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プラモデル製作入門 第13回 エアブラシ塗装・実践編

・プラモデル製作入門 <第13回> エアブラシ塗装・実践編
 プラモデルの基本テクニックを、初歩の初歩から順を追って解説するプラモデル製作入門。前回はエアブラシ塗装・準備編ということで、必要な機材にスポットを当てました。今回は、実際にエアブラシを使ってみます。

 初心者の方は、エアブラシと聞いただけで尻込みしてしまうかもしれませんが、百聞は一見にしかず。この特集を参考にして是非チャレンジしてください。実際に使ってみると意外と簡単なので驚かれると思います。



コンプレッサーとホースを接続

 まずは、コンプレッサーとレギュレーター、エアブラシを接続します。コンプレッサーとホースを接続する際は、歪まないよう、しっかりとネジを根本まで締めてください。写真のホースは1/8(S)ネジです。

レギュレーターを接続

 写真のレギュレーター(水抜き機能付)に、エアブラシ用のホースを接続します。レギュレーターは、コンプレッサーの圧力を調整する機械です。基本は、運転時ゲージを見て 0.1~0.2MPaくらいにセットします。圧の強さは、塗装する箇所、大きさなどで変更しましょう。

エアブラシを接続

 レギュレーターにつないだホースの反対側をエアブラシに接続します。これでエアブラシ塗装の準備はOKです。

試運転

 電源を入れて試しにエアブラシを吹いてみます。エアブラシのボタンを押してエアーがきちんと出ているか、ホースのジョイントから空気が漏れていないか、確認してください。漏れている場合は、一度電源を落とし、エアブラシのボタンを押して、コンプレッサー内の空気を抜いてからホースを外します。

 接続後、レギュレーターのゲージも確認してください。エアーが漏れている場合は、このゲージが安定していないはずです。レギュレーターが無いモデルや、ゲージが無いモデルは、一番強くエアーが出る状態に調整します。

筆者の塗装環境

 上のフィルター部分はスプレーブースで、テーブルにレギュレーターとエアブラシホルダーを設置。テーブル下のコンプレッサーは、振動を防ぐ為、スチロールブロックを敷いています。左右には塗料などを収納。テーブルの上には、いつでも試し吹きできるように、常時段ボールの切れ端が敷いてあります。塗料の濃度を確認する為、とりあえずここで一度吹き付けてから塗装します。

エアブラシの操作

 写真のエアブラシは、ダブルアクションタイプ。人差し指でボタンを押し込んで、指の力を抜くと、エアーと塗料が混ざって、霧状の塗料が吹き出す構造です。ボタン操作の力加減で霧の濃淡をコントロールできますが、この辺りは慣れが必要なので何回も試してみてください。

エアブラシの各部名称

 まずは、写真上をチェック。希釈した塗料を入れるための【1】塗料カップ。エアーと塗料の量を調節する【2】ボタン(レバー)。

 写真下に移って、先端保護用の【3】ニードルキャップ。ノズルを保護して、空気の流れを作る【4】ノズルキャップ。【5】ノズルは、塗料の流量を決める重要なパーツ。商品のスペックにある「口径0.*mm」はこれを指しています。【6】カップ用フタ。ニードル保護の【7】テールキャップ。【8】ニードル固定ネジ。【9】ニードルは、鋭利で繊細なパーツなので、取り扱いにはご注意ください。

吹きつけ

 実際に塗料を吹きつけていきたいと思います。エアブラシのカップに塗料を入れるのですが、塗料は希釈(薄める)しないとキレイに吹きつけることができません。塗料の濃度が濃いと、エアブラシが詰まってまったく塗料が吹き出なかったりします。

塗料を溶剤で希釈します

 今回塗料はラッカー系を使用。塗料1に対して溶剤が2~3の割合です。ビンの塗料も揮発するのでおおよその目安です。実際には溶剤をスポイトで添加しながら、調色スティックで混ぜて濃度を微調整します。塗料を皿の縁につけ、少し垂れる位がベストです。大体牛乳くらいの粘度ですね。

エアブラシのカップで希釈

 基本は、塗料を入れて溶剤で調整しますが、今度は逆に、溶剤を先にいれて、後から塗料を入れて濃度を調整します。塗料はしっかりとカップ内で混ぜて、ノズルを指で押さえてから、吹きつける動作をしてください。すると、カップ内で逆流が起こって、塗料が混ざります。この際、溶剤が多すぎたり、エアーが強すぎると塗料が飛び散りますのでご注意ください。この方法は上級者向けのテクニックなので、難しそうだと思ったら読み飛ばしてくださいね。

試し吹き

 いきなり対象に吹きつけると失敗するかもしれませんので、試し吹きしてから本番に望んで下さい。エアブラシのボタン操作は、押し込むと風量の調整。ボタンを引くと塗料が出ます。いきなり全開にするのではなく、微調整しながら使用します。エアー圧は、レギュレーターで操作すればいいのですが、塗料の出る量は、ニードルを開く(塗料を多くする)、絞る(塗料を少なくする)ことで調整します。ダブルアクションの場合、常に全開で使うことはありません。

濃度の確認

 塗料の濃度が合わないと垂れたり、粒になったりして平滑に塗れません。吹きつけてこれらの状態が出る場合は、濃度を調整してください。粒が飛んだり糸を引く場合は、塗料が濃いので薄めます。塗装面が垂れたり、波打つときは、塗料の濃度を上げてください。

 濃度の調整に合わせて、エアブラシの吹きつける距離、エア圧が関係してきます。距離と圧力を調整して一番いいところを見つけてさい。上手く吹けましたらキレイなグラデーションになります。

いよいよ本番です

 エアブラシ塗装の基本は、薄い色を塗り重ねていくこと。エアブラシの薄い塗膜はすぐに乾きますので、均等に吹きつけていってください。塗装面は常に一定のスピードで移動し、エアブラシの距離も一定に保って下さい。途中で止まったりするとそこだけ塗装が厚くなります。それと、出来るだけ吹き続ける方がいいです。

 初めてのときは、すぐに手を止めたくなりますが、あまり考え過ぎず塗り続けて下さい。間違って塗ったとしても、塗り直せばいいのです。奥まったところや、先端などの塗りにくい場所を先に塗っておくとキレイに仕上げやすくなります。

吹きつけ幅の調整

 写真上は、ニードルを開き、エアー圧を強めにすることで広い範囲を一気に塗装したところ。その際、塗装する対象から10~15cm程度離して塗装してください。大きなモデルで広い範囲を塗装する場合はこのように調整します。注意点として、塗装面のざらつきが出たり、光沢塗料なのにツヤが無い状態は、離し過ぎです。近づけて塗装するか、エアー圧を上げることで調整します。

 迷彩やピンポイントで塗装する場合は、写真下の細吹きで塗装します。ニードルを絞り、エアー圧は弱めにします。塗料は少し濃度を薄めます。(溶剤を多めに希釈する)更に、塗装する対象に出来るだけ近づけて吹きつけることで、細く吹きつけることができます。線を引いたり、絵を描くなどして、いろいろ試してみて下さい。

作業終了・運転停止

 塗装が一通り終わりましたら電源を切ります。電源を切っても、コンプレッサー内に圧が掛かっていますので、エアブラシを利用して、圧(空気)を抜ききってください。圧が掛かったまま放置すると、故障の原因になります。また、本体や水抜きに水が溜まりますのでこちらも毎回抜いて下さい。放置すると錆びてしまうことがあります。

メンテナンス

 塗料の色を変えるときや、作業を終了する場合はエアブラシをキレイにします。塗料をビンやスペアボトルに戻してカップ内をキレイに拭き取ります。

うがい

 溶剤・薄め液を入れてうがいをし、エアブラシ内の塗料を吐き出します。ノズルを指で押さえてボタンを押し込んで吹きつけます。すると、カップ内に溶剤が逆流し、内部の塗料が出てきます。これを拭き取るか、ビンに移し替えてください。カップの底に残った塗料は、細い筆か、綿棒などでキレイに拭き取ります。
空吹き

 再度溶剤を入れてクリーナーボトルか、ティッシュなどに吹きつけます。透明になっていればキレイになった証拠です。色が無くなるまでこの作業を繰り返します。更に塗装を行う場合は、ここで新しい塗料を入れます。
※ノズルに塗料が着いていないか確認が必要です。

ノズル、ニードルキャップを洗浄

 作業を終了する場合は、ノズルとニードルキャップを洗浄してください。ノズルとニードルキャップを外す際は、ニードルを後退させて、針のような先端部が曲がらないようにしてください。通常のメンテナンスはここまでです。

ニードルを洗浄

 最後にニードルを抜いて綺麗にします。テールキャップをはずし、ニードルの固定ネジを緩め、ニードルを引き抜きます。先端に塗料が付いていますので綺麗にしてください。先端は、針状になっていますので、けがをしないように気をつけると共に、曲げないようにしてください。キレイにできたら速やかに戻します。これでメンテナンスが終了です。すべて分解掃除も出来ますし、しなければいけない時もありますので、いずれご紹介したいと思います。不用意に分解することは故障の元になりますのでご注意ください。



 エアブラシ塗装は、基本がわかれば誰でもキレイに塗装することができます。作りやすいキットを買って、たくさん塗装してみましょう。まずは基本に忠実に、ムラ無く塗ることを実践してください。エアブラシは薄く塗るのが基本です。最初の一回はほとんど色が乗りません。これを重ねていって綺麗な色を出してください。(彩度を上げていく)一気に塗っても、デコボコになったり、垂れたりして、平滑にはなりません。すべてエアブラシで仕上げようとするのでは無く、場所によっては筆塗りも併用するとよいでしょう。道具をうまく使って快適に、スムーズに模型を完成させてください。エアブラシを使いこなせるようになると、塗装の幅が広がります。





        --- E N D --- 2013/7/3 公開(ガルダン