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プラモデル製作入門 第1回 ガンプラを作る!


・プラモデル製作入門 <第1回> ガンプラを作る!
 昔、なんとなく作ったことがあるけど、知っているようで知らない、プラモデルや模型の作り方。
この特集では、今さら人には聞けないと思っている方や、初心者の方へ、プラモデルの基本テクニックを、初歩の初歩から順を追って解説いたします。

 今回は、プラモデルの中でも人気のシリーズ「ガンダムのプラモデル(以下:ガンプラ)」を使い、説明書のとおり塗装などは行わず、「素組み」で完成させてみることにしましょう。基本であるパーツの切り離し方やその後の処理に気をつけるだけでも、完成度が違ってきます。


HG 1/144 シャア専用ズゴック

 今回組み立てるのは、HG(ハイグレード) 1/144 ズゴック。このキットは接着剤が不要なので、パーツを切り離して組み立てれば、どなたでも簡単に楽しめます。

 最近のガンプラは、パーツの精度が非常に高く、カラフルに色分けされています。素組みしただけでも、完成度の高いものが作れてしまう点が、初心者を中心に幅広く支持を集めているのではないでしょうか。


道具の準備

 使用する道具は、写真のニッパーとデザインナイフのみです。これだけあれば、今回のガンプラを作ることができます。ニッパーはプラモデル専用の物を、デザインナイフは汎用の物でOKです。

 もちろん、ニッパーだけでも作ることはできますが、デザインナイフがあれば、仕上がりがよりキレイになります。


プラモデル用のニッパーを使いましょう

 ニッパーは、ハサミのような形状ですが、ハサミとは刃先が異なります。ハサミは2枚ある刃が交差して切りますが、ニッパーは2枚の刃がかみ合って切断します。そのためハサミは、プラモデルを切るのに向いていません。

 ニッパーにも種類があり、写真左の物がプラモデル用で、真ん中が金属線を切る物です。プラモデル用の刃先は片面がほぼフラットになっていますが、金属用の刃先はフラットではなく、角度がついています。

 一応、金属用のニッパーでもプラモデルを切断できますが、切断面がいびつになるのでおすすめできません。また、プラモデル用は繊細な刃なので金属を切るのは御法度。プラモデル専用に使って下さい。


中身を確認

 まずは中身を確認していきます。プラモデルとはプラスチック樹脂を金型に流し加工したものです。各パーツが一定の大きさで連なっています。

 今回のガンプラは、各パーツが色分けされていて、塗装しなくてもカラフルです。 箱の中には、プラパーツと説明書が入っています。


作る前に…

 早速作りたいところですが、まずはパーツに欠品、破損がないか確認します。説明書にすべての内容物がリストアップされているので、忘れずにチェックしましょう。

 全てのパーツを確認し、内容物に不備、欠品がありましたら、ご連絡ください。作るのが後になっても、先にこれだけは確認することをおすすめします。国内の大手メーカーなら直接対応もしてくれます。


各部の名称

 プラモデルのパーツにも各部、名称と役割があります。部品全体を総称してランナーパーツと言います。パーツには番地があり、ランナーパーツにはA、Bなどアルファベットが振られています。

 このパーツは「A1」(写真1)となっています。格子状に走っている枠がランナー(写真2)です。各パーツをまとめ、保護しています。

 ランナーとパーツをつなぐ部分をゲート(写真3)と言います。パーツの番号が「3」(写真4)なので、パーツの番地が「A1-3」と言うことになります。写真右上の頭部パーツ(写真5)の番号は「4」ですね。


説明書の見方

 それでは説明書を見ながらパーツ「A11(説明書では「A1」の「1」が省略)」を探していきます。

 A1のランナー(写真1)を探して、そこから11番(写真2)のパーツを見つけました。あとは、同じようにパーツを見つけたら切り離し、順番に組み立てていけばいいのです。


ニッパーを使う

 パーツの切り離しにはニッパーを使い、ゲート部分をカットします(ゲート処理)。ニッパーには裏表があります。写真は刃の外側、平らな面が写っています。刃物なので内側はテーパーが付いていて斜めになっています。この刃の裏表を使い分けるようにします。


切断について

 ゲートに対して直接ニッパーを当てると、パーツにキズが付いたり、切断面が白くなったりします。最悪割れたりすることもあるため、写真のようにいきなりパーツに対してフラットな方で切らないようにします。 


離して切断

 フラットでは無い方か、もしくはちょっと離し、ゲートを残して切断します。 写真ではかなり近く見えるのでもう少し離します。


デザインナイフを使う

 適度に残したゲートをデザインナイフで切り取ります。ニッパーよりも刃先が細く、切れ味がいい為、切断面がキレイに仕上がります。プラモデル作りはゲート処理を丁寧に行うことで完成度がまったく違ってきます。

 デザインナイフは刃をすべらせて使いますが、刃先が鋭いので手を切らないように注意してください。


ナイフの切断面

 かなりキレイに切れています。このままでも大丈夫なくらいの切断面です。カッターの刃は切れ味が落ちる前に交換するようにしてください。切断面がキレイにならないばかりか、力んで手を切る原因になります。


ニッパーの切断面

 これはナイフを使わず、ニッパーで切った時の切断面です。こんな感じで白くなります。 パーツの精度が良くても、所々白くなっている部分があるとちょっと残念です。 


残った部分の処理、デザインナイフ

 キレイに切ったつもりでも、ゲートが少し残ってしまうことがあります。これも出来るだけキレイに処理を行いたいのですが、いろんな方法がありますのでご紹介します。

 まずは、デザインナイフを使った方法です。普通に細かく切っていっても当然処理ができるのですが、パーツに対して刃を垂直にし、そのまま左右に動かして、カンナのように削っていく方法です。慣れてくるとかなり使えるテクニックです。


平ヤスリ

 平ヤスリも模型用の小さなものがありますのでこれを利用して削ります。目がちょっと荒いので仕上げには向いていませんが、大まかに削る分には便利です。 


粗仕上げ

 ゲートの突起は無くなりましたが、かなり粗い仕上がりのため、キズが白くなって見えます。この場合、出来るだけキズを細かくしておくとあまり目立たなくなります。


紙ヤスリ

 カミタイプのヤスリは目の粗さがかなり幅広く選べます。荒削りから仕上げまで一通りあると便利です。

 写真では600番を使っています。紙ヤスリには番手があり、数字が大きくなるほど目が細かくなり、数字が小さくなると目が荒くなります。


紙ヤスリは小分けして

 紙ヤスリは、パーツの大きさに合わせて、ハサミで切って使うのが基本。300番で荒削りしたら、600番で整え、1200番で仕上げるという具合に、番手の違うものを数種類用意すると良いでしょう。300番の粗さから見ると、1200番はかなり細かいので、間に600番をはさむと、キレイに仕上がります。


紙ヤスリで削る

 小さくカットしたので小さな面にも当てやすく、余計なところを削らなくて済みます。


紙ヤスリの仕上げ

 紙ヤスリを使うとかなり細かいところまでキズを消すことができます。写真は1500番を使用。今回は行いませんが、更にコンパウンドと言う研磨剤を使うとピカピカでツルツルになります。 


ポリキャップは直接カット

 ガンプラなどの関節部に使用されるポリキャップは少し柔らかい素材です。これらのパーツは直接デザインナイフでカットしても問題ありません。不要な部分が残らないように気をつけてキレイにカットします。 


直接ゲートをカット

 お子様や女性が作業する場合、ナイフはちょっと…という場合は、切れ味のいい模型用ニッパーで直接カットします。その場合も一度大まかにゲートのまわりをカットしてから、パーツに対して刃を水平にもって行くことでキレイにカットしやすくなります。

 最近はかなり精度の高いニッパーもあり、タミヤの薄刃ニッパーなら直接ゲートをカットしてもキレイに切断できます。


後は組み立て

 パーツがキレイにカットできたら後は組み立てるだけです。説明書を見ながら向きの間違いが無いように組み立てます。このガンプラは接着剤が不要なので、パーツ同士をはめ合わせるだけで固定できます。 


出来上がり

 順番に組み立てると出来上がり。基本的にパーツを切り離すだけでこんなにカッコイイものが出来上がります。接着剤や塗料を使わなくても、プラモデルパーツ自体が色分けされているのでお子様や初めての方でも簡単に作れます。




 ここまで、キットの確認から、パーツの切り離しまで、プラモデルの基本テクニックをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。今回使用したガンプラは、パーツを切り離して組み立てるだけ。誰でも簡単に作ることができます。

 しつこいようですが、パーツ一つを切り離すのにいろいろとご紹介するには訳があります。今回のプラモデルは1/144スケールという縮尺の模型です。この模型を実物のサイズにすると、1mmは14.4cm、ゲートが1mm残ると決して無視できない大きさになります。そういった目線で見ると、細かいディティールが気になってきますが、これが模型作りの醍醐味でもあります。

 次回以降もプラモデルの作り方を順次ご紹介していきます。今回のガンプラは接着剤を使いませんでしたが、通常、プラモデルは専用の接着剤で固定するのが基本です。ガンプラにも接着剤を使用することがありますので、その辺りも含めて今後ご紹介していけたらと思います。





  --- E N D --- 2012/6/1 公開(ガルダン