆知識

 プロジェクターによるホームシアターの魅力は、一言で言うと他のAV機器では真似のできない圧倒的な大画面による迫力の映像でしょう。
 一般的なプロジェクターの設置例では、80インチか100インチが最も多く、最小で40インチ前後のサイズからピントが合い、100~120インチ程度までの画面サイズが守備範囲といえる。中級機以上になると、 150インチ以上のビッグサイズでの視聴も楽しむことが可能です。
 より映画の雰囲気を盛り上げるために、部屋を暗くして日常空間から切り離して楽しめば映像にドップリと浸る事も出来、映画を見た後のあの満足感を堪能出来ます。

どのくらいの広さが必要?

 大きな部屋が必要だと思われがちなプロジェクターですが、画面サイズが手軽に可変出来るため意外と小さな場所でも楽しむことができます。例えば80インチの投影であれば一般的なプロジェクターの場合でも6畳の部屋で設置可能ですし、広角レンズ搭載モデルであれば条件さえ揃えば100インチも設置可能。ただし、スクリーンからの視聴距離を考えて必要以上に大きなスクリーンはお勧めいたしません(6畳では80インチで十分です)。
 プラズマや液晶テレビだと画面サイズを変更することは不可能ですが、プロジェクターだとスクリーンさえ買い換えれば部屋の広さに合わせてステップアップできるのも魅力です。
 
ハイビジョン対応か、DVD画質か?

 最近のプロジェクターでは、ハイビジョン入力ができるものが増えてきました。入力端子にHDMIやD4端子を備えたものがそれで、ハイビジョンチューナーやハイビジョン対応レコーダーを接続することにより非常に緻密で美しいハイビジョン映像を楽しむことができます。100インチを越える大画面となると、映像の善し悪しは素人目にも見分けられるほど顕著になります。特にプロジェクターでハイビジョンと現行画質(DVDなど)を見比べると、その差には驚かされるはずです。ご予算が許す限り、ハイビジョン対応のプロジェクターがおすすめです。

 例外なのは、エプソンから発売中のDVD一体型プロジェクターEMP-TWD1。現行画質の製品ですが、DVDプレイヤーとアンプ・スピーカーを内蔵しているので、電源ケーブルをつなぐだけですぐに見ることができます。これだけ設置が簡単なプロジェクターは、他にはないでしょう。主に楽しむ映像がDVDだけというのであれば、検討してみる価値があります。
 
ズームとレンズシフトがあれば、設置は自由自在

 スクリーンの位置が決まれば、プロジェクターを置く位置は自然に決まってしまう…というのは昔の話。実際は家具があったりしてなかなか思うように置き場所が確保できない場合が多いものですが、最近のプロジェクターでは調整次第で必ずしもスクリーンに正対していなくても映写が可能になっています。

 その手段のひとつが、光学式ズーム。ズーム付きの場合はある程度の範囲で画面の大きさを調整できるので、プロジェクターの前後の置き位置が自由に設定できます。もうひとつ書かせないのが、レンズシフトと台形補正。レンズシフトを使うと、スクリーンの正面にプロジェクターを置く位置が確保できなくても、少々ずれていても画面を映すことができます。また映像の両端がスクリーンに対して斜めになっている場合は台形補正が便利。この3つの機能を備えたプロジェクターであれば、スクリーンにぴたっと画面を合わせて映写することが可能です。
 
部屋を真っ暗にしないと見えないの?

 最近は明るいプロジェクターも次々発売されているので、完全な真っ暗にする必要はありません。例えば輝度が800ANSIルーメン以上あるプロジェクターであれば、若干暗めの部屋であれば映像を楽しむことはできます。明るい部屋用のチューニングである「ダイナミック」「ビビッド」といった画面モードを持った機種も増えています。

 ただし暗くすればするほど映像の鮮明さや色の濃さが増しますので、できることであれば部屋は暗くした方が良いでしょう。直射日光(迷光)が入る部屋であれば、雨戸を閉めるかホームセンターなどで売っている遮光カーテンに交換すれば良い結果が得られます(遮光3級~1級)。スクリーンにも、真っ暗な部屋用を想定したモデルもありますが、迷光(外光)の影響が出にくいリビングルーム用モデルも発売されているので、設置条件に応じて選択することである程度の明るさは克服出来ます。
 
設置は自分でできますか?

 プロジェクター本体の設置方法には、テーブルなどの上に置く卓置きと天井からぶらさげる天吊りがあります。卓置きの場合は、プロジェクター専用台やテーブル、ラック等に乗せて電源と映像ケーブルを繋ぐだけですので特に問題はありません。最新のプロジェクターのレンズシフト機能を使えばスクリーンに対してプロジェクターを上下左右にオフセットした位置への設置も可能となっています。ただし天吊り設置の場合は、落下の危険や配線の問題がありますので専門家による工事を依頼したほうが無難でしょう。

 スクリーンに関しては、巻き上げ式は重量があるので注意が必要ですがしっかり取り付ければ日曜大工でも可能です。
 軽いフラットタイプや壁掛け式であればカーテンレールを利用したり、壁にフック掛けするだけですので誰でも手軽に取り付けられるでしょう。
 最近では、最も設置が簡単な、置くだけの引き上げ式のスクリーンも多数発売されているので、必要なときだけスクリーンとプロジェクターを設置する簡易方法でもごく短い時間で設置が完了し、設置が面倒で視聴意欲が削がれることはありません。
 
予算はどれくらい必要?

 現在液晶プロジェクターの人気機種は約10~20万円前後です。10万円クラスはDVD映像画質まで、20万円クラスになるとハイビジョン映像の投射が可能となります。プロジェクター本体以外では、スクリーンと音を出すためのオーディオ(シアターセットが便利)が必要です。
 スクリーンは80インチを例にすると、簡易型の壁掛けスクリーンで約2万円弱から、巻き上げ式や引き上げ式のロールスクリーンで約4万円から、あこがれの電動タイプでも約5万円から発売しています。
 DVDシアターセットはピンキリで約2万円の普及タイプから、数10万円以上の高級タイプまで揃っていますが、始めは2cHからとか、スーパーウーファーは後から等々、計画的にステップアップして完成させる方法も可能です。
 
スクリーンの周りの黒い縁取りは必要?

 これは「マスク」と呼ばれている部分で、投影されている光以外の部分は暗い方が画質が良く感じると言われている。特にエッジ部分の画像が引き締まって全体的にもピントの合っている画像と感じます。お安いモデルではこの「マスク」が省かれているスクリーンもありますが、映画など長時間の視聴の場合は特に、常に周辺部がぼやけて感じるため疲れやすいので注意が必要。
 
スクリーンのかわりに白壁に写せないの?

 映らなくはありませんが、画質や発色がおかしくなる上に妙な反射などがあったりして、プロジェクター本来の性能を発揮することができません。最も安いマット系のスクリーンの表面にも計算されたシボ加工がされており、反射光を均等にしたり(スポット光も目立たない)、液晶のドットが目立ちにくい特徴を備えていますし、表面の平面性を保つために上下でテンションをかけたり等々、プリジェクターの性能を維持発揮させるための機能が備わっており、スクリーンを設置するメリットは大きいのです。
 最近のプロジェクターの明るさは十二分なため、スクリーンのゲインを高めて明るさを補うという発想は現在はありません。