2025年エリザベート王妃国際音楽コンクール・ピアノ部門で見事第1位に輝いた、当時23歳オランダ出身のニコラ・メーウセン。そのデビュー・アルバムは、当のコンクールで頂点に登り詰めるまでの緊張と熱狂に溢れる記録です。オープニングは彼が14歳の頃から弾き親しんできたというメンデルスゾーンの変奏曲。続いて闇から光へと至る旅を見事に描き切ったリストの「ダンテを読んで」、メーウセンが「本当に美しく、自由」と語ったソコロヴィッチによるコンクール課題曲を収録。圧巻はセミファイナルに於けるモーツァルトの協奏曲で、「室内楽のように自由だった」と彼が語るようにたいへん伸び伸びとしており、フィナーレの途中では演奏に没頭するあまり鍵盤の確認を誤って1オクターヴ高く弾き始めてしまうというハプニングもありましたが、それを補って余りある喜びに満ちた演奏を聴かせています。メンデルスゾーンはコンクール直後に発売された公式ライヴ・アルバムと同じ演奏ですが、それ以外は今回が初CD化。中でもメーウセンが「あのステージがこのコンクールで最も印象的な瞬間」と語ったモーツァルトが聴けるのが喜ばしいことでしょう。 (C)RS