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プラモデル製作入門 第7回 プラモデル用塗料の種類


・プラモデル製作入門 <第7回> プラモデル用塗料の種類
 かつて作ったことがあるはずなんだけど、知っているようで知らない、プラモデルや模型の作り方。この特集では、今さら人には聞けないと思っている方や、これからプラモデル作りを始めようという方へ、プラモデルの基本テクニックを、初歩の初歩から順を追って解説いたします。

 今回取り上げるのは、プラモデル製作に無くてはならない、塗料です。前回までにご紹介した内容は、塗装無しでも楽しめるガンプラなどが中心でしたが、プラモデルの多くは、塗装が必要。しかも、その塗装が一番の醍醐味だったりしますので、是非チャレンジしてみてください。

 まずは、塗装する前に、塗料の種類についてご紹介していきます。



プラモデル用塗料とは・・・

 プラモデル用塗料とは、プラモデルや工作、模型を塗装するのに最適な塗料です。それ以外の塗料でプラモデルを塗装すると、色が載らなかったり溶かしてしまうこともあります。プラモデル以外ではスチロール、アクリル、塩化ビニール樹脂、木、金属、石膏などにも使えます。

 塗料には大きく分けて3つの種類があり、ラッカー系、水性アクリル、エナメルです。基本になるこれらの塗料はビンに入っていますので、取り出して使用します。塗料は希釈(薄める)して塗装しますので、塗料に合わせて溶剤も専用の物が出ています。

 また、ビン入り以外では、エアー缶の塗料もあります。それぞれ特長がありますのでご紹介していきます。

ラッカー(油性)塗料

 プラモデル用の油性塗料です。正式には有機溶剤系アクリル樹脂塗料と言いますが、一般的には油性、もしくはラッカー系塗料と呼ばれています。(※ここでは水性アクリル塗料と区別する為に、ラッカー系と記載します。ホームセンターなどで販売されているラッカー系塗料は、プラモデル用より更に溶剤の強いもので成分に違いがあります)

 日本では一番使われている塗料で、扱うメーカーと種類も豊富です。塗膜が強く、乾きが早いのが特長。筆塗りにもエアブラシにも使えます。性質の違う塗料を上塗りする場合は、ラッカー系が一番下になります。塗料重ね塗りの基本は、「ラッカー」→「水性アクリル」→「エナメル」です。

 また、ラッカー塗料は、独特の匂いがあるので使う場所を選びます。周りにいる方への配慮も必要です。成分には有機溶剤が含まれますので換気はキチンと行ってください。
【該当商品】 クレオスMr.カラーガイアカラーフィニッシャーズなど

水性アクリル塗料

 ラッカー系についで種類も豊富な塗料です。匂いが少なく、ノビ、発色が良いので筆塗りにも適しています。正式名称は水溶性アクリル樹脂塗料と言います。ラッカー系同様”アクリル”とつきますが、アクリル塗料と言うと一般的に水性塗料を示します。

 海外では水性アクリルやエナメル塗料が主流のようです。匂いはありますが、ラッカー系ほどキツイ匂いではありません。しかし、同じように有機溶剤が含まれますので、換気は必要です。水性なので筆の水洗いができます。(※乾ききると水洗いはできません)

 水性ですが、タミヤ製の塗料は薄める際に、専用のアクリル溶剤を使います。クレオス製は水で薄めて使うことができます。もちろん専用のアクリル溶剤もあります。水性とは言え、乾燥すれば耐水です。水で溶けることはありません。また、デカールを溶かすことがありませんので、透明のものはデカールの保護に使えます。
【該当商品】 タミヤカラー アクリルミニクレオス水性ホビーカラーMr.トップコート(水性)など

エナメル塗料

 発色・のびがよく、塗装ムラが出にくい塗料です。日本でエナメル塗料と言えば、タミヤカラーエナメル塗料です。ラッカーや水性アクリルよりも乾きが遅いため、塗料が広がり、塗膜がとても滑らかになります。ツヤ有りの発色はとてもよいのですが、金属色もきめが細かくエナメルならではの質感です。ウェザリングやスミ入れにもよく使われます。

 以前の特集でご紹介したタミヤ スミ入れ塗料もエナメル塗料です。前述の水性アクリル塗料同様、デカールの上に塗っても大丈夫です。クリアを塗るとデカールの保護に使えます。
【該当商品】 タミヤカラーエナメル塗料など

スプレー缶

 スプレー缶は水性などの表記が無い限り、基本的にラッカー系塗料となります。ビンではラッカー系を扱わないタミヤも缶入りはラッカー塗料です。

 大型の艦船模型や車のボディ、飛行機などの平らな面、広い範囲を塗装する場合はスプレー缶の出番です。エアブラシのように吹き出す力を調整はできませんが、キレイな塗膜を作ることが出来ます。

 また、Mr.カラースプレーの光沢、メタリック色などはMr.カラーと異なる樹脂を使用しています。Mr.カラー比べ発色と肉持ち(乾いた際の塗膜の厚み)が良くなっているので、カーモデルに最適です。
【該当商品】 タミヤ スプレーカラークレオスMr.カラースプレーガンダムカラースプレーなど

トップコート

 前回の特集でご紹介したトップコートも塗料の一種です。トップコートには、水性とラッカー系の2種類があります。

 特性はビンのものと同じですので、ラッカー系のトップコートを水性アクリルやエナメルに塗装できません。水性トップコートはどの塗料にも対応しますので、特に思うところが無ければ水性をお使いください。デカールにも安心して使えます。
【該当商品】 Mr.スーパークリアー(光沢)Mr.スーパークリアーUVカットMr.トップコート(水性)タミヤ スプレーカラー クリヤーなど

各種溶剤

 塗装する際に、塗料そのままでは筆でもエアブラシでも濃すぎることがあります。そんなときは溶剤で希釈(薄める)することで塗料を塗りやすくします。

 各メーカーから種類に応じて専用のものが発売されています。基本的には同一メーカーのものを使います。希釈以外にもこれらのうすめ液・溶剤を使って筆や塗料皿なども洗います。塗料を扱う際には必需品となりますので、ぜひ一緒にご用意ください。

 塗料の希釈度合は扱う塗料の種類と状態、使い方によって変わります。筆塗りよりもエアブラシはうすめ液が多くなります。水性塗料は希釈が少なく、揮発しやすいラッカー系は希釈が多くなります。下記は筆者の感覚的なものですが、参考にしてください。

【希釈の比率】       
  • ラッカー系・・・1:1~3
  • 水性アクリル・・・1:0.0~1.0
  • エナメル・・・1:0.5~1.5

  • (※数値は 塗料:うすめ液)

     筆塗りとエアブラシで希釈量を調整するのですが感覚的なものがあります。いろいろ試してみてください。
    【該当商品】 Mr.カラーうすめ液Mr.水性ホビーカラーうすめ液タミヤカラー アクリル溶剤タミヤカラー エナメル溶剤など


    リターダー

     塗料にリターダーを混ぜて乾燥を遅らせることで、塗膜が均等になり、ツヤが出てキレイに仕上がります。タミヤからはアクリル用も発売されています。レベリングうすめ液、ブラシマスターは、あらかじめリターダーが溶剤に添加されているので、エアブラシ塗装する場合はこちらが便利です。いずれも添加のし過ぎは厳禁です。乾きにくくなります。

     また、筆塗りする際、塗装ムラを無くすのに効果があります。エアブラシでカーモデルなど、光沢塗装する場合にも適しています。Mr.リターダーマイルドの添加量は筆塗りで10%以下、エアブラシは20%以下を目安にしてください。
    【該当商品】 Mr.リターダーマイルドペイントリターダー(アクリル塗料用)Mr.レベリングうすめ液ブラシマスターなど

    ツール用洗浄液

     エアブラシや筆、塗料皿の洗浄に使います。基本的に各種うすめ液、溶剤で洗浄できるのですが、ツールウォッシュを使うと用具を洗う時間を短縮し、よりキレイに洗浄することが出来ます。

     これらの洗浄剤はメーカー毎に購入する必要はありません。どれか一つあれば事足ります。ただし、この洗浄液で塗料を薄めることはできませんので、お間違いのないようにしてください。
    【該当商品】 ツールウォッシュMr.ツールクリーナータミヤ・エアブラシクリーナーなど

    真溶媒液

     ビンの中で粘度が高くなったり、乾いてしまったMr.カラー(クレオスのラッカー系塗料)専用の溶媒液です。その他の塗料には使用できません。

     うすめ液には含まれていない塗料樹脂を含んでいますので、本来の塗料の性能をほぼ回復させることができます。溶媒液を入れすぎたカラーはプラを溶かす場合があります。くれぐれも入れすぎにはご注意ください。”そう言えば押し入れの奥に塗料があったな”と、言う方にはオススメです。試しに引っ張り出してみてください。
    【該当商品】 Mr.カラー専用 真溶媒液(補充液)

    重ね塗りの基本

     塗料には成分の違いで重ね塗りが出来るものと、出来ないものがあります。基本は、「ラッカー」→「水性アクリル」→「エナメル」の順番で使うのが一般的です。同一種の塗料は重ねることができますが、下地を溶かさないように塗ってください。

     また、基本は上記のようになりますが、エナメルの上に水性アクリルを塗装することはできます。

    使用上の注意

     いずれの塗料、液体も有機溶剤が含まれているため、塗装の際は換気を怠らないようにしてください。これは匂いが少ない水性でも同様です。また、可燃性ですので火気厳禁です。

     塗料は湿度が高いところでは塗装できません。かぶり(白く濁る)を起こします。極端に気温が低い場合も塗装に失敗することが多いです(特にスプレー缶)。ABS樹脂パーツに塗装した場合、樹脂に塗料が浸食して、パーツが脆くなり、割れたりすることがあります。エナメル塗料は乾燥が遅い分、溶剤がプラモデルを浸食しやすく、パーツが脆くなることがあります。



     結局のところ、どの塗料を使えばいいのでしょうか。日本で一番使われているのはラッカー塗料です。四季のある日本では湿度、温度の変化が大きい為、この塗料が扱いやすいのだと思います。

     一つのパターンとしましては、一番のメインの塗料(塗装)をラッカーか水性アクリルで行い、ワンポイントのウェザリング、スミ入れなどはエナメル塗料で行う方法です。ラッカー系と水性アクリルでは、ラッカー系のほうが種類が豊富なため、まわりを気にせず使えるならラッカー系がいいでしょう。ラッカー系の匂いが気になる、周りへの配慮が必要な場合は、水性アクリルのほうがいいです。後は必要に合わせてエナメル塗料を揃えます。

     プラモデルの説明書にはカラー指定がなされていますが、タミヤ製品は自社の水性アクリル、エナメルが指定されていて、その他メーカーは、GSIクレオスのカラー番号指定が一般的になっています。これらをふまえてご自身に合った塗料をお選びください。後は筆やエアブラシなどの道具があれば塗装できます。





      --- E N D --- 2012/12/4 公開(ガルダン