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音場工房 特選!音質改善アクセサリー
[ 2013年 10月 4日付 ]




極低周波発生装置
オーディオ装置を簡単にグレードアップする、アコースティックリバイブの極低周波発生装置「RR-777」をご紹介。
電源ノイズフィルター
コンセントの電源からノイズを除去する、アスカ工業の電源ノイズフィルター「AS-FIL500」をご紹介。

接点クリーニング
オーディオリスニングに不可欠な『接点クリーニングのアクセサリー』をご紹介。



良い音で聴くには『電源』にもこだわりたい!
ノイズを除去する『電源ノイズフィルター AS-FIL500』の効果や如何に!

  このページでは、コンセントの電源からノイズを除去する、アスカ工業の電源ノイズフィルター「AS-FIL500」をご紹介します。「本当に効果があるのか?」と疑問視してしまう商品ではありますが、私が試したところ、「電源のノイズ対策がここまで効果的とは…」と感動に値する、素晴らしいものでした。



  デジタル回路におけるクロックと並んで、オーディオ機器の電源が重要であることは、以前から私自身の《持論》です。それゆえ、電源強化の重要性は事あるごとに、これまでも述べてきました。それは長年にわたるオーディオ経験から、これらクロックと電源の強化・改善が、絶対にそのグレードアップに対する期待を裏切らないからです。それは、『掛けたコストに見合うだけの改善が、その改善度合いに差はあっても、確実に実現できる』からに他なりません。

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  愛知県小牧市でプラスティック成形を本業とするアスカ工業が「ASUKA」ブランドの名で、昨年(2012年)夏に、電源ノイズフィルター「AS-FIL500」を発売。今年2月には、廉価版の「FIL-mini」「FIL-mini2」を発売しています。

  当初、私は「ASUKA」というブランドに、いかにも国内のガレージメーカーが、部品を寄せ集めて作ったノイズフィルターのメーカーなのだろう…くらいの認識しかなく、正直あまり注目はしていませんでした。ところがある日、ジョーシン日本橋1ばん館のオーディオアクセサリー担当者から、「ノイズフィルターをご購入いただいたお客様が、その素晴らしさを絶賛されているので、ぜひ一度聴いてみては?」と勧められました。

  そして先日、「ASUKA」の開発技術者のお話をお聞きする機会があり、その際、氏の説得力と自信に、電源ノイズフィルターに対する考え方が、既存のメーカーとはどこか違うと直感しました。「ASUKA」の電源ノイズフィルターに関するポリシーは、「電源ラインからノイズを機器に入れない」「機器から出るノイズは電源ラインに漏らさない」というもの。電源は50Hzまたは60Hzの正弦波であって、それ以外の周波数はその全てがノイズか歪みであるという単純明快なものでした。実に当たり前ながら、それは従来あまり意識されてこなかったことでした。

  これまでの市販の電源ノイズフィルターでは、20~30dBのノイズ減衰が精一杯で、しかも、そのフィルター帯域が狭く、完全なノイズ除去が難しいのが現状でした。ノイズ除去トランスの中には、ノイズ除去性能の高いものも存在しますが、その特性上、共振周波数が発生します。また、一般に高性能といわれるアクティブ型のノイズフィルターは、実質フィードバック(NFB)制御するアンプでもあるため、応答性(周波数特性)に課題があり、「ASUKA」が求める超高速応答特性が得られませんでした。またノイズは取れても、位相ずれという、音質的には別のマイナス要因も出てしまいました。

  これらの問題を解決するために、「ASUKA」は「AS-FIL500」の開発にあたり、広帯域においてフラットで、しかも80dBものノイズ減衰特性を得るという無理難題をクリアするため、パッシブ型での開発を進め、超高速応答特性を探し求めたのです。

  「ASUKA」が採用した「パッシブ・フィルター」型は、そこに使用する素子の性能が大変重要となるのです。このため、同社はまず独自に超精密なノイズ検出器を開発し、理論と測定に基づいて客観的に設計した上で、電圧・電流・容量など様々な特性データの検証と徹底した試聴を繰り返したのです。その結果、市販の素子ではなく、同社オリジナルのコイルやコンデンサーなどのパーツを開発して、それらを搭載して遂に満足する減衰特性(40kHz以上で80dB、100kHz以上では120dB以上という測定器の限界値)が得られる電源ノイズフィルターが完成したのです。

  「AS-FIL500」は、40kHz以上のノイズに対して、80dB以上のノイズ減衰特性を実現。従来機のようなNFBやスイッチングを排除し、配線経路も最短化して、小型化した製品です。また同社のポリシーに則り、入力1系統、出力1系統という贅沢な仕様で、見た目より軽量(トランスなどが使われていないため)なステンレス製 (W)132x(H)82x(D)270mmの箱形です。そのボディには、振動吸収率の高い特殊合金をステンレスケースとアルミ合金の間に挟んで、振動の影響を排除してS/Nを向上させているということです。インシュレーターにも超々ジュラルミンとこだわりをみせており、外部振動の影響も徹底的に排除しています。

  今回の試聴には、比較的低価格の某社の電源ケーブルを一本用意し、「AS-FIL500」を介して、マランツのSACD/CDプレーヤー「SA11S3」に、付属の電源ケーブルを使用して接続しました。アンプはアキュフェーズ「E-460」、スピーカーはB&W「805 Diamond」というラインナップです。


  私がいつも試聴の際、最初に使うCDソフト Livingston Taylor「ink」の一曲目の口笛の透明感に、まずびっくりしました。通常ザラついたり、ヌケが悪かったり、余程条件が良くないと綺麗に鳴らない口笛が、何のストレスも引っかかりも感じず、実に生々しく出てきたのです。それは、高性能クロックの使用時や最高級オーディオシステムでしか再現できない、かなり高次元のものです。そして、それに続くボーカルも生々しく、一般的に男声はモゴモゴとなりがちな低域パートも、分解能良く、難なく出てきました。さらに各楽器が弾んで来て大変気持ちよく聴けたのです。

  次に、Jennifer Warnes「The Hunter」でもそのボーカルの生々しさは秀逸。実に伸び伸びした何の屈託もないもので、その伸びきる感じは、リミッターがなくなったのではないかと錯覚するほどです。バスドラの歯切れの良さやシンバルの爽やかさ、そしてスピーカーの後方に広がる音場感は、S/Nの向上の結果、実現できたものと思います。

  電源ノイズの低減がここまで効果があるとは正直驚きです。過去に、トランス型、パルス電源型、アンプ型と、数多く電源ノイズフィルターを体験してきましたが、それぞれに良さは認めつつも、多少の音質変化は感じていました。しかし、音色変化を一切伴わず、素直に本来ソフトに入っているものだけを再現できたと感じるノイズフィルターは存在しませんでした。その結果、私自身のオーディオシステムは、電源タップや電源ケーブル、コンセントの強化、そして200V電源の導入にとどまり、電源フィルター類は一切使っていません。

  しかし正直なところ、この「AS-FIL500」の絶大な効果には食指を動かされます。本来ソフトに入っている音楽情報に「何も足さず、何も引かなければ」こういう音なのだろうと・・・。すなわち、これはソースに入っている情報そのものが出ているのだろうと感じました。

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  ちなみに、「AS-FIL500」の性能を極力維持しつつ、小型化と低価格化を図ったのが「FIL-mini」と「FIL-mini2」です。いずれも、ステンレス合金の筐体でありながら、「AS-FIL500」のように新たに電源ケーブルを必要としない、直接オーディオ機器の電源端子(3Pインレット)に取り付けるタイプです。見た目は出っ張りが不安定に見えますが、結構しっかり固定されました。接続最大電力容量300Wで、パワーアンプ以外にはほとんどのオーディオ機器に使えます。


  「FIL-mini」の音質は、前述の「AS-FIL500」に肉薄しており、情報量が多くソフトに入っている情報を漏らさず、付け加えず出してくるという印象です。音のエッジもしっかり捉え、スピード感のあるまさにハイファイサウンドです。

  一方「FIL-mini2」は、「FIL-mini」との価格差が2万円ちょっとにもかかわらず、倍の物量を投入しており、アスカ工業のデータでは、9kHz~5MHzの間で45dBものノイズ減衰特性を達成しているとのことです。電力容量は「FIL-mini」同様300Wで、中出力までのプリメインやプリ、CDプレーヤーにお使いいただけます。「FIL-mini」と比較すると、さらにS/N感が高まり、静かな印象で、情報量がさらに多く、スピード・切れ味・繊細さは超一流で、オーディオ機器に今ひとつ分解能やスピード感に不満をお持ちの方にはピッタリだと思います。


 今回ご紹介した「アスカ工業の電源ノイズフィルター」はこちら。

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    ※この特集はハイエンドメルマガで配信した記事から好評だった内容を抜粋したものです。


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