1/144スケールで、人気の「ミレニアム・ファルコン号」を再現!
最後に、仕上げ作業を施して完成。
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1/144 ミレニアム・ファルコン (最終回/全4回)
話題の商品をスタッフが使ってみる「試用レポート」。好評連載中の1/144ミレニアム・ファルコンの製作もついに最終回となりました。
前回は、機体の塗装とデカールの貼り付けを中心に作業を行いました。今回は、仕上げの処理として、スミ入れやウォッシングを行い、よりリアルに仕上げます。
1/144 ミレニアム・ファルコン(スター・ウォーズ)【SW11】のここが凄い!!
◇大型のスケールしかなかったファルコンが、手軽なサイズで楽しめる。
◇パーツ点数は少なめで、パーツの精度が高い為、初心者でもすぐに組み上げられます。
◇ファインモールドの技術が凝縮された繊細なモールドとディテール。塗装を中心に楽しむこともできます。
◇繊細なモールドは塗装で際だちます。スミ入れやウォッシングを行えばさらにリアルさがアップします。
仕上げ作業を始めましょう
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前回は、エアブラシを使って機体の塗装を行いました。今回はいよいよ最終仕上げに取りかかります。
まずは、電池を接続し、LEDが点灯するかどうか確認を行います。もし、点灯しないのであれば、配線を再度チェックして下さい。いざ完成したときにLEDが点灯しないと、作業のやり直しが必要になりますので、念入りに行いましょう。
ウォッシング・スミ入れ用の塗料を用意します
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機体の立体感を演出するためにウォッシング・スミ入れを行います。 今までは水性アクリル塗料を使ってきましたが、これからは【写真】のようなエナメル塗料を使います。
作例では、タミヤのエナメル塗料【XF-1 フラットブラック】【XF-63 ジャーマングレイ】【XF-52 フラットアース】【XF-64 レッドブラウン】を使用しました。いずれも「つや消し」を使うのがポイントです。「つやあり」を使うと、ウォッシングやスミ入れをした部分がテカテカ光って不自然な仕上がりになりますので、避けて下さい。
横メカにウォッシングをします
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「ウォッシング」とは、機体に薄めた塗料を塗って陰影を強調する技法です。薄めた塗料で「洗うように」塗装することから、こう呼ばれています。先に塗った色を侵さない(溶かさない)ために、エナメル塗料を使用します。
溶剤【タミヤ X-20】で先ほどの塗料を5倍以上に薄めます。
筆で「ウォッシング」をしたいところに薄めた塗料を塗ります。
乾いたら綿棒やティッシュペーパーなどで拭き取ります。もし、塗料が残りすぎた場合は、溶剤を含ませた綿棒やティッシュペーパーでさらに拭き取って下さい。 凹部に塗料が残り、陰影が強調されます。
こうすることによって、汚れた感じや使用感を演出します。まずは、「横メカ」にウォッシングをしてみました。塗料は【XF-63 ジャーマングレイ】を使っています。
機銃にもウォッシング
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続いて、機銃にもウォッシングを施します。 こちらも【XF-63 ジャーマングレイ】を使います。 同じウォッシングでも施す場所によって強弱を付ければ、自然なニュアンスを付けることができます。 作例では、機銃の先は他の部分よりも汚れている(使い込んでいる)ので強めに「ウォッシング」をしています。【写真右端】がより黒っぽくなっているのがおわかりいただけると思います。
ただし、全体的にこの処理を行いすぎると、機体色が1トーン暗くなったように感じることがありますのでご注意ください。
スミ入れを行います
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続いて、「ウォッシング」と似た技法で、陰影を強調する「スミ入れ」を行っていきます。 スミ入れとは、「パネルライン」「角」「継ぎ目」などの凹部に薄めた塗料を毛細管現象を利用して流し込み、陰影を強調する技法です。広い面に塗料を塗る「ウォッシング」に対し、「スミ入れ」は凹部分に塗料を流し込むという点で異なります。
スミ入れを行う塗料は凹部にうまく流れ込むように溶剤で10倍程度まで薄めましょう。濃すぎると、うまく流れてくれません。 クチバシの【左側】にスミ入れを施してみました。まだ施していない【右側】に比べて、パネルやパイプが浮き上がっているような立体感が生まれました。
スミ入れの方法について
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では、スミ入れの方法を写真でご紹介しましょう。
【写真上】 10倍に薄めたエナメル塗料をスミ入れしたい部分に流し込みます。作例ではスミ入れの塗料に【XF-63 ジャーマングレイ】と【XF-64 レッドブラウン】を少量混ぜて使っています。少し「サビっぽい」カラーになります。
【写真中】 乾燥したら、外に流れた余分な塗料を溶剤に浸した綿棒を使って拭き取ります。
【写真下】 これでできあがりです。立体感が強調されているのがわかります。
雨だれの跡も再現できます
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「スミ入れ」は、凹部からはみ出た塗料を拭き取るのが基本です。 しかし、塗料を流し込む際にあえてはみ出させて、拭き取りの際にはみ出た塗料の一部を残す、いわゆる「ウェザリング」というテクニックもあります。
「ミレニアム・ファルコン」の機体は、雨だれと思われる汚れが機体中心から放射状に付着しています。この汚れを再現するために「中心から放射状に"はみ出た塗料"が残るように」します。
ただし、やりすぎは禁物です。手でさわったら汚れが付いてしまうことがないように、上品に汚して下さい。
機体下部のスミ入れを行いました
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作例では、【XF-63 ジャーマングレイ】に【XF-64 レッドブラウン】を少量混ぜて使用しています。
また、パネルラインに流した塗料は、綿棒を使ってパネル上に散らしていきます。 【写真】はスミ入れが終わった状態ですが、凹部が結構あるので、時間がかなりかかります。途中で投げ出したくなるかもしれませんが、根気よく行いましょう。できあがったときの立体感がまるで違います。できあがりの姿を想像するとやる気も出てくると思います。
とはいえ、凹部に塗料を流し込む作業は集中力が必要です。疲れたら、次の日に回しましょう。仕上げ作業はその日のうちに完了させないといけないわけではありません。仕上がりをよくしたいなら、休憩も必要です。
機体上部のスミ入れ前
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【上写真】はスミ入れを行う前の姿です。 今度は機体上部に「スミ入れ」を行っていきます。 より「さび色」を強調するため、【XF-64 レッドブラウン】を多めに混ぜました。
スミ入れ後
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機体上部にスミ入れを行いました。スミ入れ前【写真】と比べて見てください。 全体的に立体感と陰影が強調され、リアリティが大幅にアップしました。
配管の部分は効果的です
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「スミ入れ」の効果はおわかりいただけたと思いますが、特に威力を発揮するのが配管の部分です。本物の「ミレニアム・ファルコン」の配管は金具で機体に取り付けられています。配管を別パーツにすれば当然リアリティがアップしますが、模型でそれをやるとなるとコスト的にも、工作の難易度的にも現実的ではありません。 そこで「スミ入れ」テクニックを使うことで、陰影をはっきりさせ、【写真】のように、機体から浮いた感じを再現します。手間のかかる作業ですが、その分、リアリティは確実にアップしますので、ぜひ行ってみて下さい。
また、【ガンプラ】のような塗装済のキットでもスミ入れをするだけで、リアルさが驚くほどアップします。いろいろおためし下さい。
【ウェザリングマスター】を使ってさらにウェザリングします
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スミ入れが終わり、立体感もアップしました。 続いて、「錆」の表現をします。 今度は、タミヤの【ウェザリングマスターC】を使います。
この商品は、絵画で使う「パステル」の中から汚し塗装に使えそうな色をセレクトしたものです。化粧をするような感じで、パステルを筆に取って、汚したい部分に塗れば間単にできあがるというものです。直接パレットから取るやり方もありますが、今回は、少量を塗料皿に取ってから筆で塗っていきます。もちろん、混ぜることも、アクリル溶剤で薄めることもできます。特に混ぜる場合は、いったん塗料皿に粉を取って下さい。
メカ部分のサビ塗装
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まずは、後部のメカ部分にサビを入れていきます。サビも少し放射状を意識して塗装します。 【写真】のように、まさに「サビ」そのものといった感じです。
パネル・パイプのサビ塗装
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続いて、パネル・パイプのサビ塗装を行います。 サビが付くと、よいアクセントになります。ただし、ここでもやりすぎは禁物です。 サビの表現法としては、【ウェザリングマスター】をアクリル溶剤で薄めて、スミ入れのように流し込むというやり方もあります。各自工夫して下さい。
トップコートを吹いて完成です
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ウェザリングも終わり、最後に【水性つや消しトップコート】を吹き付ければ完成です。 乾燥までに3日〜1週間程度かかります。早くできあがった機体をさわりたくなりますが、がまんです。最悪の場合、自分の指紋を作品に永遠に残してしまうことになりかねません。
【写真】は完成後の機体を下面から撮影したものです。
機体の上部です
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今度は、完成した機体の上部を撮影してみました。こちらのモデルには展示台が付属していますので、展示台も綺麗に塗装して活用して下さい。
アオリで撮影しました
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せっかく電飾しましたので、LEDを点灯させて撮影してみました。 宇宙空間を航行している感じがしてお気に入りのアングルです。
斜め上から
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格子部分から青い光が漏れていていい感じです。 ボディ部分にLEDを取り付けるとさらにいい感じになります。よりリアルに作りたい方はトライして下さい。
前方より
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クチバシ先端のライトが光っていますが、穴はもう少し大きくしても良かったかもしれません。
後方より
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最後に、制作に苦労した機体後方の格子から綺麗に光が漏れています。部屋の明かりを消していつまでも鑑賞したくなります。
まとめ
全4回に渡って連載してきました「ミレニアムファルコン」の製作レポート。いかがでしたでしょうか。
この商品はパーツの精度も高く、点数も少ないためにとても気軽に組み立てられる完成度の高いキットです。 機体のベースカラーは単色のため、缶スプレーを吹き付けるだけの簡単な塗装でもOK。そのぶん、ウォッシング・スミ入れやウェザリングに力を入れることで見違えるようにリアルさがアップします。
また、電飾を施せば完成後の楽しみが倍増します。まさに、「作るのが楽しい」キットといえます。 サイズも手頃ですので、ちょっとしたスペースにディスプレイすることも可能!
あなたもぜひ、1/144 ミレニアム・ファルコン(スターウォーズ)【SW11】を組み立ててみて下さい。
2010.12.30. ガルダン
スタッフが使ってみました