[ 2024年 4月 30日付 ]
JICOより発売された限定販売のMM型カートリッジ「ALFA MODEL55/OMNIA」をご紹介
皆さま、こんにちわ! ハイエンド担当の"ichinose"です。
荒井由実やYMOなど、名だたるミュージシャンを輩出したことで知られるレーベル「アルファミュージック」が55周年を迎えたことを記念し、日本精機宝石工業(株)のJICOブランドより、共同開発のレコードカートリッジが発売されました。
発売は、限定生産モデルの「ALFA MODEL55/OMNIA」と、標準モデル「ALFA MODEL/OMNIA」2モデルをラインナップ。
限定生産の「ALFA MODEL55/OMNIA」は、天然無垢ダイヤモンド仕様のハイグレードモデル。「きっとあなたの心を掴む音」をコンセプトに設計したという。標準モデルに比べ、一音一音を忠実に再現し、明瞭なサウンドを実現しました。
550個限定で、カートリッジとレコード針ひとつひとつにシリアルナンバーが入っている特別モデルです。
※「ALFA MODEL55/OMNIA」には交換針が用意されておりません。針交換をご希望の場合はお預かりして、メーカーにてカンチレバーやチップの交換などの修理を承ります。(修理内容によって金額が変わるため価格は随時見積もりとなります)
標準モデルの「ALFA MODEL/OMNIA」は、合成無垢ダイヤモンド仕様で、「アーティスト本意の音」をコンセプトとしたとのこと。当時のアルファミュージックから発売されていた楽曲のサウンドを再現します。こちらは交換針「ALFA-MODEL-STYLUS」が用意されています。
◆ 今回ご紹介する「ALFA MODEL55/OMNIA」について
「ALFA MODEL55/OMNIA」はアルファミュージック創業55周年を記念して発売された、いわば特注品モデルといえます。青春時代にアルファミュージックの音楽を聴いて育った世代はもちろん、これからレコードを楽しもうとしている世代など、世界中のシティ・ポップファン層に "アーティスト本位" で製造されたJICO Custom 『ALFA MODEL』を楽しんでほしいという。
なお、JICOのARTIST Seriesの第1弾は、ジャズ喫茶ベイシー 菅原正二氏監修の交換針『BASIE MODEL』で、2020年2月に500本限定で発売されて、完売いたしました。日本精機宝石工業・JICO(株)は、1年ほど前からARTIST Seriesの第2弾を模索し、今回のアルファミュージックモデル「ALFA MODEL55/OMNIA」が実現。
◆ アルファミュージックとは?
1969年に作曲家/プロデューサーの村井邦彦氏によって設立されたアルファミュージックは、音楽出版社および制作会社としてスタートし、その後レコードレーベルに発展。当時24歳の村井邦彦氏は、日本のポップミュージックを世界標準に引き上げることを目指し、その結果、アルファミュージックは現代の音楽界を形作った先駆的アーティストによるヒット曲や画期的なアルバムの代名詞となりました。
特に、アルファミュージックは荒井由実のシンガーソングライターとしてのキャリアをスタートさせ、YMO を国際的な成功に導いたことで有名です。アルファミュージックは2024年7月に55周年を迎えます。レーベルは新たな章に乗り出し、再発だけでなく新録音や未発表曲のリリースも予定しています。
◆ 担当者より
今回ご紹介した「ALFA Model」2モデルのベースとなるのは、2021年より発売されている同社の「J-44D」になります。
「J-44D」は、もちろんSHURE社の名機「M-44G」を復活させたモデルです。SHURE「M-44G」の交換針は、JICO以外のブランドでも数多く発売されていますが、カートリッジとして販売しているのはJICO社のみとなります。
JICOの「J-44D」の開発は、2018年に「M-44G」が突然生産終了となり、多くの方からの要望もあり、音質も含めての復活を実現しています。
開発には、多くの「M-44G」を集めて、ヨークやコイル、ポールピースなどの部品を徹底的に分解、分析、データ取りなど考えられることは全て実施。
外見はもちろん、スペックや「M-44G」独自の「音質」にもこだわった製品として開発されています。
外観だけを似せた安直なモノづくりは決してせず、オリジナルのSHURE社の「モノづくり」をリスペクトして研究・開発された製品です。
※JICOとしてはあくまでSHUREをリスペクトして設計との事ですが、そこはさすが「MADE IN JAPAN」と言える品質で、オリジナルと比べると遙かに精度が高いのは明らかで、更に今回の「ALFA MODEL」のようなスペシャルモデルは今後も展開予定とのことで楽しみですね。私も含めて最近ではカートリッジはMC型しか使っていない方も結構多いと思いますが、この「ALFA MODEL」のような高品質MM型であれば面白くお使い頂けると思います。
◆ 聴いてみました
▼ 標準モデル「ALFA MODEL/OMNIA」
カタログモデルの標準型で針先のチップは人工無垢針となるモデルです。「ALFA」マーク入りオリジナルシェル付き。
チップ素材:人工無垢ダイヤモンド・丸針・チップ径φ0.25、針圧:1.3~1.7g(標準1.5g)
ボディーのイエローは「YMO」で話題となったイエローカラーLPのオマージュ…だそうです。
再生音は音色が重厚で、いかにもアナログライフな雰囲気をもっており、良い意味でレトロなサウンドといえます。
ベースの「J-44D」と比べるとサウンドは明るく躍動感があり、聴いていて楽しくなる音に仕上がっています、もちろん質感の高さも魅力的です。
なるほど、1970年代から80年代にリリースしたレコードを楽しむための究極のモデルとの設計意図がよく分かります。
▼ 限定モデル「ALFA MODEL55/OMNIA」
550台限定の55周年記念モデルで、針先のチップは天然無垢のダイヤモンドを使った贅沢な製品です。
チップ素材:天然無垢ダイヤモンド・丸針・チップ径φ0.12、針圧:1.9~2.3g(標準2.0g)
基本的な音色や傾向は同じですが、標準モデルの「ALFA MODEL/OMNIA」と比べるとクリアで解像度が高く、更にワイドレンジとなっており、よりボーカルの艶やかさやなどの細かいニュアンスや表情がよく分かります。表現の幅が広く、「これは使える!!」と歓喜させてくれました。
ボディにはもちろんですが、交換針にもシリアル番号がプリントされており、針交換時にはメーカーが責任を持って修理してくれるとのことです。この交換針を販売すると、かなり売れると思いますが、取り付ける「M-44G」本体の品質によっては性能が発揮出来ない心配があるため販売は見送られているとのことです。
◆ 最後に
この2モデルは、アルファレーベルとの共同開発商品ですが、アルファレコードに限らず、幅広い「POPS」や「JAZZ」などに対応出来るカートリッジとしてお勧めいたします。もちろん、品質は完璧に整えられており「M-44G」のような品質のバラツキは一切ありませんのでご安心してください。好みの問題を別とすると、「M-44G」とはまた違う「グルーブ感」や「バイブ感」をしっかりと持ったサウンドが実現できている魅力を感じさせてくれます。
「ALFA MODEL55/OMNIA」と「ALFA MODEL/OMNIA」の2モデルは両方あっても気分で付け替えて楽しめると思います。ただし、本体の重さは両方16gと同じですが、針圧は「ALFA MODEL55/OMNIA」が0.5g重くなっていますのでアームのウエイトを0.5g調整が必要となります。
また、負荷容量は「M-44G」と同く高めの450pfなのでフォノイコライザーで設定がある場合は調整しましょう。

試聴に使ったLPレコード