アステルアンドケルン デジタルオーディオプレーヤー KANN CUBE
試聴機を受け取った時から感じたのはその重量!
一瞬『たしかポータブルプレーヤーだったよね…?』と考えてしまうほど、ズッシリと頼もしい重量です。
付属品は非常にシンプルです。
・クイックスタートガイド
・画面用保護シート(2セット)
・通信用USBケーブル(Type-C・1.0m)
・MicroSDダミーカード×2(1枚は本体に取付)
・保証書(本体1年/付属品90日)
外観を前モデルと比較してみた!
前モデルの【KANN】も比較的大型のプレーヤーでしたが、並べて比較すると【KANN CUBE】の巨大さが際立ちます。
また、KANNでは物理ボタンが本体前面に搭載されているのも特徴です。
■ 画面サイズ
KANN・・・4.0インチ
KANN CUBE・・・5.0インチ
本体の形状も大きく変更されており、
【KANN】は台形に近い形状だったのが、【KANN CUBE】では左右で厚みの異なる傾斜が付いた形状に。
一見、変わった形状に思えますが、手に取るとこの傾斜が非常に考えられているのを実感できるでしょう。
左手で持つとボリューム側の凹凹したデザインに指がひっかかり、しっかりと保持でき、
右手で持つとやや膨らんだ形状が手のひらにすっぽり収まり、全体で掴めて、本体重量があまり気になりません。
本体上部にはオーディオ出力端子が集中しています。
【KANN CUBE】では前モデルの特徴であった独立したラインアウトが配置変更され、
・2.5mm4極バランス出力
・3.5mmステレオミニ/光デジタル出力
に変更されています。
また、本体下部はさらにシンプルになっており
SDカードスロットも配置換えされた事で、USB端子のみになっています。
ボリューム形状に変化あり
ボリューム形状が変わったのも大きな変更点です。
【KANN】では本体画面に向って左右(横方向)に回転させる事でボリューム操作が出来ましたが、【KANN CUBE】では一般的なAKシリーズのように上下に回転する形になります。
【KANN CUBE】では物理ボタンが側面に搭載されており、左手で持ったときに人差し指(または中指)で操作のしやすい絶妙な配置で片手での操作性も向上しています。
そして本体向かって左側。
【KANN CUBE】の特徴の一つである、Mini-XLR(5pin)端子によるライン出力が搭載されています。
このライン出力は本体のヘッドホンアンプ回路を完全にバイパスしており、専用変換ケーブル(Mini-XLR5ピン→XLR×2)を使用することで据置環境へ【KANN CUBE】が簡単に繋がる事が出来るのです!
プレスリリース時にはメーカー純正品もチラリと出ていましたが…。
こだわりのケーブルメーカーからも続々と発表されそうですね!
ガラスの奥の模様に魅せられる
背面も大きくデザインが変わり、第4世代機のデザインに準じた印象です。
背面ガラス部分にも細かなデザインが施されており、高級感を感じさせる一翼を担っています。
前モデルである【KANN】と比較しても大型化し、エッジの効いたデザインの【KANN CUBE】。
Astell&Kernのプレーヤーはスポーツカーのようなスタイリッシュなデザインが多い中、この【KANN CUBE】は実機を手にしてみると『SUV車か、もしくは、このゴツさは装甲車か特殊車輌では…?』と思わされるほどの重厚感とガッチリとしたデザインです。
しかし、サイズと重量の割には持ちやすい本体形状と、絶妙なボタン配置からくる操作性の高さは思った以上に手に馴染みます。
ゴツい見た目ですが非常に使い勝手の良い事から「特殊車輌」という例えはあながち間違っていないのでは。。。?と思わなくもありません。
実際に聴いてみた!
【KANN CUBE】は据置環境にも違和感無く溶け込むプレーヤーですが、本質はパワフルな出力を持つポータブルプレーヤーです。
今回はイヤホンでの比較と、アンバランス接続によるラインアウトでの据置環境の比較を行いました。
音決めのある種の指標となるDACチップが異なる点やバッテリー容量等様々な点での違いもありますが、スペックよりも聴感上でとうふが感じた事をレビューさせていただこうと思います。
○イヤホン接続
【KANN CUBE】を一聴して感じたのは前後の広がりが出て、音の輪郭がはっきりとしたことです。
"キリッ""パリッ"と言えば良いのか、音の粒立ちが良くストレートな音色を楽しめます。
素朴な面を持ち、耳辺りの優しい表現の【KANN】に比べると"若々しく力強い""グイグイと前にくるパワフルさ"を感じました。
特に2.5mmバランス接続時ではその傾向は顕著のようで、
一音一音の力強さと空間の広がりがポータブルプレーヤーとしては破格の表現力に至っています。
大編成の音源でも音が潰れず、一音一音しっかりとした"音の存在感"を発揮。
据置の単体ヘッドホンアンプで聴くような、力強さと空間表現を楽しめます。
○アンプを接続
バランス接続が出来たら良かったのですが。。。
今回は3.5mmステレオミニ→RCA×2の変換アダプタを経由してRCA接続での試聴です。
※【KANN】ではラインアウト端子から接続、【KANN CUBE】ではラインアウトモードでの試聴です。
【KANN】はキレが加わり元気な表現で、ヘッドホンアウト時との違いを楽しめます。
「外ではイヤホン/ヘッドホンでポータブル、家ではオーディオアンプに繋いで据置環境で」を簡単に楽しめる、この自由度の高い使い勝手は他にありませんね。
なお、蛇足ですが【KANN】はラインアウトの可変出力にも対応しているので、ジャンルやヘッドホンに併せて接続方法を変えてその違いを楽しむ事も出来ます。
そして【KANN CUBE】
その表現は「ヘッドホンアウトの延長上かな?」と勝手に想像していましたが、意外と変化は大きく、低域表現がより充実しスケール感の向上を楽しめました。
低音の沈み込み、押し出し感が増し、ヘッドホンリスニング時の力強さに緻密さが加わった印象で、(ポータブルプレーヤーとしては巨大ですが)据置プレーヤーとしては非常に小さいこのボディからは懐の深い表現に驚かされました。
まとめ
Astell&Kernのプレーヤーラインナップの中でも"豊富な機能性"をコンセプトとした『パフォーマンス・ライン』【KANN】。
ユーザーの意見を貪欲に取り入れ、豊富な機能に高音質、とメーカーの意欲作として今でも根強い人気を誇るのも頷けます。
その【KANN】に、更に様々な改良が盛り込まれ、挑戦的な仕様となって登場したのが今回ご案内の【KANN CUBE】です。
多少大きく、重くなっても、より強力な表現力のプレーヤーを求めるユーザーに応えるためへの進化。
ハードウェア的には"ホームオーディオ用のDACチップをデュアルで搭載"や、"その表現力を十二分に活かす為のバッテリーサイズの大型化"を含めた、外見の変化が目を引きます。
さらにソフトウェア的には第4世代OSが搭載された事での操作性の変化や「Open APP Service」対応などによる、外見だけでなく内面的にも大きく変化しています。
それらの変化した点にばかり目が移りがちですが、"変化を感じさせない点"もあり、
『絶妙な場所にボタン配置がされている事でサイズや重量が気にならない(なりにくい)、ユーザビリティの高さ』や『据置環境への融和性の高さ』など、数値や見た目に表れない、【KANN】の魅力は健在です。
変化をしつつも、「KANN=CAN(可能)」のコンセプトは変らず、表現力と機能の拡張性を高めた【KANN CUBE】はポータブルプレーヤーとしても、そしてもちろん据置プレーヤーとしてもお薦めです!
2019.6.22 とうふ