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プラモデル製作入門 第6回 トップコートで仕上げる


・プラモデル製作入門 <第6回> トップコートで仕上げる
 かつて作ったことがあるはずなんだけど、知っているようで知らない、プラモデルや模型の作り方。この特集では、今さら人には聞けないと思っている方や、これからプラモデル作りを始めようという方へ、プラモデルの基本テクニックを、初歩の初歩から順を追って解説いたします。

 今回はGSIクレオスのMr.トップコートでプラモデル作りの仕上げを行っていきます。トップコートとは、無色透明(クリアー)のスプレー缶です。塗装やデカール(シール)を貼った後、この処理を施すことで大事な模型をキレイに保ちます。未塗装のままでもプラスチックの質感を消すのにおすすめです。



トップコートとは・・・

 プラモデルは塗装の有無に関わらず、最終的にトップコートを吹き付ければ、ツヤを整え、モデルの質感を高められます。また、デカール、塗装面など表面の保護にも役立ち、缶スプレーのトップコートを使えば、どなたでも簡単に仕上げを行うことができます。

 GSIクレオスのMr.トップコートは無色透明の水性スプレー塗料で、「光沢」「半光沢」「つや消し」の3種類があります。今回はこの手軽に使える水性トップコートを使って仕上げていきます。

他にもあります

 トップコートはクリアー塗装です。他にもいろいろありますので用途に合わせて揃えてください。

  • Mr.スーパークリアー

  •  ラッカー系のスプレー塗料です。水性と同じく「光沢」「半光沢」「つや消し」の3種類があります。水性に比べ、ラッカー系は塗膜が強いというメリットがあります。しかし、下地がエナメル、アクリルだとラッカー系は浸食(溶かす)します。また、デカールなどはドロドロに溶けてしまいます。

  • Mr.スーパークリアーUVカット

  •  ラッカー系の塗料です。「光沢」「つや消し」があります。UVカットの効果があり、退色を防ぐことができます。

  • ビン入りのクリアー(写真)

  •  ビン入りにも水性アクリルとラッカー系塗料があります。エアブラシをお持ちの場合は、ビン入りのクリアーでも同じことができます。

    おなじみのHGズゴック

     プラモデル製作入門でおなじみのHGズゴックです。やっとモノアイを入れることになりました。今回はある程度パーツ毎にバラして塗装します。

    塗装前にシールを貼ります

     塗装する前に、搭乗口とモノアイのシールを貼ります。このシールもトップコートで一緒に保護するわけです。シールは、直接手で貼ると指の脂が付いて、剥がれやすくなるので、ピンセットでつまんで貼りましょう。シールを貼った後は、なじませるために指で押さえても大丈夫です。

    目が入りました

     だるまじゃありませんが、心を鎮めてシールを貼り、目が入ることで命が吹き込まれました。やっぱり目が有るのと無いのでは、印象が全然違います。

    スプレーの吹く場所について

     さっそくトップコートを吹きかけたいところですが、かなり勢いよく吹き出しますので吹く場所を考えます。吹き出した塗料は霧状になって周囲に拡散し、吸い込むと身体には良くないばかりか、周りに塗料が付着してしまいます。特に、換気のできない場所では使ってはいけません。

     写真では、スプレーやエアブラシのミスト(霧)を吸い込んで外に排気する、塗装ブースを使用しています。これがあれば室内でも吹きつけ可能です。

    外で吹き付け

     天気のいい日であれば、室外で塗装するのがおすすめです。写真のように、ダンボール箱を組み立て、その中に向けてスプレーを吹き付ければ、塗料がいろんなところに付着するのを防止できます。

     今回使用した水性のトップコートは、匂いも少なくとても扱いやすいのですが、匂いがキツイ、ラッカー系を使う場合は、さらに周りへの配慮が必要になります。

    塗装前の準備

     塗装する前の準備を行います。関節や隠れた部分に塗装が回らず、ムラが出るのを無くす為に、出来るだけプラモデルをバラバラにしておきます。こうすることで、関節などに塗料が溜まって固着するのを防ぐことにもなります。

     今回は大ざっぱに言うと全体に塗装する訳ですが、パーツの接合部は塗装してはいけません。接合部にはマスキングテープを使って保護します。

    マスキング

     マスキングテープを接合部に巻いただけです。テープを使いにくい場所は、マスキングゾルなどを使うと良いでしょう。バラしたパーツはそのままでは塗装しにくいので、胴体にはクリップを使い、写真奥の手足のパーツには、余ったランナーを差し込んだり、先端に両面テープを巻き付けて固定しています。

     また、プラモデルの表面には製造過程の油分が残っています。塗装前は、ウエットティッシュなどでパーツ表面を拭いておかないと、キレイに塗料がのりません。

    しっかり振ります

     スプレー缶はしっかりと振ってから吹きつけします。振らないと塗料がキチンと吹き出しません。

     また、冬など気温が低い時にも、キレイに吹き出さないときがあります。スプレー缶を持った時に、表面が冷たい場合は暖かい部屋に置いておくようにします。しかし、火気厳禁ですので、ストーブやファンヒーターの前に置いたりしてはいけません。

    吹き付けます

     それではトップコートを吹き付けていきます。多少慣れが必要かもしれませんが簡単にできます。

  • 缶をよく振ります。
  • プラモデルとスプレーは20~30cm程度離します。
  • 吹き始めに水分が出ることがあるので、少しプラモデルの手前から吹き付けます。
  • 横にスライドさせて吹きます。早からず、遅からずです。1秒辺り20~30cm進むくらい。
  • 小さなパーツはシュッと一吹き。

  • 塗装具合を確認

     ポイントは、スプレーを止めて吹き付けないことです。どうしても集中して塗装する部分は、グルグル円を描きながら塗装すると良いでしょう。塗りにくいところは、薄目に塗りすぎないようにして、乾いてから再度吹き付けてください。(2~3回)

     最後にまんべんなく塗装できているか確認します。全体的に均等に塗装ができました。

    塗りすぎの失敗例

     初めて塗装する時に失敗しがちですが、全体的に白くなってしまいました。今度は出来るだけ薄く塗ることを心がけます。垂れたところにティッシュを持っていって余分な塗料を吸い込ませると良いでしょう。ただし、決してパーツに触れないようにしてください。水性で透明なのでこれで何とかなります。

     それでもダメな場合や、ラッカー系を使った場合は乾燥後にヤスリ掛けで再度塗装することになります。また、厚塗りした場合は、乾燥時間もそれだけ長く必要になるので、デカールや塗装の保護を考えると2回ほど塗り重ねれば十分です。その場合は、数十分乾かしたところで再度塗装します。ツヤを均等にするのが目的の場合は1回でもいいと思います。

    しっかりと乾燥します

     全部のパーツが塗り終わりました。ホコリの少ないところで、しっかりと乾燥させます。水性の場合、最低でも一日は置かないとさわってはいけません。ラッカー系の場合は1~2時間である程度乾燥します。いずれの塗料も本当に乾燥状態になるには3日~1週間程度かかります。

    ホコリが付いた場合

     ほこりが付いてしまった場合は、かなり細かい紙ヤスリで軽くこすります。すぐにとれて、目立たないならそのままで大丈夫です。それでも磨いた後が気になる場合は再度軽く塗料を吹き付けます。ホコリをピンセットなどで引っ張って取ると、塗装に亀裂が入ったりしますので、おすすめできません。

    光沢仕上げ

     トップコートがある程度乾きましたので、HGズゴックを再度組み立てました。かなりピカピカな状態ですが、とってもキレイに仕上がっています。

    未塗装と比較

     右のプラモデルは未塗装なのでプラスチックの質感そのものです。左のズゴックはピカピカしていますが、質感がアップし、プラスチック感がなくなりました。

    半光沢仕上げ

     さらに半光沢で仕上げてみました。少しツヤが残っていますが、光沢ほどは光っていません。アニメなどのキャラクターモデルにはこれがいいかもしれません。

    つや消し仕上げ

     せっかくなのでツヤ消しにも挑戦してみました。先ほどの半光沢も良かったですが、こちらもいい感じです。ツヤを消すと重厚感が出ますね。それとなんとなく大きく感じます。つや消しにするとスケール感が出るということです。

    後ろ側

     後ろ側もしっかりとつや消しです。すっかりとプラスチック感が無くなりました。

    頭頂部のアップ

     トップコートをするだけで、本格的な塗装をしなくてもこんなに質感のよい仕上がりになります。シールもしっかりと保護されていることでしょう。

    筆塗りもできます

     ビン入りの水性クリアーです。こちらもトップコートと同じく仕上げに使います。ビン入りの塗料は、塗料皿に少量出して少し薄め液で薄めます。それを筆で塗っていくだけです。

    デカールの保護

     全体的に筆で塗ることも当然できるのですが、デカール(シール)の保護にも役立ちます。バイクや車のメーター、インパネには光沢のクリアーがいいですね。部分的にツヤを出したい、消したい時は筆塗りが使いやすいです。

    エアブラシで

     ビン入りのものは、エアブラシで吹くとキレイに仕上がります。スプレー缶は吹き出しの勢いが結構強いので無くなるのも早いのですが、ビン入りだと無駄が少なく済みます。また、細かいところへの塗装も、空気圧が調整できれば塗りやすくなります。



     トップコートの効果はいかがでしたでしょうか。塗装をしていても、していなくても、トップコートを吹き付けるだけで質感がグンとアップします。また、前回のスミ入れを合わせて行うことで立体感が増し、より高い効果を得られます。

     ガンプラなどで、簡単フィニッシュと言われているのが、プラモデル講座1~6の行程です。最近はガンプラ以外でも色プラに近いモデルが出てきていますので、これらのプラモデルは同じように塗装無しで仕上げることができます。

    【スプレー缶使用時の注意】
  • 寒い日は缶スプレーの塗装は適していません(缶が冷えて塗装できない)。
  • 雨の日、湿度の高い日も向いていません。透明が白く濁ることがあります。(かぶりと言います)
  • 一度に厚塗りすると白く濁ります。出来るだけ薄く吹き付けてください。





  •   --- E N D --- 2012/10/30 公開(ガルダン