2025.01.17
Joshin 試用レポート
大画面を独占して映画やゲームが楽しめる!ARグラス『XREALシリーズ』を使ってみた



ARグラス XREAL One / XREAL Air2 Pro / XREAL Air2
メガネをかけると、目の前に大スクリーンが現れる「AR(拡張現実)グラス」。
動画やゲームを大画面で楽しむだけでなく、仕事のモニターとして活用するとの声もある、近未来的なウェアラブルデバイスだ。
ARグラスでトップのシェア率を誇る『XREALシリーズ』をお借りしたので、"ARグラスとはどういったアイテムなのか"を中心に、実際に使ってレポートしていこう。 ライター:もあ
ARグラス XREALシリーズ
ARグラスで何ができる?
ARグラスはスマホ、パソコン、ゲームなどの映像をメガネのレンズ越しに投影するデバイス。
今回お借りした『XREAL One』『XREAL Air2 Pro』『XREAL Air2』は、本体と端末をUSB Type-Cケーブルで接続するだけ※で、初期設定も何もなしに、すぐに端末の画面とリンクした大画面モニターが映し出される。
※ Nintendo Switchなど一部の端末は別途専用アクセサリーが必要です
※グラスに接続するデバイス側のType-CはDP Alt Modeに対応している必要があります
映像の世界に入り込んだような感覚になる「VR(仮想現実)」とは違い、目の前の風景に大スクリーンが重なって見えるもので、使用イメージは「設置場所を取らない大型モバイルディスプレイ」といったところだ。
大画面で滑らかに動く映像は映画館で観ているようで、動画やゲーム画面を映し出せば、エンタメがより楽しくちょっと特別な時間になる。
端末とケーブルを繋ぐ必要はあるが、どんな場所・体勢でもメガネをかけるだけで大画面映像を楽しめる手軽さが大きなポイントだ。
見た目は少し大きめのサングラスで目立ちにくく、持ち運びに最適な専用ケース付きで、新幹線や飛行機など長時間の移動の際も使いやすい。
映像はメガネをかけている自分にしか見えないので、周囲が気になる仕事関係の作業も安心して行える。
XREAL One/Air2 Pro/Air2の違い
XREAL One | XREAL Air2 Pro | XREAL Air2 | |
---|---|---|---|
重さ(約) | 82g | 75g | 72g |
視野角 | 50° | 46° | 46° |
最高輝度 | 600nit | 500nit | 500nit |
最大リフレッシュレート | 120Hz | ||
解像度 | 400万ピクセル 1920×1080 | ||
ディスプレイ | SONY製 0.68インチ Micro-OLED | SONY製 0.55インチ Micro-OLED | |
サウンド | Sound by Bose | 第2世代サウンドシステム | |
チップ | XREAL X1 チップ | - | |
3DOF | 本体で設定可能 | 「XREAL Beam」が必要 | |
調光機能 | エレクトロミック調光(透過率を3段階で調整) | - | |
接続端子 | USB Type-C |
3機種とも一般的なサングラスに近いシンプルなデザインで、外観はほとんど同じに見える。
しかし中身は上の表にある通り、最上位モデル『XREAL One』が飛び抜けて高性能だ。
XREAL Oneはシリーズで初めて、ARのために独自開発した最新チップセット「X1」を搭載。
映像が空間上に固定される「3DoFモード」の設定、ブレ補正、モードの切り替えなどが本体で行えるようになった。
他2機種も専用アプリに接続するか、別売の「XREAL Beam」があれば同じように使えるが、XREAL OneはBOSEのエンジニアが調整を行った迫力のサウンドや、わずか3ミリ秒の超低遅延、50°の視野角、最高600nitの明るい画面などワンランク上の要素が多くあり、実際に使い比べると臨場感が一味違う。
『XREAL Air2 Pro』と『XREAL Air2』の性能の違いは、調光機能(透過率の変更)の有無のみ。
実際の空間に投影する映像の見え方は周囲の明るさに影響されやすいので、自室だけでなく職場やカフェなど様々な環境で使うなら欲しい機能だ。
3機種ともケーブルで繋いだ端末から給電するため、ARグラス本体のバッテリーは考えなくていい。
視力補正用メガネの上から装着する「メガネonメガネ」は実際に試したが、レンズがズレやすく見え方に違和感があった。
XREALシリーズは視力に合わせた度付きの「インサートレンズ」を作成できるので、メーカーページに紹介されているXREALパートナー店に注文しよう。
※ XREAL Oneのみ他シリーズとレンズの形が異なります。各モデルに適したものをお選びください。
サイズ感と着け心地
一般的なサングラスと比べるとズッシリとしているが、中が空洞になった「ノーズパッド」がとても柔らかく、鼻に食い込む感じがほとんどない。
ノーズパッドはS/M/Lの3サイズが付属していて、XREAL Air2 ProとXREAL Air2は土台から交換、XREAL Oneはパッド部分をイヤホンのイヤーピースのように簡単に付け替えできる。
着け心地は3機種とも、テンプルは大きく開いて締め付けが優しく、先セルは柔軟性があり耳の上のカーブにフィットする。
長時間着けっぱなしでも耳や頭が痛くならず、とても快適だった。
ケーブルは耳の後ろを通って手にあたりにくいためか、動くときにやっと「そういえばケーブルあったな」と感じるくらい存在感が薄い。着け心地は大満足だ。
機能と映像の見え方
本体のテンプルの先(先セル)が端子になっていて、こことスマホなどの端末をUSB Type-Cケーブルで接続すれば準備完了。
実際に投影すると、視野角が50°のXREAL Oneは他2種よりふた回りほど大きな画面で表示される。
映像は目のすぐ前ではなく数メートル先にモニターがあるイメージで、映画館で真ん中あたりの席から見る感覚に近いと思った。
縦画面のSNSのタイムラインが、拡大表示なしでは文字がほぼ読めないくらいの距離だ。
色味はスマホで見るのとほとんど変わらず、動きもとても滑らか。
映像が最もクッキリ映るのは輝度の高いXREAL Oneだが、他2機種も室内で見るには充分だ。
XREAL OneとXREAL Air2 Proには「調光機能」があり、上の画像4枚目のイメージのように透明度を変更できる。
筆者は没入感を重視したいので、背景が真っ暗に近い「シアターモード」がお気に入り。
0DoF/3DoF表示の切り替え
「0DoF」は装着者の動きに映像が連動する見え方で、1つのモニター画面が常に正面にある状態。
「3DoF」はモニターを空間上に固定するため、視線を動かしても映像はついてこない。
個人的にだが、頭の動きと一緒に画面がゆらゆら揺れる0DoFは酔いやすく映像に集中しにくかったので、どのシーンで使っても見え方は3DoFがいいと思った。
XREAL Oneはテンプル下部にある小さな赤色のボタンで、0DoFと3DoFの切り替えが可能。
XREAL Air2 ProとXREAL Air2は基本0DoF表示のみで、XREAL社のグラス用アプリ「Nebula」に接続するか「XREAL Beam」を使うと3DoF表示を選択できる。
サウンド
スピーカーは左右のテンプルに計4基配置 -
3機種のサウンドを聴き比べてみると、XREAL OneだけYouTube動画の広告の声から圧が全然違って驚いた。
XREAL Oneはオーディオサングラスも展開しているBOSEの音響システムを取り入れており、クリアな声と豊かな低域が気持ちよく鳴り響く。
他2機種もバランスの取れたキレイな音だが、映画やゲームの迫力と臨場感はXREAL Oneが圧倒的だ。
筆者ならこの音だけで即XREAL Oneを選んでしまう。音漏れは3機種とも、iPhoneの音量40%くらいで同じ部屋にいる人には何の曲かわかる。
スピーカーが耳元にあるので大音量にする必要はないが、一般的な肩掛けスピーカーよりは周囲に音が響くと考えた方がいいだろう。
別売の専用アクセサリー
XREAL Beam Pro
『XREAL Beam Pro』はAR機能を拡張する、6.5インチのスマホ型デバイス。
Android OSを搭載し、Wi-Fi接続すれば"ほぼスマホ"だ。
本体右側面には3つのボタン(0DoFと3DoF表示の切り替え/ボリューム/電源操作)が並ぶ。
左側面にはmicroSDカードスロット、下部には2つのUSB Type-C端子(充電用/ARグラス接続用)が配置している。
XREALのARグラスを接続してできることは、Google Playストアにあるアプリの使用、空間に映し出された画面の録画、複数のモニターの立ち上げなど。
人の左右の目のほど離れた2つのカメラレンズでは、縦横だけでなく奥行の情報も入れた「3D撮影」も楽しめる。
XREAL Beam Pro端末にARグラスを繋ぐと、プリインストールされている「Nebula OS」経由で、自動的にARモードが起動する。
ARモードは端末に入っているアプリやGoogle検索バーが空間上に表示され、XREAL Beam Proをリモコンのように動かしポインターで操作するモード。
また、もう1つのモードである「AirCasting」は普通のスマホやパソコンと繋いだ時と同じく、端末の画面をそのまま投影するモードで、Beam Proの「My Glass」アプリから設定可能だ。
今回はARモードを中心に使ったが、これがものすごく楽しかった。
操作は投影した画面にXREAL Beam Pro向けると出てくる白い光のようなポインターを動かし、アプリのタッチパッド(上の画像1枚目中央)をタップしてクリックするもので少し慣れが必要だが、普段のスマホの操作を空間上で行うのが面白い。
また、3DoF表示にすれば上の2枚目の動画のように複数のアプリやサイトを立ち上げ、左/中央/右に複数モニターを置いている感覚で使えて便利だった。
サイトはパソコン画面表示で、小さい文字はモニターの拡大を使えば何とか見える。
文字入力は端末で行うので打ち漏れもしにくく、操作にさえ慣れると仕事にも使えそうだと感じた。
AR機能を充分に活用するなら、ぜひ一緒に用意したいデバイスだ。
XREAL Hub
『XREAL Hub』はUSB Type-C端子2つを搭載したハブ。
Nintendo Switchに繋ぎたいときの必須アイテムで、他の端末も充電しながらARグラスを使える。
使い方はメガネマークの端子とARグラスを接続、もう片方の電池マークの端子で充電とシンプル。
ARグラス本体にバッテリーはないが、その分接続端末の充電が減るのは早いので、長時間連続で映画を観たりゲームをするなら用意しておきたい。
実際に使った感想
スマホ、パソコン、Nintendo Switchに接続して一通り使ってみたが、家でエンタメを楽しむのにコレ以上のものはないのではと思った。
ライブ映像やMVなどで大画面で映る推しを独占できるのは素晴らしすぎるし、映画も端末で観るより大画面&迫力のサウンドの方が何倍も楽しい。
メガネをかけるだけなので装着しながらの飲食も問題なく、寝転んでプラネタリウム感覚で天井に投影された映像を見ることもできる。
もう寝ながら動画を見るときに、顔にスマホが降ってくることはないのだ。
ゲームは某太鼓のリズムゲームで全くストレスを感じないくらいには低遅延なので、反応に相当シビアなFPSゲームでない限りスムーズにプレイできるだろう。
筆者はRPGゲームを中心に遊んだが、小さめのテキストが見えにくいと感じることはなく、動きも滑らかで大満足だった。
ただサウンドは、XREAL Oneのクリアなボイスとガツンと前に出てくる低音がゲームの環境音やBGMにベストマッチすぎて、他2機種では少し物足りなく感じてしまう。
仕事面では文章やHTMLタグを打つにはモニターとの距離が少し遠く、うまく使いこなせなかった。
また手元が見にくいのでブラインドタッチができないと厳しい。
画像や動画の編集など大画面の方が嬉しい作業もあるが、ある程度慣れが必要な印象だ。
まとめ
今回お借りしたXREALシリーズはケーブルを1本繋ぐだけで、すぐに大画面映像を楽しめる。
ARと聞くと、最先端技術だ・・・絶対に使いこなせないやつだ・・・と思うかもしれないが、端末の画面を映画館のような大画面で映すというすごくシンプルなアイテムだ。
別売のアクセサリー「XREAL Beam Pro」に接続しての本格的なAR体験など、使い方次第でできることは多いが、とりあえず「エンタメをじっくり楽しむ」だけでもとても魅力的に思った。
今回の3機種では『XREAL One』が圧倒的に高性能だが『XREAL Air2 Pro』と『XREAL Air2』も充分迫力のある映像を楽しめる。
ただ個人的に見え方は3DoF表示の方が好ましいので、専用アプリに接続するか「XREAL Beam Pro」を用意したい。
家で映画や動画を楽しむとき、途中でスマホを触って"ながら見"になることがよくあるが、ARグラスなら映像だけに集中できる。
映画やライブ映像、3Dゲーム、RPGゲームなどが好きな筆者にはすごく合っていて欲しくなった。
まだ知らない方も多いであろう次世代のガジェットだが、スマホと一緒に持つのがマストになる未来がきても面白いと思う。 2025.01.17 (もあ)