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音場工房

[ 2024年 10月 1日付 ]



新発売!!! 上杉研究所 光カートリッジ専用フォノイコライザー「U・BROS-220DSR」

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当 "ichinose" です。
上杉研究所より、光カートリッジ専用に特化したフォノイコライザー「U・BROS-220DSR」が発売されましたので、ご紹介します。
光カートリッジの可能性を追求し、開発された、新世代の光カートリッジ専用真空管式フォノイコライザーです。




◆上杉研究所について

上杉研究所(UESUGI)は、アンプ設計者でオーディオ評論家でもあった上杉佳郎氏が、兄・上杉卓男氏とともに1971年に創業。
一貫して真空管アンプを開発・製造してきた、世界に誇る「MADE IN JAPAN」ブランドです。

型番の「U・BROS」は、上杉研究所が発売している真空管アンプのシリーズ名で、上杉研究所の「U」と、兄弟を意味する「BROS」を組み合わせたものです。

2010年に惜しくも上杉佳郎氏が亡くなった後を受け継いで、現在の代表・藤原伸夫氏が2011年から設計を担当しています。
藤原伸夫氏は長年日本ビクターでオーディオ回路設計を担ってきたといえる匠で、ビクターの伝説的名機として有名なラボラトリーシリーズの「ME1000」「PL-10」「XL-Z1000A」をはじめとして、多くの銘機の設計に携わってきました。
こうした藤原伸夫氏の百戦錬磨の経歴は、上杉佳郎氏の時代とはまた違った新風をもたらしています。
ウエスギ・アンプの伝統を周到に守った上で、さらに視野を広げて新しい技術も積極的に開発・導入されており、新時代の「U・BROS」をしっかりと印象付けています。

今回ご紹介する「U・BROS-220DSR」は、既に発売しているフォノイコライザー「U・BROS-220R」の上位機種にあたりますが、何と光カートリッジ専用に特化して開発されており、新回路の採用、新機能の搭載などにより、光カートリッジ専用フォノイコライザーとして、新時代を拓くべく開発されたモデルです。

光カートリッジに惚れ込んだ藤原伸夫氏は、前作「U・BROS-220R」の発売後も研究・開発の手を緩めることなく、光カートリッジの潜在能力を極限まで引き出すべく、新しい給電方式を提案して「DS-Audio」と共同で策定。根本的な性能向上を目指して開発、画期的な新機能を満載しての登場です。


◆「U・BROS-220DSR」の開発背景

現在のオーディオソースの主流ともいえるデジタル音源はハイレゾ化が進み、クラウドネットワークへの展開により、高度な利便性を伴う高音質オーディオソースとして定着してきました。
一方、パッケージメディアの雄であるアナログディスク(LP)は、デジタル音源にはない音の魅力により、その存在感を増し、近年改めてハイエンドオーディオソースとして磐石な地位を確実にしております。

その中にあって、革新的構造のカートリッジとして登場したのが「デジタルストリーム社」が開発・販売された光カートリッジで、その高音質が広く認知されています。
上杉研究所では、従来のMM/MC型カートリッジに加えて、光カートリッジにも対応した「U・BROS-220R」を2021年に発売して、好評となっていました。
光カートリッジの発電特性を吟味し、その特徴を最大限に引き出すために、新たな回路構成と新機能を開発して搭載すること、光カートリッジの性能を最大限引き出せるフォノイコライザーとして、光カートリッジ専用フォノアンプ「U・BROS-220DSR」を開発。


◆光カートリッジの発電・伝送特性に対応した新回路、新機能

電流-電圧変換構成の電流型イコライザー回路の採用
光カートリッジの発電素子は電流性出力のため、フォノケーブルのストレー容量、アンプの入力容量の影響を大きく受けており、またアームの内部配線はノンシールド構造の単線なので、線間の静電容量により超高域のチャンネルセパレーションが悪化していました。

アンプ初段管をグリッド接地動作とする電流-電圧変換構成のアンプを新たに開発し、従来の高インピーダンス電圧型CRイコライザーを低インピーダンス電流型イコライザーに改めることを実現した結果、光カートリッジからの伝送信号の電圧振幅を大幅に抑制(-30dB:50KHz)し、上記の課題を大きく改善しています。

※光カートリッジの発電素子の出力は電流性のため(出力抵抗:約200KΩ)従来の抵抗負荷による標準オペレーションでは実効的な信号源抵抗は10KΩ程度となります。


◆業界初の高精度なインサイドフォース調整を可能とするガイド機能を装備


光カートリッジはアナログディスクの音溝振幅に比例した電流出力のため、針(シャッター)位置に対応した直流電流に信号電流が重畳された信号出力となります。
この直流電流値を評価関数による演算を行うことで、針(シャッター)位置の変動幅の正確な計測が可能となりました。
この計測結果をユーザーへ表示(LEDによる3点表示で確認できます)することで、使用している個々の光カートリッジに最適なインサイドフォースキャンセル(アンチスケーティング)の調整が可能となりました。
光カートリッジだからこそ実現した、世界初の画期的機能です。


◆光カートリッジの必要条件に新対応!デジタルストリーム社と共同で策定した規格に準拠


光源LED用直流電流の分離給電の実現
光カートリッジの発電素子からの出力信号電流(5μA)に加えて、光源LED用低雑音の直流電流(80~90mA)は、通常L/R信号線各々のアースラインを還流することで行っていたため、アースインピーダンスの影響を受けやすくなっていました。
L/R信号線各々のアースライン(信号基準線)にLED用直流電流が重畳されることや、光源電流によって電磁界ループが構成されるため音質的に不利な影響がある構造といえます。

「U・BROS-220DSR」に搭載されている、XLR端子を用いたケルビン接続法は、独立した電流電圧端子による接続で低インピーダンス回路に適した給電法により信号基準線から光源LED用直流電流を追放することが可能となっています。

※ケルビン接続専用ケーブル「U・BROS-KC1」で、光源LED用直流電流を信号線から分離給電する事ができます。


さらに、光源LED用直流電流外部出力端子(ミニXLR・SEPARATE LIGHT POWER AUPPLY/forRCA INPUT only)を装備し将来の発展的展開に備えています。

光源LED用直流外部出力:miniXLR端子・5V/90mAフローティング。
フロントパネルに光源LED用直流電流の分離が出来る「LIGHT POWER」スイッチで(ノーマル⇔セパレート)の切替ができます。


◆アナログディスク 再生機能の充実


LPアナログディスクの再生イコライザーは、主流の「RIAA」に加え、「AES」「NAB」「ffrr」「Columbia/LP」のイコライザー特性に対応。

※各種イコライザーカーブ、フロントパネルで切替可能※
 ・NAB:2240μ、318μ、100μ
 ・ffrr:1270μ、318μ、50μ
 ・RIAA:3180μ、318μ、75μ
 ・Columbia/LP:1590μ、318μ、100μ
 ・AES:5310μ、398μ、63.5μ

要となる時定数設定用コンデンサーには、実績のある630V耐圧の松下製メタライズドポリエステルフィルムコンデンサーを選別して使用。
電流モードでL/R信号を合算する理想的なMODE(STEREO⇔MONO)切替機能と組み合わせることで、黎明期といわれるLPの再生ができます。


◆3系統の光カートリッジ入力端子を装備


RCA端子x2系統、XLR端子x1系統(2番ホット)。XLR端子はケルビン接続に対応。


◆左右独立電源トランス


増幅ステージごとに最適な独立したローカル電源を構成し、デュアルモノラルコンストラクションを構成。


◆バランス出力装備



ウエスギ初となる新開発の真空管式低インピーダンスバランス出力回路を装備(2番+ or 3番+)。入力インピーダンス3KΩ以上のバランス入力端子への接続に対応。


◆実績・信頼の確立した設計・生産手法の継承による普遍的価値の継続

・高品質アルミ削りだしノブ、ウォールナットオイルフィニッシュの高級木製キャビネット等を採用し高い質感と感性的価値を確保。
・1.6mm厚亜鉛メッキ鋼板による高剛性シャーシーにより他からの妨害を受けない無共振・無振動・無干渉構造を継承。
・信号増幅回路にはプリント基板による配線をおこなわず、キャリアのある職人によるウエスギ伝統の芸術的ともいえる手配線を堅持。


◆ブロックダイアグラム


◆担当者より

最近注目を集めております光カートリッジ!!(当社では光カートリッジのお取り扱いがございませんのでご了承願います)
MM/MC型カートリッジとは出力形態が全く異なるため、アンプに内蔵されているPHONO端子や、一般的なフォノイコライザーには接続できません。光カートリッジの専用のフォノイコライザーが必要となります。

純正品(DS-AUDIO)以外の国産ブランドでは、「上杉研究所」と「ソウルノート」から対応しているフォノイコライザーが発売されております。
ただし、いずれのモデルでも、入力端子が通常のMM型/MC型端子とは独立しており、現実的にMM型/MC型のカートリッジとの兼用は難しい仕様です。
試聴のたびにケーブルを交換するか、プレーヤーをダブルアーム仕様にするか、もしくは専用アナログプレーヤーを追加するかなどが必要となります。

カートリッジは光カートリッジ専用と割り切って使用するか、アームの追加をするかの選択が必要で・・結構ハードルが高くなっていますね。
複数個のカートリッジをソフトや気分で使い分ける事もアナログの大きな魅力だと感じておられる方は多いと思います。光カートリッジのみと割り切る選択は、難しいですね…。

今回ご紹介した上杉研究所「U・BROS-220DSR」は、光カートリッジ専用モデルとして徹底的に追求した製品を開発しようとの発想で生まれた製品です。
藤原伸夫氏ならではの発想や視点により、他社には無い新回路や新機能も搭載されており、光カートリッジのイコライザーとして、今最も進んだ製品といえます。
※上杉研究所としてもここまで注目を集めるとは想像していなかったそうで、納期は6ヵ月以上かかりますので予めご了承ください(2024年10月現在)。

ソウルノートからも同様の光カートリッジ専用の「E-3」が発売されおり、アナログ再生を追求する方には無視できない存在といえるかもしれません。
※ソウルノート「E-3」もケルビン接続専用のXLR端子が装備されていて「U・BROS-KC1」が接続できます。





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