2024.01.19
Joshin 試用レポート
高級イヤホンメーカーのエントリー機 qdc『SUPERIOR』は、有線イヤホン入門機におすすめ!



qdc ダイナミック密閉型イヤホン SUPERIOR(スーペリア)
「普段聴いている音をグレードアップさせたい!」そんな方におすすめの有線イヤホン、qdc『SUPERIOR(スーペリア)』をレビューします!
多くの高級カスタムIEMを手がける「qdc」の技術を盛り込んだエントリー機で、快適な装着感とどんなジャンルにもマッチする高音質が、手の届きやすい価格帯で楽しめますよ。
個人的に「ここから本格オーディオにハマる方も多いだろうな」と思う、イヤホン入門機にピッタリな1本です。 ライター:もあ
qdcのエントリーユニバーサルIEM「SUPERIOR」
セット内容 | 本体、SUPERIOR Cable 3.5mm3極アンバランス、ソフトフィットシリコンイヤーピース:3ペア(S/M/L)、ダブルフランジシリコンイヤーピース:3ペア(S/M/L)、クリーニングツール、オリジナルキャリングケース |
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質量(約) | 片方 6g(ケーブルを除く) |
ケーブル | 高純度無酸素銅4芯ケーブル(約120cm) |
『qdc』は繊細な音を鳴らす音質特化モデルから、クリエイター向けのものまで、数多くのカスタムIEMを手がけるオーディオメーカー。
種類は豊富ですがほとんどが10〜30万円の高級機で「手が届かないけど憧れ」という方が大勢いるイメージの強いブランドです。
そんなqdcが「qdcの音をもっと多くの方に体感していただきたい」との思いで作り上げたのが、1万円クラスのエントリー機『SUPERIOR』。
安価ながら、カスタムIEMメーカー特有の抜群の装着感と、バランスの良い自然な高音質を持ち合わせており、音楽再生やクリエイターによるモニタリング、ゲームなど、あらゆるシーンで活躍するモデルに仕上がっています。
qdcらしい透明感のあるフェイスプレートもとてもキレイで「この価格帯で得られる満足度が高すぎる!」と驚くばかりでした。
結論から申しますと、筆者が「有線イヤホンが気になるけどどれがいい?」と聞かれたら、このSUPERIORを激推しします。
ブランド初のユニット構成
ユニット構成はなかなか面白く「10mm径シングルフルレンジのダイナミックドライバーのみ」と、とてもシンプルです。
とにかく重低音の迫力が凄そうだと予想できる構成ですが、qdcが過度特性(トランジェント)を重視したチューニングを行い、振動板には美しい高周波の再生が可能となるよう「真空成膜技術」を使用した複合膜を採用。
そのドライバー部に、独自の同軸デュアル磁気回路とデュアルキャビティ構造を盛り込み磁束密度を高めることで、歪みが少なく全帯域バランスの取れた自然なサウンドを実現しています。
外観と付属品
付属のキャリングケースは、ハードタイプでかなりしっかりしています。
ケースの内側の素材と付属のケーブルバンドはマジックテープでくっつくようになっており、持ち運ぶ際に中でイヤホンがガタガタと動くことはありません。
ケースは高さがあるため、上段のネットに他のケーブルを入れても問題なく閉まります。
カラーバリエーションは、Piano Black / Vermilion Red / Azure Blue の3色があります。
今回お借りしたAzure Blueは、深みがありながらも紺色っぽくはないキレイな青色。
フェイスプレート全体がミラーパネルデザインになっていて、光があたると鮮やかに、あたらない箇所は黒っぽく色を変えます。
光の反射によって奥の方から色が浮き出るように見える透明感と立体感が、宝石のようで本当に美しい・・・!
シェル(本体の形状)は3Dプリンティング技術によって作られていて、正面から見るとqdcのイヤホンでは珍しく整った三角ですが、裏側には多くの方の耳にフィットするであろう凹凸があります。
イヤーピースは通常のシリコンタイプと、遮音性が向上するダブルフランジタイプが、それぞれ3サイズずつ付属。
ノズル部は正確な音をストレートに届ける「メタルノズル」となっています。
ケーブルには2pinコネクターを採用
筆者が、有線イヤホンデビューしたいという方にSUPERIORを推す理由は「リケーブルができるから」というのが大きいです。
これまでqdcのイヤホンはケーブルを着脱するコネクター部分が独自端子でしたが、SUPERIORでは一般的な2pinコネクターになり、選べるケーブルの幅が大きく広がりました。
いろんなケーブルを使って、自分好みの音質やデザインを追い求めていくうちにオーディオにめちゃくちゃハマっていた、というのはあるあるです。
今回は別売の4.4mmバランスケーブルを用意しましたが、音の情報量が増えて音場も広い「高級な音」になり、1度聴くと通常の3.5mm端子では物足りなく感じてしまいました。
バランス端子対応機器となると高級オーディオプレーヤーのイメージがありますが、「Astell&Kern AK HC4」などの4.4mm対応DACアンプを用意して、スマホ+DACアンプ+SUPERIORで、手軽に高音質を楽しむのもアリです!
SUPERIORに付属しているケーブルは高純度無酸素銅(OFC)4芯線を採用。
ダイナミック型のイヤホンに多い、迫力の重低音が出やすい特徴のあるケーブルです。
質感はツルツルとしていて絡まりにくく、光沢感のある素材がイヤホン本体とマッチします。
【音質レビュー】オールジャンル楽しめるバランスの良いサウンド
Astell&Kernのオーディオプレーヤー「KANN ULTRA」を使って、音楽を聴いてみました。
まずアップテンポのバンドミュージックを再生すると、音の厚みとキレが良く、音が押し寄せてくるような迫力があります。
ベースやバスドラムの低域が特に力強く、他のイヤホンでは振動みたいなものは感じるけど音として認識出来なかった深いラインも濃く鳴らしました。
中高域もクリアで1つ1つの音を丁寧に表現するので、良いオーディオ機器で聴いたときによくある「ここにこんな音が入っているの知らなかった」という発見は多いのではと思います。
音の傾向は全域でメリハリのある音を鳴らすバランスの良いサウンドという印象でオールジャンル違和感なく聴けますが、中でもアップテンポなポップスやジャズは特に得意だと感じました。
ロックやEDMなど低域を強調する曲では、少しドンシャリ系の癖のある音を鳴らすこともあったので、音に派手さを求める方も満足できそうです。
また、低い音から一気に盛り上がる表現が上手い所や、音が迫ってくるような緊迫感はPRG系のゲームサウンドとも相性抜群で、作業中はずっとゲームのサントラを再生している筆者は大喜びでした。
バランス接続の音が良すぎる!
バランス接続になると、通常の3.5mm接続であった音のキレと迫力はそのままに、空間が大きく広がり音の定位置もハッキリして、実際にホールで聴いているようなリアル感が出ます。
オーケストラやクラシックでは特に、引き締まった低域と伸びやかな高域がキレイに混ざり合う様子や、音の強弱、余韻も生々しく感じられて、満足度が全然違いました。
初めての有線イヤホンなら3.5mm接続でも解像度の高さや音の厚みに感動すると思いますが、慣れてきたらぜひバランス接続で第二の感動を味わって欲しいです。
まとめ
有線イヤホンの魅力は、低ノイズの高音質が楽しめるのはもちろん、リケーブルによって違った魅力を引きだせて、いつも聴いている曲でも常に新たな発見があるところも大きいと思っています。
『SUPERIOR』は、装着時の耳への負担が少ない設計や、クリエイターのモニタリングでも充分使えそうな正確性の高い音など、高級カスタムIEMメーカーのノウハウがこれでもかと盛り込まれており、この価格帯では考えられない完成度です。
正直なところ今も、本当にコレが1万円台のエントリー機なのかまだ疑わしい・・・。
バランスが良くどのジャンルの音楽も聴きやすいので、有線イヤホンを持っていない人におすすめを聞かれたら全力で推したいです。
ぜひSUPERIORのサウンドで、リケーブルや接続端末など様々な環境によって変わるオーディオにハマっていってほしいと思います。 2024.01.19 (もあ)