2021.08.31
Joshin 試用レポート
ゼンハイザーの新生フラグシップ機「IE 900」を試聴レビュー!


ゼンハイザー ダイナミック密閉型カナルイヤホン IE 900
ドイツの有名音響機器メーカーSENNHEISER(ゼンハイザー)から、新たなフラグシップイヤホン『IE 900』が登場!
従来の最上位モデル「IE 800S」から3年以上経っての発売で、外観や音の作り方は大きく進化しました。
特にサウンド面は、さらに歪みのない音を追求し、アルミブロック削り出しから作られたハウジングに、新開発のドライバーを搭載、新たな音響技術「X3Rテクノロジー」を使用と、一切妥協がありません。
音源の魅力を最大限に引き出すため、音質にこだわり抜いた「IE 900」の実力をみていきましょう。 ライター:もあ
ゼンハイザー ダイナミック密閉型カナルイヤホン IE 900
新開発の「X3Rテクノロジー」を採用した妥協のないサウンド
ゼンハイザーが極上のリスニング体験を目指し作り上げた、ダイナミック密閉型カナルイヤホン『IE 900』。
2017年に発売した「IE 800S」に変わる新たなフラグシップ機で、新開発の7mm口径のダイナミック型ドライバー「TrueResponse(トゥルーレスポンス)トランスデューサー」を搭載し、新たな音響技術X3Rテクノロジー※を使用しているのが大きな特徴です。
さらに本体はアルミブロックからの削りだしで、高品質なハウジングを実現。見た目にも高級感が漂い目を惹きます。
※ X3Rテクノロジーとは
アルミブロック削り出しの本体内部に配置した、TrueResponse(トゥルーレスポンス)トランスデューサー・レゾネーターチャンバー・アコースティックヴォルテックスを融合した総称。
IE 900が初搭載となる音響技術で、透明感あふれるナチュラルなサウンドを体験できる。
約3年かけて、一切の妥協なく細部まで音質にこだわり完成させた「IE 900」は、くもりのない高域と重厚感のある繊細な低域、クリアで澄み切った中音域を実現。
再生周波数帯域は5Hz~48,000Hzで、特に10kHz付近の高域はIE 800Sよりも改善を重ね、よりノイズのない透き通るような音を楽しめるようになりました。
1度聴くと忘れられない透明感のある音で、音質にこだわりたいオーディオファンは虜になること間違いなし!
まずはIE 800Sから大きく形状が変わった、アルミブロック削り出しの本体からみていきましょう。
本体のデザインと付属品をチェック
セット内容:
本体、ケーブル(3.5mmステレオプラグ L型、2.5mm バランス、4.4mm バランス、MMCXコネクター)、イヤピース(シリコンタイプ・フォームタイプ 各S/M/L)、プレミアムキャリーケース、ケーブルクリップ、クリーニングツール&クリーニングクロス、プレゼンテーションボックス、サイン付き製品証明書、ユーザーマニュアル
質量(約):4g(ケーブルを除く)
ケーブルの長さ(約):1.25m
これまでのゼンハイザーのイヤホンは、主に樹脂やセラミック素材を使用していましたが、IE 900は金属製のアルミブロックの削り出しです。
メタリックな質感とツヤのない銀色のボディで、ひんやりとしたさわり心地も、ハイエンドモデルらしい高級感があります。
本体全体がアルミブロックで、見た目は金属の塊という印象ですが、ドライバーの口径が7mmと大きすぎないため思っていたよりもずっと軽くて驚きました。
IE 800Sから形状は大きく変わり、耳栓のように隙間なく耳穴を塞ぐ密閉型で、耳掛けタイプになりました。
リケーブルも、IE 800Sは左右に分岐するY字部分からケーブルを着脱していましたが、IE 900では本体にコネクター部があります。
形状だけ見ると、2021年発売の「IE-300」をメタリックにしたイメージです。
3種類のケーブルが付属
IE 900は、一般的な3.5mmステレオケーブルだけでなく、2.5mm、4.4mmのバランスケーブルが付属。
別途準備しなくても、すぐにバランス接続端子搭載のプレーヤーで音楽を楽しめるのはうれしい!
ケーブルは2本まで付属のキャリーケースに入れて持ち歩きできます。
キャリーケースにあるプレートには製造番号が記載されていて、こういった細かいところからもハイエンドモデルを実感します。
ケーブルは数千回の折り曲げに耐えられる耐久性を持っていて、特に耳にかけるハンガー部分はしっかりと太く、耳の形に添って折り曲げできるので装着感がとても良いです。
耳掛けタイプになったことで少しの衝撃ではズレず、タッチノイズは大幅に軽減されました。
本体のコネクター部は、ゴールドプレート加工のFidelity plus MMCXコネクターを採用し高い接続性を実現。
ゼンハイザー独自の形状なので、他製品のMMCXコネクターのケーブルには接続できませんのでご注意ください。
音を聴いてみた
装着してみた
耳穴に入れた後少し回して、隙間なく耳を塞ぐ形で装着します。
本体に触れる場所がひんやりとして金属感がありますが、実際に装着してみると驚くほど軽く、密閉型モデルの中では耳に負担がかかりにくい印象です。
音の感想
ソニーのウォークマン『NW-ZX507』を使用して、ハイレゾ音源を4.4mmバランス接続で聴いてみました。
最初に、遠くまでスッと通るような透明感のある音の拡がりに鳥肌が立ちました。
音の味付けは薄く、原音を忠実に鳴らすシンプルな音ですが、高域・低域共にくもりが一切なくて、他のイヤホンでは表現しずらい音もキレイに鳴らします。
ボーカルの声と楽器1つ1つの輪郭がハッキリしていて、特にベースラインを中心に低域のキレがよく、ダイナミックドライバーの良さも出ています。
10mm径以上の大型ドライバーを搭載しているイヤホンに多い、迫力のある重低音に特化した音とはまた違って、無理に低域を増強しているイメージはありません。
中音域はとても鮮明で、ボーカルの声は曲によってはサウンドより1歩前に出る印象。
息遣いやビブラートなど細かい表現を逃さず聴けて、そばで歌っているような臨場感もあります。
左右から聴こえる音のバランスがいいので、長時間でも聴き疲れしない音になっていると感じました。
音がクリアすぎて、静かなところから少しずつ音が入ってくる場所では音が一気に目立つ印象があります。
- アダムとイヴ / go!go!vanillas
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恋愛の本質をドラマチックなサウンドに乗せて歌うバンドミュージックです。
IE 900で1番初めに聴いた曲だったこともあり、入り出しのあまりにも艶やかなボーカルの声に鳥肌が止まりませんでした。
楽器の音も鮮明で、サビ前の細かいシンバルは叩く強さが分かるほど。
複数の楽器が重なる、曲終盤にかけての盛り上がりは聴いているとワクワクします。
- positions / ARIANA GRANDE
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声の透明感を1番感じた曲です。
高音で歌う箇所が多い曲ですが、所々入るハスキーな声との切り替わりがすごく自然で、1基のドライバーでここまで高域・低域を細かく作れるのかと驚きました。
5弦ベースすべてハッキリとした輪郭があり、ラストを締める1番高い音など、欲しいところまでしっかり鳴らしてくれます。
- 泣き笑いのエピソード / 秦 基博
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優しいメロディーに力強いボーカルの声が乗る、メッセージ性の高い曲です。
音程は単調で楽器もあまり多くないからこそ、IE 900で強化された中音域の鮮明さと音の拡がりがとても分かりやすいです。
声には臨場感もあり、コンサートホールで聴いているようなリアリティをあじわえました。
まとめ
原音を忠実にしたナチュラルサウンドで、極上のリスニング体験を目指すゼンハイザーの新たなフラグシップイヤホン『IE 900』。
新たなドライバーや音響技術を使い、一切妥協せず作り上げた音は、鳥肌が立つほど透き通っていて音の拡がりを感じやすいです。
アルミブロック削り出しのメタリックな本体はハイエンドモデルらしい高級感を放っていて、外観に魅了される方も多くいそう。
1つ1つ製造番号が記載されたキャリーケースもあり、所有欲も満たされます。
最近はワイヤレスイヤホンで音楽を聴くことが多かったのですが「いい音をじっくりと聴きこむならやっぱり有線イヤホンだな」と改めて思いました。
音質にこだわりたいオーディオファンなら1度は聴いてみてほしいクオリティの高さです。
シンプルでキレイな音は音楽ジャンル問わず楽しめるので、この先何年も使える1本が欲しい方もぜひ候補にいれてみてください。 2021.08.31 (もあ)