[ 2024年 11月 26日付 ]
ハイエンドオーディオ担当の"ichinose"です。
今回は、デノンより、好評発売中のプリメインアンプ「PMA-3000NE」とのペアとなる SACDプレーヤー「DCD-3000NE」をご紹介します。
「DCD-3000NE」は、デノン創立110周年記念モデルのひとつであるSACDプレーヤー「DCD-A110」をベースとして、さらなる低ノイズ化、シグナルパスの最短化、そして、デノンのHi-Fiコンポーネントとして最高グレードのパーツを贅沢に使用したサウンドマスターによる徹底的なサウンドチューニングにより、飛躍的なパフォーマンスの向上を実現したモデルです。
サウンドマスター『 山内慎一 』氏の理想とする、純度が高く明瞭な音像と、躍動感とスケール感に満ちた広大な空間表現をさらに高いレベルで具現化することにより、音源に含まれるあらゆる情報を引き出すオーディオ的快感と、サウンドの美しさに時間を忘れて没頭する音楽的感動の両方をお届けする新世代のフラッグシップSACDプレーヤーとして誕生しました。
◆オリジナル・ドライブ・メカニズム「Advanced S.V.H. Mechanism」
ディスクドライブには、デノンが独自に開発した制振性に優れる「Advanced S.V.H.(Suppress Vibration Hybrid)Mechanism」を搭載。メカニズム全体の剛性を高めるためのメカカバーには、新たに1.5mm厚のアルミニウム合金(A6061)を採用。
「DCD-3000NE」のために様々な、素材と厚みで試作と試聴を行い、サウンドマスターが選び抜いた素材がアルミニウム合金(A6061)です。
ディスクトレイにはアルミダイキャスト、メカニズムブラケットには2mm厚のスチールを採用するなど、さまざまなパーツに異素材を採用。高質量と共振点の分散化により、高い耐振動性を実現しています。
メカニズムの低重心化によりディスクの回転による内部の振動を抑え、外部からの振動も効果的に抑制。不要な振動を排除することで、サーボ関連の動作を最小限に抑え、不要な制御や消費電流も最小限となり、安定した条件下で、ディスクからのデジタル信号の高精度な読み出しを実現しています。
アナログ回路についても、信号経路を極力短くし、回路を小型化することで、余分な電流やノイズを発生させない設計が進化しています。
◆最新にして最高のアナログ波形再現技術「Ultra AL32 Processing」
デノンのアナログ波形再生技術の最上位バージョンである「Ultra AL32 Processing」を搭載。「Ultra AL32 Processing」は、PCMデジタル入力信号に対して、前世代の2倍となる1.536 MHzへのアップサンプリングと32bitへのビット拡張処理を行います。
独自のビット拡張&データ補間アルゴリズムにより、前後のデータの離散値からあるべき点を導き出し、本来のアナログ波形を再現する理想的な補間処理を実施。
デジタル録音時に失われたデータを高い精度で復元することで、歪みのない繊細な描写、正確な音の定位、豊かな低域など原音に忠実な再生を実現しています。
◆差動電流出力型DACを4基使用した「Quad-DAC」構成
より力強いサウンドと、より良い空間表現を実現する「Quad-DAC」構成を採用しています。384kHz/32bitに対応する高性能ステレオDACを左右チャンネルにそれぞれ2基(4ch)ずつ使用しています。
「Ultra AL32 Processing」によりアップサンプリングされた1.536 MHzの信号を768 kHzに分割し、2基(4ch)の差動電流出力型DACに入力。
片チャンネルあたり4chのDACを用いる並列構成により、1基のDACを使用した場合に比較して、4倍の電流出力と6dBに及ぶS/N比の向上が可能になり、よりエネルギッシュなサウンドを実現しました。
◆DACマスタークロックデザイン
デジタルオーディオ再生においては回路の動作の基準となるクロック信号の精度と低ジッターがパフォーマンスの鍵を握っています。
D/Aコンバーターに供給するクロックの精度を最優先するために、D/Aコンバーターの近傍にクロック発振器を配置。DACをマスター、周辺回路をスレーブとしてクロック供給を行うことで、D/A変換の精度を高めています。
DSD用に1つ、PCM用に2つ(44.1kHz系/48kHz系)の超低ジッタークロック発振器を搭載。ソースのサンプリング周波数に応じて切り替え、さらにジッターリデューサーも用いることでジッターの徹底的な抑制が実施されています。
◆フルディスクリート I/V変換アンプ&差動合成アンプ
DACの出力を受けるI/V変換アンプ回路と差動合成アンプ回路にOPアンプを使用せず、サウンドマスターが厳選した高音質パーツや、最高級モデルの「SX1 LIMITED EDITION」譲りのカスタムパーツを贅沢に使用したフルディスクリート回路を採用。
L/Rの回路をシンメトリーにレイアウトし、音質の左右差を排除。トランジスタの変更により、温度変化による特性の変化が抑えられ、対ノイズ性能も向上。
さらに基板を2層から4層にグレードアップすることにより、グラウンドを強化し、デジタル回路からのノイズの影響を抑制。同時に放熱効果も向上しており、DACから発生する熱を効率的に拡散することで、回路の安定動作とデバイスの長寿命化に貢献。
これらの徹底的なブラッシュアップの結果、かつてない水準のサウンドの鮮度、明瞭度、純度を獲得。
躍動感に溢れスケール感豊かな空間を巧みに描く、まさに『 Vivid & Spacious 』なサウンドを実現しています。
◆サウンドマスターが厳選したデノン専用カスタムコンデンサーを多数採用
110周年記念モデルである「DCD-A110」を凌駕するパフォーマンスを実現するために、アナログ回路、デジタル回路、そして電源回路、これらすべてにデノン専用の高音質カスタムコンデンサーを多数採用。
信頼性が高く電流ノイズが極めて少ないメルフ抵抗を贅沢にアナログオーディオ出力回路や電源回路に多数使用しています。
◆小基板による基板間接続
デジタル電源基板、デジタルオーディオ基板、アナログオーディオ基板の間の接続に用いていたワイヤーを廃止し、小基板による接続に置き換えています。
ワイヤーはアンテナとしても作用してしまい、そこに流れるオーディオ信号にノイズの影響を与えてしまうことがありますが、ノイズ対策が講じられた小基板を用いて基板間の接続を行うことでノイズの影響を最小化。
ワイヤーの処理のばらつきに起因する音質の個体差を排除することにもつながります。
◆デジタル・アナログ独立電源トランス
信号の性質の異なるデジタル回路とアナログ回路の電源をトランスから独立させた2トランス構成とすることで、相互干渉とノイズの回り込みを排除。
また「DCD-2500NE」に対して約5倍の出力を誇る高出力EIコアトランスによって一層の動作の安定化を実現。
トランスを取り付けているベースには、3mmの肉厚アルミニウム合金(A6061)を新たに採用。
肉厚なプレートを介して大きな質量を持つシャーシに取り付けることで周辺回路への不要な振動の伝搬を防止。
◆フルディスクリート構成のアナログオーディオ専用電源回路
アナログオーディオ回路専用の電源ユニットに、デノンカスタムの大容量(3,300μF)ブロックコンデンサーを採用し、アナログオーディオ回路に最適化したフルディスクリート構成を採用。
デノン専用の高音質電解コンデンサーや、ハイパワーなバイポーラ・トランジスタなどのカスタムパーツをふんだんに用いることで、クリーンで安定した電源供給を可能にし、重厚さと繊細なディテールが絶妙に調和したサウンドを実現。
◆ダイレクト・メカニカル・グラウンド・コンストラクション
機器内部を流れる繊細な音楽信号は、ディスクの回転や電源トランスによって発生する内部振動や、スピーカーからの音圧による空気の振動を受けることで品位が低下してしまいます。
これらの影響を防ぐために、デノンは「ダイレクト・メカニカル・グラウンド・コンストラクション」と呼ばれる制振構造を設計。振動源である電源トランスをフットに近づけて配置することで不要な振動を外部へと逃がし、周辺回路への影響を防ぐ構造です。
最も質量の大きいドライブメカニズムを筐体中央部に配置し低重心化することで、ディスクの回転による内部振動を効果的に吸収し、外部からの振動の影響も抑制。
さらに外部からの振動をシャットアウトするために、1.2mm厚のメインシャーシに1.6mm厚の鋼板を2枚重ねて補強することで、十分な耐振動質量を持つ高剛性なシャーシを実現。
◆「DCD-A110」譲りのアルミ製フット
電源トランスやドライブメカニズム、シャーシの大きな重量を支えるフットには「DCD-A110」と同じ高剛性なアルミ製フットを採用。
これは「DCD-A110」が開発された際に、入念に試聴を繰り返して素材や形状、仕上げを煮詰め、新世代のデノンのHi-Fiコンポーネントにふさわしいサウンドと外観の品位を備えるフットとして作り上げられたものです。
外観の美しさを高めるとともに開放的で透明感に優れるサウンドにも大きく貢献しています。
◆データディスク再生対応
CDやスーパーオーディオCDの再生に加え、DVD-R/-RWやDVD+R/+RWに記録したDSD(2.8MHz/5.6MHz)、最大192kHz/24bitまでのハイレゾ音源を含む音楽ファイルの再生に対応、CD-R/-RWでは、サンプリング周波数48kHzまでのファイルを再生することが可能。
◆その他の機能・特長
・真鍮削り出し金メッキ出力端子
・同軸&光デジタル出力(PCM44.1kHz~192kHz)
・スーパーオーディオCDのマルチチャンネルレイヤーのステレオダウンミックス再生
・ピュアダイレクトモード
・アンプの操作もできるアルミトップリモコン
・プログラム / リピート / ランダム再生
・4段階のディスプレイディマー
・タイマープレイ対応(※外部タイマーが必要です)
・オートスタンバイモード(30分)
◆基板の多層化技術でオーディオ基板を2層から4層へ変更
「DCD-A110」の2層オーディオ基板に対して、4層に変更!!
アナロググランドを強化してデジタル基板やメカからのノイズに強くなっています。
また、発熱するDACの熱対策に大きく寄与。
ピックアップやコンデンサーなどのデバイスへのダメージを大幅に低減しています。
◆ミニマムシグナルパス
ワイヤーレス化:デジタル電源基板・デジタル基板・アナログ基板の接続は、アンテナになり得るケーブルを廃し「Board Board」を採用。これにより、ケーブルの位置等による製品間のバラツキが無くなり不要な電気的干渉を低減しています。
電源部の改良:デジタル電源、アナログ電源を見直し、SYコンデンサー等、カスタムコンデンサー等を信号の通らない電源部にも採用。
「DCD-A110」で使っていたシールド(ノイズ対策)用の銅プレートを廃止、ディスクドライブの振動の影響を避けるため、銅テープによるシールに変更。
◆最適化したD/Aコンバーター回路
「ULTRA AL32 Processing」:従来の「Advanced AL32 Processing Plus」に対して、補間処理帯域倍加(768KHz→1.536MHz)させた「ULTRA AL32 Processing」は、静特性改善と音質向上を達成。
デノンの理想とするマルチビット方式のD/Aコンバーター回路です。
オーバーサンプリング比を1chあたり従来より2倍の1.536MHzで出力された信号を半分の768KHzに分割。
マルチビットDAC『 ES9018K2M 』をMONOモードでフル活用し、1chあたり2個、合計4個使用して「Ultra AL32 Processing」を最大限生かします。
各DAC間で誤差の出ないように回路を構成、更にI/V変換アンプは増幅の誤差が出ないようにカスコード回路で構成。4DAC/chの並列構成により、出力電流が4倍となりDACの高SN化と聴感上のパワー感を獲得。
DAC変更に伴いSNをさらに向上させるために電源、回路共に新設計して搭載。
◆サウンドマスターによる入念な試聴とサウンドチューニング
音質グレードのコンデンサーは元より、アナログ / デジタル含めて全てのブロックでDENONカスタムコンデンサーを採用。
「SY・NB」「PPSC-X」「RFY/THカスタムコンデンサー」
・ワイヤリング、ビスの材質や長さの調整。
・DENONカスタム抵抗をはじめ、高音質グレードの抵抗を大幅に採用。
・静電気対策用の銅プレートを、広い空間表現を得る為に廃止し、シールドFFCケーブルには音質への影響の少ない銅テープを採用。
・3Layer Bottom Chassis(3層ボトムシャーシ構造)とA6061アルミフット採用。
・ドライブメカのトップパネルをA6061グレードのアルミ製に変更。
・デジタル電源部、オーディオ基板に高音質カスタムパーツを投入。
・電源トランスのベースプレートをA6061グレードのアツミニウムに変更、更に1mmx2枚から3mm厚のベースに変更、ケーブルのねじりも再調整。
◆担当者より
型番からすると、先に発売されたプリメインアンプ「PMA-3000」とペアとなる SACD/CDプレーヤーですが、単品のSACD/CDプレーヤーとしても、あらゆるブランドのハイエンド機器との組みあわせが出来る魅力を持った製品に仕上がっています。
デノン110周年モデルである SACD/CDプレーヤー「DCD-A110」をベースモデルとして、基本回路構成は変更はせずに、細部をブラッシュアップした製品との事ですが、ほとんど全体に渡りチューニングが施されており、サウンドマスター『 山内 』氏によって、クラスの違う所までブラッシュアップされている事が分かります!!
ブラッシュアップの為の開発には通常のレギュラーモデルよりも遙かに多くの時間がかけられており、基盤からパーツ類など全てに渡り入念に精査されています。
「DCD-A110GS」も素晴らしい製品で『 これ以上は不要かな・・ 』と思わせてくれましたが、「DCD-3000NE」の高音質と完成度の高さは、まさに「DCD-A110」のスペシャル・リミテッド・モデルと言える製品なのです。
ベースはあくまで「DCD-A110」ですが、音質の重要部品と言える DAC素子まで変更されているなど、妥協の無い見直しが実施されています。
アナログ音声出力は、RCAアンバランス出力のみでバランスには対応していませんし、デジタル入力も装備されていない潔さも好感が持てます。このシンプルな回路構成だからこそ、この価格でこのハイ・クオリティーが実現しているとも言えます。
バランス回路にするためにはアナログ基盤が倍必要となりますし、準じて電源強化も必要となるため、製品の価格は大幅に上がる事になります。
明快なコンセプトで開発されている製品として、共感 / 理解できる方には強烈なインパクトがあるのではないでしょうか!!
「DCD-3000NE」の音は、研ぎ澄まされたサウンドとなっており、カスタムモデルのようなファインチューニングされた特別感を感じさせてくれます。
メーカーの説明にある、かつてない水準の「Vivid & Spacious」なサウンドを体現出来る製品としてお勧めいたします。