[ 2024年 7月 2日付 ]
こんにちは、ハイエンドオーディオ "ichinose" です。
今回は、トライオードより、シンプルな本格的真空管アンプ新製品「TRS-34」をご紹介いたします。
真空管アンプは、一度は使ってみたいと思っている方は大変多いと思います。しかし、物価や原価材料費の高騰もあり、本格的な真空管アンプは、なかなか手の届きにくい価格となってしまいました。
このたび、トライオードから発売された「TRS-34」は、20万円以下の比較的、手が届きやすい価格で、高音質なアンプを提供する目的で開発された注目の製品です。
シンプルでお求めやすい! 憧れの真空管プリメインアンプとしてお勧めいたします!!
◆見た目のデザインはシンプルで、華美な装飾は一切ありません
前方に真空管を配置、後方にトランスを並べた、THE真空管アンプと言えるスタンダードなスタイルです。
現在でも簡単に入手可能な定番の真空管「EL-34」をプッシュプルで使用する事によって、将来にわたる安定したメンテナンス製と、真空管ならではの倍音が豊かな高い音楽性を実現しています。
出力は、18W+18Wと控えめな設計で真空管に優しい回路構成ながら、大出力真空管アンプ並の大型トランス(電源・出力)を搭載! 音質は真空管らしさもありますが、それでいて歪も少ない最近の音楽にも十分対応しているサウンドとなっています。
◆トライオードのEL-34採用のリーズナブル真空管アンプの歴史
「TRV-34」:いまから19年前の2005年に発売、500台の限定品と言うこともあり、当時、価格も99,750円(税込み)と10万円を切る価格で発売されて大ヒットしました!! 音質も高い評価を得て真空管アンプの音質を多くの方が堪能できたアンプとして記憶に残る銘品と言えます。
EL-34ウルトラリニア接続AB級プッシュプルドライブで、定格出力45W+45Wを確保したハイパワーモデル。
「TRV-35SE」:「TRV-34」再販の希望も多くあり、レギュラーモデルとして、同年「TRV-35SE」として126,000円(税込み)で発売されました。価格は限定解除に伴って上がってしまいましたが、それでもハイCPモデルとして、真空管アンプの定番として、人気モデルとなりました。
「TRV-35SER」:2016年リモートコントロール機能と、MMフォノイコライザー機能を追加搭載した 198,000円(税込み)で発売されたハイCPモデル。
トランスカバーが別体となり、電源トランスからのリーケージの影響を低減、デザイン的にも大きく改良。
EL-34をAB級プッシュプルドライブで、定格出力35W+35W
◆新製品「TRS-34」をご紹介
操作性も非常にシンプルです。フロントパネルは音量調整(ボリューム)と入力切替のセレクターのみ。
機能性:入力はシンプルにアナログRCA4系統のみでフォノ入力には非対応。
【入出力端子】
入力:RCAx4系統
スピーカー出力:x1系統(4~8Ω対応)
ヘッドフォン出力:ステレオ6.3mmx1系統
サイズ:幅345mmx奥行335mmx高さ190mm
重量:14.9kg
◆担当者より
トライオードの企業理念は「真空管アンプの素晴らしい音をより多くの人に楽しんでいただきたい」と言うもので、シンプルでお求めやすい価格を実現した真空管プリメインアンプ「TRS-34」が新発売されました。
EL-34のプッシュプルモデルは「TRV-35SER」が2021年に販売終了となってからしばらくブランクがありましたが、新製品の「TRS-34」は機能を絞り、シンプルな設計とすることで、20万円を切る価格を実現しています。
外見は今までのトライオードとは少し異なり、本体部分はブラックで統一。トランスはトライオードレッドに塗られており、とってもスッキリとした印象。シンプルなデザインで個人的には大変好感が持てます!
アルミ製のフロントパネルは省略されていますが、継ぎ目のない高度な加工が施されており、チープ感は全く感じません。
横幅345mmと標準的なオーディオコンポーネントより一回りコンパクトで使いやすいサイズ。真空管交換時のバイアス調整の必要がない自己バイアス方式を採用。メイン電源スイッチは左側面に取り付けられています。
フォノイコライザー回路は内蔵していないものの、ライン4系統の入力端子を装備し、真空管アンプを初めて購入する方にもその音の魅了を楽しめるプリメインアンプと言えます。現代的な諸性能と管球式らしい瑞々しさ、柔らかさを備えた製品としてご紹介いたします。
◆音質評価
定番真空管の「EL-34」の特性を無理なく素直に引き出した印象のサウンド! 十分なパワーと広いレンジを備えており、落ち着いたバランスと純度の高い質感が心地よいサウンドです。初めて真空管アンプを使われる方にも違和感を感じさせない現代的な諸特性も持ち合わせています。
出力は18W+18Wと控えめですが、真空管アンプはトランジスタアンプと比べると実聴感では3倍ほどのパワーがあるので、出力に不満はなく、音量を上げてもクリップする気配はありませんでした。一般的なリスニング環境においては問題なく、まず不足を感じる事は無いと思われます。
接続したスピーカーはクリプトン「KX-0.5P」を接続、密閉型、低能率型(87dB/W・m)で、真空管アンプでの駆動には低域再現が厳しいスピーカーでしたが、低域の再現性の不満を感じる事も無く、音量を上げてもクリップする気配はありませんでした。
ボーカルもトライオードの真空管アンプらしい洗練された艶のあるシルキータッチで心地よく聴かせてくれます。ジャズではウッドベースの低音を積極的に押し出すような印象ではないですが、ピチカートを繊細に綺麗に捉えた表現が美しい。
再生の難しいピアノ楽曲も温かみがあり、クリアな空気感で曇りのない質感を見事に描いてくれます。
トライオードの経営理念「できるだけ多くの人に真空管アンプの魅力を楽しんでもらいたい」を具現化した製品! 本格的な真空管の魅力を手軽に楽しめる使いやすい真空管プリメインアンプとしてお勧めいたします。