2022.12.06
Joshin 試用レポート
【プリンター比較 最新版】キヤノン・エプソン・ブラザー・HPの、プリント&コピーの速度をチェック!



【プリンター比較2022】キヤノン PIXUS「TS8630」/ エプソン Colorio「EP-885」/ ブラザー PRIVIO 「DCP-J926N」/ HP「ENVY 6020」
Joshin webショップ恒例の、プリンター主要メーカー徹底比較特集を開催!
今回は毎年おなじみの「キヤノン」「エプソン」「ブラザー」に、初登場となる「HP」を含めた4社のプリンターを比較します。
写真プリントや書類の印刷を行い、色味と印刷速度をチェックしたので、ぜひ参考にしてみてください。 ライター:もあ
キヤノン、エプソン、ブラザー、HPのプリンターをチェック!
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写真プリントに欠かせない、家庭用プリンター。
パソコン周辺機器の中では寿命が長く、年賀状シーズンにしか使わないという方だと、最近のプリンターがどのように進化しているのか知らない方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、家庭用プリンターでおなじみ、キヤノン・エプソン・ブラザー・HP(エイチピー)のインクジェットプリンターの実力を徹底比較!
今のプリンターのトレンドである、Wi-Fiや専用アプリを使った「スマホプリント」、在宅ワークやオンライン授業の普及で需要が高まった「書類の印刷・コピー」についても、しっかりチェックしていきます。
今回比較する4機種のプリンターのうちHPのみ、本体に画面モニターとSDカード・USBスロットがなく、専用のスマホアプリで全て操作できる手軽さが特徴の「スマートプリンター」です。
キヤノンにもUSBスロットはありませんが、SDカードスロットがあるのでデジカメなどで撮った写真のプリントに困ることはありませんよ。
外観については、前モデルのないHPを除くすべてのメーカーが、前モデルからの大きなデザイン変更はないように見えます。
キヤノン・・・コンパクトで画面モニターが大きく見やすい。下部のカセット部分が前に飛び出ていてしゃくれているように見えるのは少し気になる。
エプソン・・・4機種の中で1番コンパクトで置き場所を確保しやすい。角が少し丸みを帯びていて機械っぽさがなくインテリアになじみやすい。
ブラザー・・・4機種の中だと1番オフィス向けなデザイン。少し高さがあって大きく見えるが、奥行がスッキリしているので設置しやすい。
HP・・・モニターがないため他社からの乗り換えの際は少し操作に戸惑うかも。物理ボタンがなくて1番シンプルに見える。背面トレイがない。
用紙カセットと背面トレイ
4機種とも前面の用紙カセットには、A4用紙を最大100枚までセットできます。
背面トレイには、キヤノンが100枚、エプソンとブラザーはそれぞれ1枚ずつセット可能。
キヤノンとエプソンは天面のカバーを開けるタイプなので、後ろの壁を気にせず設置できるのもポイントです。
用紙をたくさん入れられホコリが付きにくいことから、前面の用紙カセットを使う方が多いと思いますが、背面トレイにも紙詰まりがおきにくく、裏表も間違いにくいといったメリットがあります。
ただ背面トレイには、多くのプリンターは「セットできる枚数が少なく背面にスペースが必要」といったデメリットもあるのですが、キヤノンが普通紙100枚セット可能でトレイは天面に設置と、弱みを見事カバーしているのは素晴らしいですね。
インクの確認
インクジェットプリンターが搭載しているインクには「染料インク」と「顔料インク」の2種類があり、写真と文字のどちらをメインに印刷したいかで選びます。
染料インク
インクが用紙の内部に染み込むことで着色するインク。
発色が良く色鮮やかに仕上がり、用紙のもつ光沢感を十分に活かせることから、写真プリントに適している。
インクが用紙に定着するまで少し時間がかかり、プリント直後と定着した後では色の見え方が異なることもある。
メリット:光沢紙での発色に優れる、プリント速度が速く生産性が高い
注意点:水ぬれ・にじみに弱く、光や空気に触れると時間とともに色が薄くなりやすい
顔料インク
インクの粒子が用紙の表面にとどまることで着色するインク。
インクが染み込んで広がることがないため、文字をくっきり鮮明に写せるのが特徴。
染料インクに比べ、プリント後に色が定着するのが速いことから、ビジネス文書の印刷に適している。
光沢紙の場合、反射光によってムラが出やすいため、写真プリントの際の色鮮やかさは劣る。
メリット:高精細・高階調、耐水性に優れにじみにくい
注意点:こすれ・はがれに弱い、光沢紙では反射光によってムラが出やすい
キヤノン・ブラザー・HPは、カラーを染料インク、文書に使うことの多いブラックは顔料インクを採用。
インクの数は、文字を中心に印刷するならブラザーとHPの4色で十分ですが、写真やイラストを鮮やかに印刷するなら、キヤノンとエプソンのように染料インクが多いモデルがおすすめです。
エプソンは6色全てが染料インクなので、写真プリントの際は1番鮮やかな色合いになる予感。
キヤノンは写真と文書の両方をバランスよく印刷ができる「グレーインク」を搭載して、安定したグレー色調を実現。
ブラザーとHPはインクの数が少ない分、インクカートリッジがリーズナブルなので、大量に印刷したい方にはうれしいです。
今回試す4機種は、それぞれ採用しているインクの数や種類が異なるので、どのような色になるか楽しみです。
特に比較特集初登場のHPが、唯一3色一体型インクを採用しているので、他との色の違いが気になります。
写真プリントとコピーを作成!色味を比較します!
早速印刷して色味の違いを見ていくと共に、たくさんプリントする方にとっては最重要となる、印刷スピードを計測していきます。
写真用紙は、キヤノンは「光沢ゴールド」、エプソンは「クリスピア高光沢」、ブラザー・HPは「FUJIFILM 写真仕上げPRO超高沢」を使用し、A4サイズで印刷。
文書とチラシのコピーには、事務所のコピー機で使用しているA4普通紙を使用しました。
プリント後にスタッフが確認し、どれが1番好みの色か、どのあたりに各社の特徴が出ているかを聞いてみましたよ!
※ HPはSDカードスロットがないので、スマホプリントとコピーのみの参加です。
写真プリント
まずはみかんの形をしたスイーツで色の鮮やかさをチェック!
キヤノンは写真全体が明るく、元データの色合いに1番近いことから、スタッフ人気が圧倒的。
エプソンはグレーの出方がキレイでオレンジもすごく色鮮やか。影になる部分(写真右下の方)が濃くスイーツに立体感があるように見えます。
少しコントラストが強すぎではという意見もありましたが、被写体がハッキリ写っている方が好みのスタッフからは高評価でした。
ブラザーは4色インクな分、他の2機種と比べるとどうしても色の足りなさが出てしまい、全体的に薄めのベールがかかったような仕上がりとなりました。
印刷速度は例年通りキヤノン、エプソン、ブラザーの順に速く、印刷する写真にもよりますが3社とも前モデルより数秒速く印刷が完了しています。
キャンドルの写真では地面の質感まで鮮明に写したキヤノンと、明暗をハッキリと表現したエプソンでスタッフの好みが分かれました。
キヤノンとエプソンはどちらも色鮮やかでキレイに写しますが、暗い場所の色のべたつき方に大きく違いが出る印象です。
ブラザーは前モデル同様少し黒の表現が苦手なのか、全体的に明るく写ってしまいました。
植物をマクロレンズで撮影した写真では、背景のボケ感にも大きく違いがでました。
キヤノンは想像していたよりも植物の色が濃くなりましたが、白が飛びすぎていない正確なボケ感に「これは絶対キヤノンの色だ!」と見事正解するスタッフが続出。人気も1番です。
エプソンはコントラストの高さ故か背景のモヤっとした部分が白飛びしてしまい、植物の赤色は1番好みなのに惜しい・・・!という声が上がりました。
ブラザーは全体的にふんわりとした印象で、女性を中心に「優しい色合いが好き」という意見も多かったです。
スマホアプリを使ってプリント
スマホ(iPhone 13 pro)で撮影した写真を、各専用アプリを使ってA4サイズでプリントしました。
ここでもスタッフの人気はキヤノンとエプソンに分かれました。
キヤノンは青色の彩度が高く色鮮やかに仕上がり「この自然な明るさがいい」と人気に。
他のプリンターがSDカードスロットからのプリント時と印刷スピードがあまり変わらなかったのに対し、キヤノンは約半分の時間で完成したのも高ポイントです。
エプソンは空と海の色の再現性が1番高いと、カメラを趣味にするスタッフを中心に人気でした。
特に中央付近にある青い建物と機械が細部までキレイな色で、物の質感が1番伝わってきます。
ブラザーはスマホプリントでも薄く白いフィルターがかかったような仕上がりに。
今回印刷した風景写真は、色の発色と細部のシャープさを求めるスタッフが多かったので、もう少し色がほしい!という意見が多かったです。
ふわっとした柔らかい雰囲気が合う、植物や食べ物のほうが相性がよさそうですね。
どんな色になるか気になっていたHPは、想像以上にコントラストが高く、写真を色濃く加工したような仕上がり。
「ビビットな雰囲気が好き」というスタッフもいましたが、元の写真の色から1番離れてしまったこともあって人気は伸び悩みました。
チラシをカラーコピー
※チラシをA4でカラーコピーし、5枚連続印刷を行い、印刷物の一部を抜粋したものです。
写真プリントでは、キヤノン・エプソンとの違いがすぐに分かると言われていたブラザーとHPですが、単色が目立つチラシのカラーコピーになると一気に本領を発揮!
「うーん・・・この明るさはキヤノン!・・・え!?HPなの!??」と、写真プリントで全てのメーカーを当てたスタッフも驚きの結果となりました。
ブラザーは色の正確性の高さと印刷スピードが速さで、4機種の中で1番人気に。
画像の右端あたりの青色に各社の色の個性が出ましたが、ブラザーは作ったような明るさではなく自然な色味で、小さな文字も見やすいと好評でした。
HPは印刷スピードは少しかかりましたが、赤や黄色を中心に明るい色がハッキリ出て、価格表示が1番目立っていたことから、1番チラシ向きだと人気に。
キヤノンも全体の発色が明るく、自然に目に入ってきやすい色だと高評価でしたが、右端の青色が少し抜けたようになってしまったのが惜しい・・・!
全て染料インクのエプソンは、少し色が重たく薄暗い印象です。やはり普通紙に文字の印刷となると顔料インクの方がハッキリ写るみたいですね。
資料をモノクロコピー
※資料をA4でモノクロコピーし、5枚連続印刷を行い、印刷物の一部を抜粋したものです。
モノクロコピーで1番見やすいと人気だったのはHP。
4機種の中で色の正確性が1番高く、黒は濃くハッキリしているのに、グレーの部分は文字をジャマしないちょうどいい薄さをキープできています。
5枚の印刷時間が約30秒と、かなり速かったのも高ポイントでした。
キヤノンの文字も細部までくっきりとしていて読みやすいですが、グレーが少し濃く出すぎてしまったのが惜しい。
白と黒のコントラストは1番高く見えるので、今回用意した資料よりもさらに小さな黒字の長文を印刷しても、読みやすいのではと思います。
モノクロ印刷に定評のあるブラザーは、今回も圧倒的スピードとハッキリした黒色で「やっぱり見やすい!」と人気を集めましたが、グレーの色が上手く出ませんでした。
エプソンは今回の4機種の中では1番色味が淡く写ります。
しかし文字につぶれた様子やドット感がなく滑らかな色合いで「1番長時間見ていても疲れないかも」と高評価でした。
まとめ
色の再現性が高く自然な色味が高評価で、スタッフの多くが1番好みの色だと回答。
写真プリントではコントラストが強すぎず、全体的にふわっと明るい色になる印象ですが、影や光の描写が上手く不自然な飛び方をしないのが良かったです。
チラシは資料のコピーも文字の読みやすさという点で優れており、印刷スピードも申し分なく、画面操作や用紙のセットなど使いやすさも抜群!
4機種の中で1番、写真と文章どちらの印刷もオールマイティにこなせるので、家族みんなで使いたいご家庭にピッタリです。
光沢紙に印刷した時の色の鮮やかさとメリハリは4機種中トップクラスで、グラデーションや被写体の立体感などリアルな質感を表現できます。
6色全て染料インクなので、光沢紙へのプリントが1番得意!写真印刷に特化したプリンターです。
普通紙での文書の印刷は色が少し暗くなる印象。
またインクが乾くまでの時間が4機種で1番かかったこともあり、ビジネスで使うには向いていないかもしれません。
コンパクトでインテリアになじみやすい外観は、スタッフ人気が圧倒的でした。
写真プリントはフィルターがかかったような、ふわっと柔らかい雰囲気に仕上がることが多く「発色がもう少しほしい!」と思う方もいそうです。
しかし普通紙への文書印刷になると、小さな文字も読みやすいハッキリした色合いで「文書はやっぱりブラザー」という意見が多くありました。
印刷スピードも圧倒的なので、在宅ワークやオンライン授業で資料を頻繁にプリントしたいという方にピッタリです。
比較特集では初登場のHP。
本体操作がスマホアプリに依存する、他の3機種とは少し違った個性を持つプリンターで最初は使い方に戸惑いましたが、セットアップが完了すればスマホをリモコンのようにして手軽に操作できます。
写真プリントの色の再現性は、他の3メーカーには及ばずといった結果でしたが、普通紙への文書印刷はなかなか優秀!
モノクロ文書の印刷・コピー・スキャンが得意な、手の届きやすい価格帯のプリンターという印象です。
使い方や機能がよく似たモデルが多いインクジェットプリンターですが、今回比較した4メーカーのように印刷の仕上がりやスピードに、それぞれ個性があります。
写真と文書のどちらをメインで印刷するか、使う頻度はどれくらいになるかを考えると選びやすくなると思うので、ぜひ参考にしてみてください。
この特集が、お客様のプリンター選びの手助けになれば幸いです。 2022.12.06 (もあ)