音は空気の振動です。空気を伝ってきた振動は、私たちの耳の奥にある鼓膜を振動させ、さらにその奥にある蝸牛（かぎゅう）という器官に伝わります。ここで振動が電気信号に変換され、神経を通って脳に届くと、音として認識されるのです。
つまり、鼓膜を通さなくても蝸牛に振動を伝えられれば、音の情報は脳に届くことになります。これが、骨伝導の考え方です。
骨伝導イヤホンは、骨伝導振動子と呼ばれる装置を耳付近に押し付け、皮膚の上から頭蓋骨を振動させます。その振動が骨を通して蝸牛に伝わり、音として聞こえるわけです。

耳の穴をふさがずに音楽を楽しめる骨伝導イヤホンは、一般的なインナーイヤー型イヤホンやヘッドホンにはない、さまざまなメリットがあります。骨伝導イヤホンの主なメリットは、下記のとおりです。

ワイヤレスタイプの骨伝導イヤホンは、オーディオデバイスとBluetooth で接続するタイプです。ケーブルが邪魔にならないので、ジョギングやトレーニングなど、運動中に使う場合に適しています。また、家事や作業をしながら使いたいというニーズにもおすすめです。
一方で、バッテリーが切れてしまうと使えなくなってしまうのが難点。ワイヤレスタイプのモデルを選ぶなら、連続再生時間をチェックしましょう。また、消費電力や安定性に影響するため、搭載しているBluetooth のバージョンができるだけ新しいものを選ぶことをおすすめします。

有線タイプの骨伝導イヤホンは、オーディオデバイスとケーブルで有線接続するタイプです。電力はオーディオデバイスから供給されるため、バッテリー切れの心配がなく、長時間を使用できるのが特長。また、直接ケーブルで接続しているため、音の途切れや遅延などが起こりにくく、動画やゲームを楽しむ場合にもおすすめです。
一方で、ケーブルが頭や腕の動きの邪魔になることがあるため、作業中や運動中に使用するには、やや不向きといえるでしょう。ポケットに収めたスマホやミュージックプレイヤーを楽しむ場合は、ケーブルの長さがわずらわしさを感じず邪魔にならない、適切な長さであるかも確認してください。

装着感は、骨伝導イヤホン選びで多くの方が重視するポイントです。「運動中に使いたい」という方が多いこともあり、どのモデルもグラついたり、ずり落ちたりしないように形状が工夫されています。
ご自身の頭にフィットするか、圧迫感は適切かなどを確認するため、可能であれば実際に店舗で試着するのがおすすめです。
なお、骨伝導イヤホンは、こめかみを挟み込むように装着するタイプが主流ですが、耳たぶに装着するクリップタイプのモデルなどもあります。普段からメガネを使っている方や、スポーツ時にアイウェアを使用する方は、そうしたモデルも検討してみてください。

骨伝導イヤホンの本体重量は、軽いものがおすすめです。重すぎるイヤホンは疲労にもつながりやすくなりますし、体を動かしたときにずり落ちやすくなります。
そこで、重量が30g 以下のモデルを選ぶと良いでしょう。なお、耳たぶに装着するクリップタイプの場合、あまり重いと運動中などに外れて落としてしまう可能性があります。スペックを見比べながら、軽量なものを選ぶようにしてください。

骨伝導イヤホンは、一般的なインナーイヤー型イヤホンと比べると、音質が劣る傾向があります。ですが、音質にこだわりたい方は、低音の響きを補う、低音再生強化機能を搭載したモデルなどを選ぶといいでしょう。
また、ワイヤレスタイプなら、より高品位なBluetooth のコーデックに対応しているモデルを、有線タイプならアンプ内蔵のモデルを選ぶことで、音質の向上を図ることができます。

骨伝導イヤホンを運動中に使いたいなら、防水性能を備えたモデルを選びましょう。
精密機器の防水・防塵性能は、「IP規格」というルールに従って、「IP68」といったように表記されます。最後の数字が防水性能を表し、数字が大きいほど高性能であることを示しています。骨伝導イヤホンは防水性の試験だけを受けていることが多く、「IPX●」と表記されたモデルが大半です。汗や雨の影響を防ぐならIPX4以上、プールサイドや川辺などで使用するなら、水没にも耐えられるIPX7以上のモデルを選んでください。

マイク付きの骨伝導イヤホンは、ハンズフリー通話が可能。音楽を楽しんでいるときに電話がかかってきても対応できますし、オンライン会議などにも参加できます。
マイクは本体に内蔵されているタイプと、棒の先に指向性マイクがついたブームマイク搭載タイプがあります。気軽に使用できるのはマイク内蔵タイプですが、通話に使用することが多く、声を相手にしっかり届けたいなら、ブームマイク搭載モデルがおすすめです。

マルチポイントとは、複数のデバイスと同時にBluetooth 接続できる機能です。マルチポイント対応の骨伝導イヤホンなら、スマートフォンで音楽を聴きながら仕事をし、時間になったらパソコンでのオンライン会議に切り替えるというときでも、接続解除・再接続などの手間がいりません。
スマートフォンの音楽を止め、パソコンのオンライン会議ソフトを立ち上げるだけで、スムーズに会議に参加できます。

ショックス（Shokz）は、骨伝導イヤホンを中心に手掛けるメーカーです。騒音を遮断するのではなく、「周囲や自然に対してオープンであること」を原則とし、エントリーモデルからハイエンドモデルまで、幅広いラインナップを取り揃えています。
また、購入日から30日間は理由を問わず返品可能で、2年間のメーカー保証付き。購入後のサポートも十分で、安心感の高いメーカーです。

• ショックス

AVIOT（アビオット）は、骨伝導イヤホンのほか、各種のイヤホンやヘッドホンを幅広く扱う、日本のメーカーです。 同社の特長は「JAPAN TUNED」という独自のコンセプト。「言語が違うと快適に感じるサウンドも異なる」というロジックをもとに、日本語を使う人や、日本の音楽文化にふれる機会の多い人の耳に心地良く響くサウンドチューニングを施しています。

• AVIOT

日本の音響・映像機器メーカー、オーディオテクニカ。同社の骨伝導イヤホンは、世界初となる「軟骨伝導」の仕組みが採用されています。
これは、頭蓋骨ではなく、耳周辺の軟骨に振動を伝える方式。骨伝導と異なる点は、一般的なイヤホンのように音にステレオ感があることと、装着時の圧迫感が少ないことが挙げられます。同社が培ってきたさまざまなノウハウを投入しており、「ながら聴き」でも音楽に十分集中できるイヤホンです。

• オーディオテクニカ