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音場工房

[ 2026年 6月 16日付 ]



◆ オーディオテクニカより、スタイラスチップ一体型ダイヤモンドカンチレバー「AT-MCD1」新発売!!

ハイエンドオーディオのichinoseです。
今回は、オーディオテクニカより発売された スタイラスチップ一体型ダイヤモンドカンチレバーのカートリッジ「AT-MCD1」をご紹介!!



2022年にオーディオテクニカの創立60周年として60台限定で発売された「AT-MC2022」は発売早々に完売してしまいました!
その後多くの再販要望があり、更に進化したレギュラーモデルとして「AT-MCD1」が発売されました!!


60周年記念 MCカートリッジ「AT-MC2022」

基本的には「AT-MC2022」をベースとしながらも、ダイヤモンドカンチレバーのさらなる軽量化と、新開発のスタイラスチップ形状を採用する事により確実な音質のグレードアップを実現しています!!

「AT-MC2022」と「AT-MCD1」の大きく進化した2点!!
・カンチレバーの先端の軽量化を実現
・先端曲率半径の細い新シバタ針を採用


■ ダイヤモンドカンチレバー一体型スタイラスチップの製造と加工は困難を極めます。

・針先(スタイラスチップ)側:
レコードの溝と接する部分には、あえて最も硬く摩耗しにくい面(111面)と平行な方向が当たるように加工されています。これにより、針先が削れるのを限界まで防ぎます。

・カンチレバー(棒)側:
溝からの縦横の激しい振動を受けても、破損しないよう、割れやすい面(111面)が振動の衝撃を受ける方向と重ならないように、緻密に計算して四角い棒(ニードル)を切り出しています。

※111面とは!地球上で最も硬い「面」
ダイヤモンドは方向によって硬さが異なります、111面は炭素原子が最も高密度で整列している(最密充填面)ため、機械的な摩耗に対して圧倒的に強く、研磨や切削加工を行うことが極めて困難な面として知られています。
レコードの音溝と接触する「正確な位置」に111面がくるように結晶軸を合わせて精密に研磨されています。

・人工ダイヤモンド(ラボグロウンダイヤモンド)
CVD法(化学気相成長法:Chemical Vapor Deposition)
メタンガスなどの気体から、文字通りダイヤモンドを「蒸着(成長)」させる最先端の技術。
真空容器の中に炭素を含むガス(メタンと水素)を入れ、マイクロ波などでプラズマ化してガスを分解すると、中に置いた種結晶(薄いダイヤモンドの板)の上に、炭素原子が1層ずつ綺麗に積み重なり、純度の高い単結晶ダイヤモンドが上へと数週間かけて成長させます。

不純物が極めて少なく、結晶方位が完璧に揃った高品質な大型の単結晶人工ダイヤモンドの原石を製作する事が出来ます。

※ちなみに:現在では、このCVD法をさらに進化させ、直径2インチ(約5センチ)以上の大きな「ダイヤモンドウエハ」を作る技術が確立しており、次世代の超高速半導体への応用が進んでいます。

・一体型カンチレバーの最終的な寸法は、軸の太さが約0.22mm角、長さが約3〜5mm、そして針先(スタイラスチップ)の突起の高さが約0.5mm必要です。
「針先の高さ」と「カンチレバーの太さ」を十分にカバーしつつ、レーザーで削り落とす無駄(ロス)を最小限に抑えるため、元の人工ダイヤモンドは1ミリ前後の絶妙な厚みにコントロールされて育てられます。

完成した原石から「複数本」を「短冊状」へのレーザーカット、この切り出した1本1本の「1ミリ(厚み)×0.22mm(幅)×数ミリ(長さ)」のミニチュアな角柱が、カンチレバーの出発点になります。この1ミリの厚みがある部分の先端をレーザーで細く削り落とすことで、突起(針先部)「一体型のスタイラスチップ」完全にひとつの分子構造として繋がった状態を作り上げます。

・超精密研磨(ポリッシング)
レーザーで削っただけの状態では、表面に微細な凹凸が残ります。ここから更に熟練職人による超精密研磨(ポリッシング)が施されます。ダイヤモンドの微粉末を用いた特殊な研磨機を使い、顕微鏡下で極小の針先を超精密な形状に鏡面研磨されます。

・微細彫刻: ピコ秒(1兆分の1秒)やフェムト秒という、熱が周囲に伝わる前に物質を消散させる超短パルスレーザーを使用し、熱による割れを防ぎながら、カンチレバーの先端に曲率半径がわずか数ミクロン(1000分の数mm)の針先形状を1本の塊から精密に彫り出します。


■ ダイヤモンドカンチレバーについて

圧倒的な硬度を持つダイヤモンドの物理的な「音の伝わる速さ(音速)」を計算すると、地球上の全物質の中でダントツの秒速18,000メートルを誇ります!!

素材自体はやや重いため、カンチレバーを「極限まで細く(薄く)削る技術で体積を減らして実質的な重さを減らす技術が開発されています!!

ダイヤモンドカンチレバーのヤング率【E】、密度【ρ】、音速【C=√E/ρ】、モース硬度【1〜10】の各スペックの性能

音の歪みを減らし、超高音域まで正確にトレース(再生)するには、「硬くて、軽くて、音が速く伝わること」が理想です、ダイヤモンドカンチレバーはこの最高峰に位置する優れた素材です。

・ヤング率【硬さ】=高いほど良い:1,050GPa(または 1,050x10の9乗N/m2)
変形しにくさ(剛性)を表します。数値が高いほど、高周波でも曲がらず正確に動きます。

※ダイヤモンド:1050GPa、ボロン/ルビー/サファイア:400GPa、ベリリウム:287GPa、アルミニウム:70GPa

・密度【軽さ】=低いほど良い:3.5x10の3乗kg/m(または3.5g/cm3)
軽さを表します。数値が低いほど、針先(振動系)の慣性が小さくなり、細かい音の溝に素早く追従できます。

※ベリリウム:1.85g/cm2、ボロン:2.34g/cm2、アルミニウム:2.70g/cm2、ダイヤモンド:3.52g/cm2、ルビー/サファイア:3.98g/cm2

・音速【伝達速度】=高いほど良い:18,000m/sec
音が伝わる速度、ヤング率が高く、密度が低いほど音速は上がります。
音速が速いほど、音の立ち上がりが鋭くなり、高域の共振(ピーク)を可聴帯域の外へ追い出すことができます。

※ダイヤモンド:18,000m/s、ベリリウム:12,900n/s、ボロン/サファイア/ルビー:11,000m/s、アルミ:6,400m/s、木材:3〜5,000m/s

・モース硬度【傷耐性】=高いほど良い:10(最高値)
引っかき傷への強さです。レコード針先(スタイラス)やカンチレバーが摩耗・変形するのを防ぎ、超寿命化に直結します。ダイヤモンドは最高値の「10」を誇ります。


■ ダイヤモンドカンチレバーが圧倒的に有利な理由

密度(軽さ)はボロン、ベリリウム、アルミに劣りますが、ヤング率(剛性)が桁違いに高いため、結果として音速(18,000 m/s)がダントツの1位になります。これにより、レコードの溝から伝わる超高域の微細な振動を、全くたわむことなく100%発電コイルへ伝達できます。

なぜこれほど硬く、音が速いのか?(強固な正四面体構造)
ダイヤモンドは、1つの炭素原子(C)が周囲の4つの炭素原子と完全に均等な距離で結びついた、「正四面体(ピラミッド型)」の構造を繰り返しています。

物質界最強の「共有結合」:原子同士の結びつきの中で、最も強固なのが「共有結合」です。
ダイヤモンドはすべての炭素原子がこの強力な手をつなぎ合って隙間なく3次元に広がっているため、外部から力を加えても原子の位置が全く動きません。
これが「変形しない=極めて高いヤング率」の理由です。

「軽い原子」×「強い結合」= 超高音速:音波(振動)は、原子がバネのように隣の原子を揺らすことで伝わります。
「バネが強い(ヤング率が高い)」ほど、そして「動く原子自体が軽い(炭素は非常に軽い原子です)」ほど、振動はハイスピードで伝わります。
この条件を極限まで満たしているため、秒速18,000mという異次元の音速が生まれます。

「AT-MCD1」のスタイラスチップ一体型ダイヤモンドカンチレバーは、このダイヤモンドの優れた特性を一切スポイルする事無くフルに発揮させる事が出来る唯一無二のカートリッジなんです!!


■ 新採用されたシバタ針とは?

1970年代に4チャンネルレコード再生用として日本(ビクターの柴田憲男氏)で開発された形状ですが、その優れた音質特性から、現代のハイエンド・オーディオでも「最高のスタイラス(針先)の一つ」として愛され続けています。物理的な形状の特徴が、そのまま以下のような素晴らしい音質メリットを生み出しています。

・針先がレコードの溝の壁面と「縦に長く、面で接触する(ラインコンタクトの一種)」構造のため、高音の細かい溝(曲率半径が小さい部分)にも正確に入り込みます。そのため、シンバルやバイオリンの高音がきつくならず、シルクのように滑らかで歪みのない音の伸びが魅力です。

レコードは内周に進むほど溝が詰まり、ボーカルの「さ・し・す・せ・そ」が濁りやすくなります(内周歪み)がシバタ針は溝への追従性が桁違いに高いため、レコードの最後の1曲までクリアで伸びやかなボーカルを維持します。

・圧倒的なS/N比(静寂感)と長寿命
針先が「点」ではなく「面」で接触して針圧を分散させるため、レコード盤や針先自体への負担が軽くなります。結果として、チリチリとしたサーフェスノイズが驚くほど静かになり、音楽の背景にある「静寂」が際立ちます。

・マイクロリニア(マイクロリッジ)針 との比較:
最近の高級カートリッジに採用が多いマイクロリニア針の音質は、徹底的にシャープで現代的な「モニター調のハイファイさ」を極める傾向があります。

一方でシバタ針は、解像度を高めつつも「アナログレコードが本来持っている温かみや、胸に響くコク」を失わないという絶妙な音楽性を持っています。

今回「AT-MCD1」に採用されているシバタ針は先端曲率半径の細いR27xr=0.08mil(超極細シバタ針)となっており、従来のR2.7xr0.26milと較べて、圧倒的にレコードの溝から精密に情報を拾い上げる事が出来ます。

r=0.26mil に比べて3倍以上も左右の幅が薄く、鋭く研磨されています、カッティングされた音溝を限界まで精密にトレースするために特別に製造された特殊仕様です。

r=0.08 のメリット:内周での歪みが極限まで減る
レコードは中心(内周)にいくほど物理的に音溝の波が細かくなり、針先が太いと波を正確に曲がりきれず「チリチリ」とした歪み(内周歪み)の原因になります。r=0.08 の針は超極細なため、内周に刻まれた微細な超高音域の波にも完璧に追従し、濁りのないクリアな音を引っ張り出すことができます。


■ 担当者より

オーディオテクニカのオーディオルームで試聴してきました!!

物理スペックに優れたダイヤモンドカンチレバー(音速18,000 m/s、剛性1,050 GPa)と、超極細シバタ針の音響特性が掛け合わさることで、「現代の超ハイレゾ音」と「ヴィンテージのような濃厚な官能性」が奇跡的な次元で融合したサウンドを実現しています。

一体型ダイヤモンドカンチレバーの「音が消える瞬間の静寂感」と、シバタ針の「ノイズの少なさ」が相乗効果を生み、完全に気配の消えた漆黒の静寂(背景)から、バイオリンやシンバルの「艶っぽく、美しい余韻」だけが3次元的にフワッと浮かび上がるような極上の空気感が生まれています。

シバタ針の「内周への圧倒的な追従性」と、ダイヤモンドの「絶対にたわまない剛性」が合わさることで、レコードの最初の1曲目から内周の最後の1秒まで、歪みのない広大な音場(ステージ感)が一切の狂いも無く維持されることになります。

1.丁寧でしなやかな高域:針先(ダイヤモンドカンチレバー先端)のさらなる軽量化により高域の共振が抑えられ、描写が非常に丁寧でしなやかになっています。

2.シャープな輪郭と高い解像度:新規開発の細いシバタ針の恩恵で、音像のフォーカス感が向上し、微細な余韻まで見通せる高い解像度を誇ります。

3.奥行きと上下に広がる立体的な音場:音が左右だけでなく、奥や上下(空間の広がり)へクリアに抜けていくため、立体感や空気感が大幅にアップしています。

4.大人っぽく落ち着いた表現:低域は力押しではなく、すっきりとしつつも分解能が高く、深みのある大人っぽい上品なサウンドに仕上がっています。

5.出力電圧の向上:新磁気回路により、出力電圧が約15%向上し、低ノイズながらしっかりとした情報量を確保しています。



・「AT-MC2022」と比較試聴しました

シバタ針は基本的に、中低域の厚みやパンチ力が特徴的と言われていますが「AT-MCD1」のサウンドは豊かな厚みを維持しつつ、広大な情報量と立体的な広がりを感じさせてくれます。
非常に自然な音色で、品のある伸びやかな高域表現が特徴的で、繊細な情報をより克明に表現してくれます!!

試聴メモでは「雑味が無い」「音がしなやか」「音場が広くスッキリ」「音の立ち上がりにストレスが無い」「「ボーカルの艶感が半端なく美しい」「内周でも歪み感が無い」など、従来のシバタ針とは異なる個性を持った新次元の素晴らしいサウンドを聴かせてくれました!!

※余談ですが、実は何と40年以上以前にスタイラス一体型カンチレバーの製品 SONY XL-88D(1980年頃) が存在していました。
かなり尖った個性的なサウンドで、パワフルで高剛性、メリハリとリズム感が特徴的でJAZZ再生によく使っていました!!
ただしカンチレバーは太く、根元3割ほどはアルミ製ジョイントパイプに接続されていました・・・。


■ オーディオテクニカより「カートリッジ修理プログラム」も発表されています。

本体交換では無く、お使いのカートリッジをお預かりして修理扱いとなります。
スタイラスチップ、カンチレバー、コイル、ゴムダンパーなどを含む振動系全体を交換いたします。
修理代:1,122,000円(税込み)2026年6月現在

また「性能検査サービス」(こちらも修理扱い)
出力電圧 チャンネルセパレーション チャンネルバランス カンチレバー傾きをチェック
「カートリッジに衝撃を与えてしまった」「長期間使用したので性能が保たれているか心配」などに対応して、カートリッジの性能を検査します。
検査代:22,000円(税込み)2026年6月現在






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