[ 2025年 9月 23日付 ]
ハイエンドオーディオの ichinose です。
今回は、Phasemation(フェーズメーション)より発売された、音楽の再現性をさらに向上させ、使いやすさも兼ね備えたMC昇圧トランス『 T-600 』をご紹介します。
MCの実力を余すところなく引き出す事はもちろん、MMカートリッジの再生も可能とした特別なバランス接続MC昇圧トランスです。
◆2020年に発売された「T-550」の改良モデルとして、使いやすさと音質の改善を実現。
※「T-550」をさらに進化させたMCステップアップトランス
・バランス・アンバランス両方の入出力に対応
・MMカートリッジ、高出力MCカートリッジも接続変更なしで使用可能な「PASS」モード搭載
・更に音楽の再現性が向上した新しいトランスを搭載
・ピュアな音楽信号を伝送するための筐体構造&レイアウト
・漏洩磁束を抑えるシールド板
・ダンピングラバーによるフローティング構造で余分な振動を抑制
・コネクタと接点スイッチには金メッキ仕様を採用し鮮度の高い再生を実現
・使いやすさも兼ね備えた新しい昇圧トランス
◆MCカートリッジのバランス接続の数々のメリット
MCカートリッジはバランス型の信号を出力しているカートリッジなんです!
バランス接続はノイズ耐性の向上、S/N比の改善、音像の定位と空間表現の向上等々MCカートリッジ本来のポテンシャルを引き出せる優れた接続方法となります。
MCカートリッジは出力電圧が微弱な信号のため、バランス接続を用いることでノイズの影響を大幅に低減し、よりクリアで情報量の多い高音質サウンドを得ることができます。
▼ 主なメリット ▼
・ノイズ耐性の向上
・バランス接続では、信号線とは別にグランド(GND)を分離して伝送します。
・特に、MCカートリッジの微弱な信号はノイズの影響を受けやすいため、バランス接続はノイズを大幅に抑制し、純度の高い信号伝送を可能にします。
▼ 具体的な音質的効果 ▼
・S/N比(信号対雑音比)の改善:ノイズが低減されることで、信号の品質が向上し、S/N比が改善し、より低ノイズで、より力強くクリアなサウンドを実現。
・音像の定位と空間表現力の向上:左右の信号を独立して伝送することで、クロストーク(信号の干渉)が軽減され、音源の定位が向上し、音の広がりや空間表現が豊かになり、より臨場感のある聴こえ方になります。
▼ MCカートリッジのポテンシャルを最大限に引き出す ▼
基本的に全てのMCカートリッジは本来、バランス型の信号を出力しています。バランス接続に対応したフォノイコライザーや昇圧トランス、フォノケーブルを使用することで、MCカートリッジの持つワイドレンジな特性や濃密な音色、繊細さを最大限に引き出し、本来の性能を活かすことができます。
▼ アースループの回避 ▼
アンバランス接続で発生しやすいアースループによるハムノイズを防ぐことができます。
◆MC昇圧トランス「T-600」のご紹介
音楽の再現性をさらに向上させ、使いやすさも兼ね備えた昇圧トランス。MCのみならず、より多くのカートリッジの実力を余すところなく引き出す音楽のための昇圧トランスです。
・入力をバランス/アンバランスを選べるようになりました。
・「T-550」ではMCカートリッジのみしか接続出来なかった昇圧トランスに「PASS」モードを設けたことでMMや高出力MCカートリッジも接続可能になりました。
・出力にXLR端子を追加し、XLR端子の入力しか持たないフォノアンプにも接続可能になりました。
新トランス採用で音質を見直し、使いやすさも向上!
MCカートリッジの繊細かつ情報量の多い音楽信号を再生するにはまずMMのレベルまで昇圧する事が圧倒的に有利となります。その方法としては電気回路で構成されたMCヘッドアンプもありますが、Phasemationの提案の1番目はやはり「トランスによる昇圧」※1です。
理想的なインピーダンスマッチングに加え、電源を持たない為ノイズの発生源が無い事が大きなメリットだからです。ベストセラーモデル「T-550」を更にブラッシュアップし、使いやすく新設計したのが「T-600」なのです。
※1:昔のトランスのイメージとしては「音が丸くなる」「周波数特性が狭くなる」等言われた時代もありましたが、現在の高性能トランスではそんなデメリットは微塵も感じさせません!!
◆音質重視に特化した設計
徹底的に見直しを行った音質重視設計新トランス。
「T-600」の心臓部でもあるトランスの製造工程を見直し、巻き上げ時の線材張力管理等より精密な工程改善を実施。結果より豊かな表現力を持つ進化した新しいトランスを搭載しています。
◆バランス・アンバランス入出力対応
入力出力とも各々1系統のバランス (XLR)、アンバランス (RCAピン)を持っています。XLR端子にはノイトリック社製、RCAピン端子は金メッキ端子を採用し高音質をお約束します。
「T-550」では入力の選択は出来ませんでしたが、バランス入力かアンバランス入力かを選べるようになりました。
◆MMカートリッジ、高出力MCカートリッジも接続可能な「PASS」モード搭載
「T-550」ではMCカートリッジしか接続できませんでした。
接続先のフォノイコライザーのPHONO入力が1系統しかない場合など結線しなおさねばなりませんでした。
「T-600」ではMMカートリッジや高出力MCカートリッジも入力切替で「PASS」を選ぶことで使用可能となっています。また、通常MMの接続にバランスを用いる事は日本では少ないですが、XLR接続の場合でもMM型もそのまま使う事ができます。
お使いのフォノイコライザー側の入力端子がアンバランスのRCA端子の場合でもバランス型MCトランスのメリットは存分に発揮されます。
◆ピュアな音楽信号を伝送する筐体構造
コンパクトなボディですが、トランスを収納していいるだけではなく、漏洩磁束を抑えるためにシールド板を設置、また不要な振動を抑制するために、トランスはダンピング・ラバーによるフローティング構造としています。
◆コネクタと接点スイッチには金メッキ仕様を採用し鮮度の高い再生を実現
回路長を可能な限り短く設計するだけではなく、BALANCE/UNBALANCE/PASSの切替には、金メッキ接点のロータリースイッチを採用し、鮮度の高いサウンドを実現しています。
◆製品仕様
・最適カートリッジ出力インピーダンス:1.5〜40Ω
・負荷インピーダンス:47kΩ
・昇圧比:26dB
・周波数特性:10〜100kHz (±2dB)
・外形寸法:174(W) x 93(H) x 188(D) mm
・重量:2.1kg
・入力端子:XLR(バランス) x 1, RCA(アンバランス) x 1
・出力端子:XLR(バランス) x 1, RCA(アンバランス) x 1
◆バランス接続するには・・・。
バランス接続するにはバランス入力に対応したフォノイコライザーか、「T-550、600」の様なMC昇圧トランスが必要となります。
プリ(プリメイン)アンプの内蔵フォノイコライザーではバランス接続に対応している製品はありませんから!
更にアームからの出力をXLR端子にする必要があり、ちょっとハードルの高い接続方法ではあります!!
・フォノイコライザーもバランス回路でフルバランス増幅が出来れば最高ですが、MCトランスで昇圧するだけでも十分の効果があります。
・単品のアームの出力と同じDIN端子のプレーヤー(YAMAHA:GT5000 ※2、LUXMAN:PD-151/191 など)であればDIN→XLRのフォノケーブルでダイレクト接続。
・一部のプレーヤーでXLR出力端子が装備されてモデルもあります(TEAC:TN-5BB など)XLR→XLRケーブルで接続可能。
※2:YAMAHA「GT-5000」はXLR端子が装備されていますがアームからの直出しも可能です。
・図1はバランス接続
・図2は一般的なアンバランス接続
RCA出力端子しか装備されていないプレーヤーでも2芯シールドでRCA端子→XLR端子のケーブルで接続すればバランス接続が可能です。ちなみに、MCカートリッジを使用した場合のRCA端子のバランス出力信号は次のようになります。
・RCA端子 HOT(中心):HOT信号(正相信号)
・RCA端子 GND(外側):COLD信号(逆相信号)
このバランス出力は「フローティングバランス」と言われており基準電圧の出力がありません。基準電圧はフォノイコライザー側(または昇圧トランス側)で回路により作成し、バランス伝送を実現しています。この接続の場合は特にアース線の接続が非常に大切となります。
・「T-600」のXLR端子は「2番HOT」結線です。
・「T-600」のRCA出力に接続するRCAケーブルは2芯シールドの通常アンバランス型ケーブルで問題ありません。
◆担当者より
前身となった「T-550」は、フェーズメーションの考えや方向性を感じる事が出来るMC昇圧トランスで、いかにアナログ再生における最前段「カートリッジがトレースした信号をいかに最短で増幅するかが重要」ということを思い知らされたMCトランスです!
ただし、MCカートリッジしか使えないなど使用するにあたり制限があり全ての方にお勧めする事が出来ませんでした。
今回紹介した「T-600」は普通のRCA端子のフォノイコライザーMM入力端子に接続してMC型はもちろんMM型も使う事ができるように使い勝手が改善されています。
往年の名器(シュアー、グレース等)を愛用している方にも、最近の優秀なMM型カートリッジ(中電、ナガオカ、テクニカ等)も使いたい方には嬉しい改善と言えます!!
バランス伝送されたMCカートリッジの音をお聴きになった事がありますか?
MCカートリッジのバランス伝送が提唱されたのは、長いアナログの歴史を考えると、ごく最近と言えます。実はMCカートリッジがバランス巻きで本来の性能はバランス接続でこそ発揮出来ると分かった時は、なかなかの衝撃でした!!
ほとんどの方は今まで何十年もバランス巻きMCカートリッジをアンバランス伝送でしか聴く機会がなかったのではないでしょうか。
今更バランス伝送が良いと言われても・・と思われても当然だと思いますし、慣れ親しんだカートリッジの音が変わってしまうのもどうか・・?と思いますよね。
でもその音質は別物と言えるレベルで、一度知ってしまうともう戻れないかもしれないほど違います!!
MCバランス接続は、音の微細な情報まで正確に拾い上げるMCカートリッジの特性を活かす事が出来るので、高品位な音楽再生を実現します。MCカートリッジが本来持っている音のディテール、広がり、透明感を余すところなく伝えてくれ、お使いのMCカートリッジが本来持っている魅力がフルに発揮される印象です!!
※実はかなり古くからカートリッジのバランス接続は一部で実施されていました・・1970年代の「CRESCENT」がXLR入力端子になっていたのは有名な話です。
普通に入出力端子をXLRプラグに交換しバランス用にトランスを配線しただけではMMカートリッジが使えなくなってしまいますが、「T-600」では出力端子をRCAでもバランス伝送できるように配線されているのでMMカートリッジも使える様になっています。
※RCAはアンバランスしか伝送できないというのは固定観念です。
◆試聴しました。
一聴して感じるのは「音場の静寂感」と「エネルギー感」です!!
雑味や濁りがクリアされ、聴感上のS/Nは明らかに向上したと感じました!
非常に解像度が高く一つ一つの音により力強さが感じられ、生き生きとした再現性を聴かせてくれます。
ボーカルの艶感、楽器の余韻感、スタジオの雰囲気など繊細な表現が今まで以上に明瞭に感じ取れます!! 低域は安定感が増しますが解像度が高いので、より音楽性の豊かさが表現できるようになったと思います。
もちろん周波数特性に問題は無く、むしろワイドレンジになったようにさえ感じました!! トランスの音色は自然で、一切の色づけは感じません。今までのカートリッジのサウンドのままグレードが上がった感じです!
カートリッジ選びはアナログ再生の最大の楽しみだと思いますが、昇圧トランスはそのカートリッジの能力を引き出すと言う意味で非常に大切だと思います。
もし愛用のMCカートリッジをアンプ内蔵のフォノイコライザーのMCポジションでしか聴いたことがないのであれば、これはお試しする価値のある製品としてお勧めいたします!!






















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