19世紀半ばから20世紀初頭にかけてのフランス交響音楽における「幻想(le fantastique)」の系譜をたどるアルバム。当時のフランスでは、従来の古いオペラに見られた魔法的な要素に代わり、幽霊、悪魔、精霊、魔女といった恐怖や超自然的なテーマが、文学の影響を受けて隆盛しました。ここにはグノーの≪血まみれの修道女≫序曲をはじめ、ギローの「幻想的な狩り」、カローの「キマイラの行進」、シュミットの「幽霊屋敷」など、独自の管弦楽法で不気味な気配や劇的展開を凝縮した作品を収録しています。フランス・ロマン派音楽センター(Palazzetto Bru Zane)との連携のもと、歴史に埋もれた女性作曲家の作品に特に光を当てており、オーギュスタ・オルメスの≪へーローとレアンドロス≫より前奏曲、マリー・ジャエルの『オシアーヌ』より前奏曲(第1部冒頭部のセバスティアン・トレステルによる校訂譜と考えられます)の2曲をこの版での世界初録音として収録。どの作品もたいへん聴き映えのするもので、これらが歴史の波に呑まれてほぼ忘れられてしまったとは実に残念であると共に、ここに収録された意義は非常に大きいと言えます。 (C)RS