ピアノが欲しいけれど、置き場所もないし価格も高い…。そんなニーズに応えてくれるのが、電子ピアノです。ピアノに限りなく近いキータッチと音質を持ちながら、ボディはコンパクト。しかも、アコースティックピアノ（電気的な回路のない、一般的なピアノ）よりも、はるかに安価で購入できます。

電子ピアノには、本来88ある鍵盤数を73鍵や61鍵に落としたモデルもありますが、ピアノを本格的に楽しみたいなら、やはり88鍵盤のものがおすすめ。アコースティックピアノと同様、クラシックから現代音楽まで、あらゆる楽曲を演奏することができます。

• 電子ピアノ

電子ピアノと似たものに、キーボードがあります。どちらも鍵盤楽器なので、「電子ピアノと何が違うんだろう」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

電子ピアノとキーボードの最大の違いはキータッチ、つまり鍵盤を叩いたときの感触といっていいでしょう。電子ピアノは、鍵盤のタッチと音質を限りなくアコースティックピアノに近づけた楽器です。鍵盤の手触りや叩いたときの感触、音の出方・消え方などがピアノに近いため、電子ピアノで練習していれば、アコースティックピアノにもスムーズに移行できます。ゆくゆくはアコースティックピアノに挑戦したいという方には電子ピアノ、それもフルサイズの88鍵盤モデルをおすすめします。

• キーボード

キャビネットタイプは、鍵盤とペダルの位置などが、アコースティックピアノとほぼ同じ造りの電子ピアノです。気軽に場所を移動するというわけにはいきませんが、本格的にピアノのレッスンに励むなら、おすすめのタイプといえます。

• キャビネットタイプ

卓上タイプは、弾きたいときに取り出して、デスクやテーブルの上で弾くことができる電子ピアノです。場所を取らず持ち運びが簡単で、専用スタンドを使えばアコースティックピアノと同じポジションで弾くことも可能。「ピアノを弾きたいけれど、置く場所がない」とお悩みの方におすすめです。

• 卓上タイプ

樹脂製鍵盤は、オルガンやエレクトーンのような、軽いタッチが特⾧です。エントリーモデルやポータブルモデルに使われていることが多く、「気軽にピアノの音色を楽しみたい」という方におすすめ。お子様やビギナーにも扱いやすいのですが、アコースティックピアノとはまったく打感が違います。そのため、樹脂製鍵盤に慣れてしまうと、アコースティックピアノの鍵盤が重く感じられ、いつものように演奏できない可能性があります。

木製鍵盤は、アコースティックピアノと同様に、木材を使った鍵盤です。程良い重さがあり、打感もアコースティックピアノに近いので、「本格的にピアノを演奏したい」という方にマッチしたタイプといえます。なお、鍵盤の打感はメーカーやモデルによっても違うので、微妙なタッチの違いを求める方であれば、実店舗でふれて確かめてみるのがおすすめです。

ハイブリッド式鍵盤は、木製と樹脂を組み合わせたものや、人工象牙などの素材を使用した鍵盤です。また、アコースティックピアノのタッチを再現するため、鍵盤アクション機能を搭載したモデルもあります。本格的にピアノを練習したい方はもちろん、普段から学校やスタジオでアコースティックピアノを弾いている方の自宅練習用にもピッタリです。

電子ピアノ選びでは、鍵盤のタッチ感も重要です。アコースティックピアノは、鍵盤を叩くとその先のハンマー機構が本体に張られた弦を叩いて音が鳴ります。この複雑な機構のために、鍵盤を叩いてから音が鳴るまでのあいだに微妙なタイムラグがあり、弾き方によって音の立ち上がりが変わります。こうした繊細なタッチをどこまで再現できているか。これは電子ピアノ選びの大きなポイントです。ハイブリッド式の電子ピアノの中には、こうしたハンマーアクションを再現することで、引き心地・打感を、限りなくアコースティックピアノに近づけたモデルもあります。

多くの電子ピアノは、アコースティックピアノの音色をサンプリング（録音）したものを音源にしています。ですから、もとになる音源の質が良く、サンプリング技術が高ければ、それだけ美しい音色を奏でることができます。

また、サンプリング音源とは別にモデリング音源というものもあります。こちらは、ピアノの音を分析したデータをもとに、鍵盤を弾くたびにコンピューターが計算して音を生成する仕組みです。毎回音が生成されるので、微妙な変化が生まれ、音の表情が豊かになるという特性があります。

なお、搭載されたスピーカーの質や数、位置によっても、音の臨場感が変わります。本体の左右や下部、背面などに種類の異なる複数のスピーカーを搭載したモデルでは、アコースティックピアノの本体内に響く音のように、深みと広がりのある音を奏でてくれるでしょう。

グランドピアノでもアップライトピアノでも、アコースティックペダルには、音の響きをコントロールする3本のフットペダルがついています。キャビネットタイプの電子ピアノなら、基本的にペダルを搭載しています。ただし、形状や踏み心地などの好みもあるので、可能であれば実機で確かめてみるといいでしょう。なお、卓上タイプの場合、オプションでペダルを用意していても、音を響かせるダンパーペダル1本のみということもあるので、購入前にご確認ください。

電子ピアノは電子的に音を鳴らしていますから、同時に出せる音の数に限界があります。少ないものでも64音、多いものでは192音や256音、さらには「ピアノ音色に限り、無制限」というモデルもあります。64音にしても多すぎると感じるかもしれませんが、そんなことはありません。電子ピアノの多くはステレオ出力されますから、左右の手で4音ずつ、8音を出すと、16音が同時に発音されることになります。さらに、ダンパーペダルで音を響かせることで、音数は次々と加算されていきます。

同時発音数を超えて鍵盤を叩くと、先に発音した音が途切れてしまい、新たな音が発音されます。そのため、速い曲を弾きこなすと発音数が足りず、音がブチブチと途切れてしまうことも。同時発音数は多いに越したことはありませんが、ひとつの目安として128音は確保しておきたいところです。

電子ピアノはコンパクトですが、キャビネットタイプはそれなりのサイズがあります。事前に設置場所を決め、寸法を測っておきましょう。また、ピアノを弾く際には椅子も必要なので、余裕を持って演奏できるかスペースを確認してください。

さらに、ピアノを搬入する経路の確認も重要。鍵盤部分と脚の部分が分かれた状態で届くケースが多いので、鍵盤部分の寸法をもとに、玄関ドアや廊下、エレベーターなどを通れるかご確認ください。ただし、一部の上位モデルは組み立ての必要がない一体型ですので、注意が必要です。

組み立てに関しては、特に専門的な知識が必要というものではありません。ただし、重量のある楽器ですので、必ず2人で作業してください。また、スタンドの板のずれや、配線の取り出しミスなどがないよう、説明書をよく読み、記載されたとおりに組み立ててください。

電子ピアノの中には、音色を切り替えることができるモデルがあります。名機と呼ばれる著名なピアノの音色をはじめ、オルガンやストリングス、ハープシコードなど、さまざまな楽器の音色を奏でることが可能です。こうした機能があれば、音楽の楽しみがさらに広がるでしょう。

録音機能は、ご自身の演奏を録音して、再生できる機能です。演奏中には気づかない自分の弱点や癖を後から冷静にチェックでき、テクニックや表現力の向上に役立ちます。また、ふと思いついたフレーズをサッと録音しておけば、作曲やアレンジに役立てることもできます。

音楽自動再生機能は、本体にプリセットされている楽曲を再生できる機能です。名曲をBGMとして楽しむことができますし、再生音に合わせて練習することも可能です。譜面からではわかりにくい、曲の微妙なニュアンスを確かめるのにも有用でしょう。さらに、音に合わせて鍵盤が光るモデルなら、練習にも最適。また、スマートフォンやパソコンとBluetoothで接続して、楽曲データを再生しながら、それに合わせて練習するという使い方も可能です。

電子ピアノには、さまざまな付属品が同梱されていることがあります。椅子やヘッドホンなどが付属していれば、購入したその日から演奏が可能です。どんな付属品があるのか、事前にご確認ください。

1887年創業のYAMAHA（ヤマハ）は、世界最大級の楽器メーカーとして、さまざまな楽器を生産・販売しています。同社の電子ピアノは、グランドピアノ製作で培った膨大なノウハウが注ぎ込まれているのが特⾧。最高級コンサートグランドピアノ「CFX」をはじめ、ベーゼンドルファー「インペリアル」の音色をサンプリングし、美しいサウンドを再現します。本格的なタッチと多彩な音色、さまざまな便利機能で、ピアノを弾く喜びを実感できるモデルがそろっています。

• YAMAHA（ヤマハ）

1927年に創業したKAWAI（カワイ）は、世界的なピアノコンクールでも公式ピアノとして採用されるなど、ヤマハと並んで日本を代表するピアノメーカーです。電子ピアノの分野でも、その強みは健在。同社のグランドピアノの音色をサンプリングしたモデルは、つややかな音色を持ち、どんなジャンルの楽曲にもフィットします。

• KAWAI（カワイ）

エフェクターやシンセサイザーといった電子機器や電子楽器を数多く手掛けるROLAND（ローランド）。同社の電子ピアノは、幅広いラインナップが特⾧です。華やかな表現力を持つデジタル・グランドピアノから、音質だけでなく持ち運びにも配慮したポータブルピアノまで、ピアノを弾きたいユーザーのさまざまなニーズに合ったモデルを取り揃えています。

• ROLAND（ローランド）

多機能・高機能な個性派シンセサイザーを生み出すKORG（コルグ）。1963年の創業以来、一貫して電子楽器の開発製造を手掛けてきました。同社の電子ピアノは、音源に世界的に有名なグランドピアノのほか、オルガンやエレクトリックピアノ、ストリングス、ドラムキットまで、さまざまな音色を搭載しています。自動伴奏機能を使えば、一人でライブ演奏も可能。ピアノを弾く楽しさをより高めてくれるモデルです。

• KORG（コルグ）

時計や電卓で広く知られるメーカー、CASIO（カシオ）。同社の電子ピアノの特⾧は、高品質と手頃な価格を両立させている点です。世界的に名高いアコースティックピアノの美しい音色を、徹底的に研究・分析しており、豊かな音の響きを徹底的に再現してくれます。また、デリケートなキータッチや、スリムでコンパクトなデザイン、臨場感あふれる音響システムなど、細部までこだわったモデルがそろっています。

• CASIO（カシオ）