[ 2024年 10月 15日付 ]
こんにちは、ハイエンドオーディオ担当 "ichinose" です。
今回は、アキュフェーズの純A級モンスタープリメインアンプ「E-800S」をご紹介いたします。
新製品の「E-800S」 は、2019年11月にアキュフェーズ創業50周年記念モデルとして発売された「E-800」をモデルチェンジした製品です!
アキュフェーズのセパレートアンプのトップ・モデルに採用している最新の回路と最高品位の素材、磨き上げてきた感性と先進の技術が継承されており、あらゆるスピーカーの能力を余すところなく引き出す事の出来る、インテグレーテッド・アンプのフラグシップ・モデルです。
◆『 Balanced AAVA 』搭載
プリアンプの音量調整機能は、オーディオ・システムの中でも特に高度なアナログ回路の設計技術が必要であり、音質を左右する重要な回路です。
従来の概念を覆し、可変抵抗体を使わずにボリュームをコントロールする「AAVA(Accuphase Analog Vari-gain Amplifier)」を搭載。AAVAは可変抵抗体を音楽信号が通らないため、インピーダンスの変化による影響を受けることがなく、高いSN比と低いひずみ率を維持したまま音量を変えることができます。
また、可変抵抗体の接触面の劣化に影響されないため、初期性能を長期にわたって維持できる高い信頼性を兼ね備えています。「Balanced AAVA」は、バランス入力/バランス出力の『 フル・バランス回路 』を構成したボリューム・コントロールです。
外来ノイズの影響を受けにくいバランス回路を「AAVA」に採用することで、さらに優れた低ノイズ性能を実現。
S/N比は脅威の105dBを実現(E-800:104dB)
◆AAVAのⅠ-V変換アンプに『 ANCC 』(Accuphase Noise and distortionCancelling Circuit)を採用
『 ANCC 』は信号の増幅を行う主アンプに、ノイズとひずみを打ち消す効果のある副アンプを加えた回路です。この「ANCC」を「AAVA」のⅠ-V変換アンプに搭載することで、特にボリュームを絞った状態から一般的なボリューム位置での低ノイズ性能が大幅に向上し、実力値での雑音が「E-800」に比べて約10%低減しています。
副アンプには、低雑音アンプ(ノイズ密度:1.5nV/√Hz)を採用し、「ANCC」の効果をより高めています。
◆パワーMOSFET、6パラレル・プッシュプルA級動作が実現する「50W/8Ω」「100W/4Ω」「200W/2Ω」のリニア・パワー
スピーカーのポテンシャルを100%引き出すため、パワーアンプ部は激しく変動するスピーカーのインピーダンスによる影響を受けることなく、スピーカーを定電圧駆動することが大切です。スピーカーを定電圧駆動するためには、パワーアンプ部はインピーダンスに反比例する電流をスピーカーに供給しなければなりません。
※4Ω負荷では8Ω負荷の2倍の電流が必要になります。
パワーMOSFETを6パラレル動作させることで電流供給能力を上げ、出力インピーダンスを下げることで、動的な定電圧駆動を実現。電力増幅段には、高周波特性に優れ、許容損失電力約200W、ドレイン電流約30Aの大電力パワーMOSFETを採用。
この素子を6パラレル接続プッシュプルA級動作させることにより、非常に低い出力インピーダンスを実現。さらに1ペア当たりのパワーの負担が1/6に軽減されるため、大電力領域での動作を安定させ、諸特性を向上。
◆大型高効率トロイダル・トランスと大容量フィルター・コンデンサーによる強力電源部
大電力容量の高効率トロイダル・トランスを採用。ドーナツ状のコアに太い銅線を捲くトロイダル・トランスは、インピーダンスが非常に低く、変換効率が極めて高いため、オーディオ用として優れた特性を備えています。
また、フィルター・コンデンサーには、63V/63000μFの大容量・高音質タイプを2個搭載し、余裕ある電源部を構成。さらに、小信号を扱うプリアンプ部には専用電源回路を搭載し、パワーアンプ部との干渉を防止。
加えて、プリアンプ部とパワーアンプ部の搭載位置を分離することで、相互干渉のない理想的な動作環境を実現しています。
※大容量フィルターコンデンサ 63,000μF搭載(E-800:60,000μFから更に5%アップ)
◆さらに動作音に配慮した、高精度・高剛性の『 ボリューム・センサー機構 』
「AAVA」では、ボリューム・ノブの位置に応じて電流スイッチのON/OFFを切り替え、音量を調整します。この時、ボリュームの位置を検出するのが『 ボリューム・センサー機構 』。
このボリューム・センサー機構を自社開発、アルミニウム・ブロックを超精密加工で削り出した硬く重い素材を用いることで、ノブ回転時の滑らかな動作、重厚な操作感、正確な位置検出を実現。
リモート・コマンダーでの音量調整時には、内蔵されたモーターが歯車を介してノブを回転させます。歯車は、互いにかみ合う際に動作音を発生させやすい部品ですが、このボリューム・センサー機構では、歯車が常に一定の圧力でかみ合うように改良を施してあり、静かで快適な音量調整が可能。
※C-2900、E-5000、C-2300と同等
◆ダンピング・ファクターの向上
ダンピング・ファクター(DF)とは、パワーアンプの出力インピーダンス(Z)とスピーカーのインピーダンス(R)の比(DF=R/Z)のことであり、数値が大きいほどアンプがスピーカーをコントロールする能力が高いことを意味します。
つまり、「DF」が高いほど短い時間でスピーカーからの逆起電力を吸収して不要な振動を抑え、理想的なスピーカー駆動を実現します。
アンプ回路やNFB経路等の最適化によって、アンプの出力インピーダンスを小さくすることで、パワーアンプ「A-80」と同等のダンピング・ファクター(DF):1000を実現。
◆洗練された高級感溢れるデザイン
・大型ガラスの採用など、より洗練されたスッキリとしたイメージの表現。
・セレクタ、ボリューム周りのリング(台座)を金メッキ化し高級感をアップ。
◆担当者より
前モデルの「E-800」は、様々なイベント会場で、最高峰セパレートアンプ「C-3850」+「A-250」と比較試聴しました!!
音色的にはほぼ互角と言えるサウンドで驚かされましたが、低域に関しては「E-800」の方がソースによって厚みを感じる場面もあり、セパレートアンプと比べても全く遜色のないレベルのサウンドを確認しており、その充実度はプリメインのレベルではなく、まさに最高級セパレートアンプの世界と言えるものでした。
「E-800-S」はその「E-800」のさらなる改良版と言える製品です。
近年のアキュフェーズの新製品の音の良さは、同じ純A級の新製品「E-700(2024年4月発売)」でも確認済みです!!
「E-700」の試聴感想
聴感上のS/Nが素晴らしく良いため、透明感のある音場からの楽器の立ち上がりに繊細感を感じる事が出来た。音場の見通しが非常に良く、録音会場の高さや奥行き感が実に鮮やかに再現され、広い音場の表現力にその実力の高さを感じる。
聞き取れる音の数が圧倒的に多く、たっぷりとした情報量で、従来聴き取れなかった繊細なニュアンスまで感じられる。そして何より最高級の内外セパレートアンプでも表現しきれないような音楽性が高く、躍動感のあるサウンドを味わうことができたのには心底驚きました。
アキュフェーズの「E-800S」の技術担当の方に聴くと…
「最新の回路や設計技術を全て搭載したモデルで、更に時間をかけて何度も試聴を繰り返し、完成度の高い音に仕上げる事が出来ました!!」との事です。
初代「E-800」の発売時にはその大きさに衝撃を受けたのがとても印象でした!!
しかし、このサイズはアメリカン仕様とも言える寸法で、アメリカでは「待ってました!!」と大絶賛されている製品なんです。日本の家庭では大きすぎるのでは?と思いましたが、このモデルは違和感なく受け入れられており、大変人気があります。
また、「今までセパレートアンプでラックの棚板2段使っていたので棚板1枚外すとちょうど良い寸法です」とのご意見も聞きました・・なるほどですね!!
※「E-800-S」は純A級動作で発熱量が大きいため、アンプの上面のスペースを多めにとることをお勧めします。