『 PC-Triple C 』が新たな段階へ深化(進化)!2017.4.29 こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。 ■国内市場を震撼させた一大事件まずは「PC-Triple C」誕生の経緯からご紹介します。 1980年代末から2000年代にかけて、国内オーディオケーブル市場を席巻したのは、誰もがご存知のケーブル素材「PCOCC( Pure Cupper Ohno Continuous Casting Process)」でした。「PCOCC」は、1986年に古河電気工業が開発した工業用電線素材です。 一方向性凝固組織の特徴を持つ高純度銅線で、銅の結晶構造を単一化する製法に特徴があり、OFC導体としては結晶粒界が極めて少ないことから、オーディオ用ケーブルの導体として長年採用されてきたのでした。 しかし2013年3月4日、日本のオーディオ産業にたずさわる全ての人間を震撼させ る一大事が発生したのでした。それは、古河電工が「PCOCC」の製造中止を決定したという ニュースでした。 同社は当時、国内のオーディオ市場の低迷を受け、年間販売量 が減少して事業継続が困難な状況に陥ったことが、製造販売中止の理由とのことでした。 同社のニュースリリースで「今後も市場拡大が見込めない為、製造販売を中止することとしました。」と発表したのです。オーディオ業界に身を置く者としては、それは非常に情けなく、惨めな思いをしたものでした。 当時、オーディオテクニカをはじめ、アコースティック・リバイブ、サエク、オヤイデ電気など、主な国内オーディオケーブルメ ーカーはこぞって「PCOCC」を採用しており、人気もあり、売上も順調だと、我々業界人は認識していました。 しかし電線メーカーにとっては、オーディオ用途の電線の需要など、取るに足らない量であったと痛感させられたのでした。 そんな中、2014年1月にFMC("Fine Chemical & Materials"が由来で「電気機能線材事業」などの企業)が発表したのが、「PC-Triple C」だったのです。 ■ 「PCOCC」の代わりとなった「PC-Triple C」「PC-Triple C」には2つの大きな特徴があると言います。 1つは、使われている素材は「OFC(無酸素銅:酸化物を含まない純度の高い銅)」ですが、通常の「OFC」ではなく、独自の鋳造方法を用いて、不純物が付着した数ミクロン単位の極微な異物までも除去した 古河電工の高純度無酸素銅で、これは「PCOCC」で使われていた素材よりも、さらに純度が高いものだそうです。 もう1つは、特殊な加工方法である「定角連続移送鍛造法」を用いていることです。縦方向に結晶が並んだ銅素材に、一定の角度と方向を持たせた状態で、小圧力で数万回連続鍛造すると言う、つまり「小さな力で何度も叩く」のです。 これをさらにケーブル細線へ伸延加工を施し、使用される導体の太さにより、特定の温度、時間管理により焼鈍(アニール処理)されるのです。これらの結果、単結晶の 「PCOCC」と理論上は変わらない程の導電特性を実現できたのです。 「PC-Triple C」の誕生には、マーケティング会社のプロモーション・ワークスが大きく関わっています 。かつて1993年から、同社は「PCOCC」導体のAVケーブルの企画やマーケティングを任された経緯があり、1995年からは古河電工の販売特約店として「PCOCC」ケーブルのOEM製造や 販売業務を一手に引き受けていたと言うことです。 そして、惜しまれつつ製造中止になった「PCOCC」に代わる素材として「PC-Triple C」が登場し、その後のオーディオ 市場での評判は皆様ご承知の通りです。 今では、「PC-Triple C」を採用しているオーディオケーブルのメーカーは、サエク、アコースティック・リバイブ、フルテック、クリプトン、ナノテックなどで、いずれも人気製品となっています。 ■ 『 SP-10 』誕生!今年(2017年)春、「PC-Triple C」が新たな段階に踏み出そうとしています。 それは、宇宙空間のような真空状態「成層圏」(転じて最高度・最高点)を意味する「STRATOSPHERE」という称号を付けて発売された、サエク のトップエンド・スピーカーケーブルとなる『 SP-10 』です。 この『 SP-10 』 は、同社のスピーカーケーブル「SPC-850」などで好評の、径の異なる導体で中心部と外周部を構成する「ストラタム構造」から、外周部の導体にもそれぞれ絶縁を1本ずつに施す「 スーパーストラタム構造」へと進化しています。 中心部には同芯撚りの2.0sqの導体、外周部にはフッ素樹脂で絶縁を施した0.5mm径の導体をリッツ線構造として、中心導体と同心に11本配する構造です。 これにより、「PC-Triple C」の高S/Nでクリア、ワイドレンジな特性がさらに深化(進化)したと言います。 ■ 『SP-10』を試聴しました。試聴機をお借りして、試聴しました。 一言でそのサウンドを表すと「芸術的」と表現できます。とにかく音がいっぱい聴こえるのですが、それらは決してこれ見よがしな出方ではなく、マイクを含めた電気機器を通していないような実に自然な「聴こえ」なのです 。 また中低域の、解像度を維持した上での厚みの表現力は「これぞ!ハイエンド 」と言える安定感のあるもので、この時点で筆者はそのサウンドにすっかり魅了されてしまっていました。 以下に、試聴時にメモした感想を列記してみます。
【 全体的な印象では】
【ボーカル再生では 】
【クラシック再生では】
【ジャズ・ポップス再生 では】 このように、オーディオシステム自体が大きくグレードアップしたのではと感じたのでした。 あえてこのケーブルのデメリットを探すとすると、オーディオ的に、細部を顕微鏡的に聴きたいという 、オーディオマニア的には、ちょっと音が綺麗すぎる、音楽的過ぎると感じるかも知れま せん。 久々に筆者に欲しいと思わせるスピーカーケーブルでした。超高価なケーブルが多い中、約10万円という価格は、十分お買い得と言えるかも知れません。 ■さらなる高みへ。しかし、前述のFMC(顧問:芥田氏)とプロモーション・ワークス(社長:矢口氏)は、さらなる高みを目指したのです。それは、大容量で高い情報量をもつハイレゾが一般化した結果、 機器はそれに応じて進化しているものの、ケーブル導体にももっとワイドレンジ化が必要 だと考えたのです。 「PC-Triple C」は、銅素材としては極めたが、他の金属の特性を合わせたらもっといいものができるのではないか、と考えたのでした。 その 思いが結実したのが、今後サエクが採用して製品化される新導体『 PC-Triple C/EX 』です。「PC-Triple C」と5N銀による二層構造をもつ新たな導体です。 その考え方は 「PC-Triple C」にメッキを施すのではなく、「PC-Triple C」の導体の周囲をソリッドの 銀で包んで使えないかというものです。 メッキでは金属表面に細かな粒が付くイメージ(通常1~2ミクロン程度の厚み)なのに対して、「PC-Triple C」の銅線の周囲を5N 銀素材で包んだ構造のオーディオ用新導体『 PC-Triple C/EX 』が誕生したのです。 この新導体では、表皮効果によって本来減衰する高周波帯の伝送が、外側の銀部分によってしっかり伝送され、内部の「PC-Triple C」との相乗効果によって広帯域伝送を可能にしたのです。 数値としては、純度は銀:99.999%、銅:99.996%、導電率:105.0 IACD%(電気抵抗の国際基準)、比重:9.5というもので、ハイレゾソースの高周波アナログ信号の伝送に高い効果を発揮するとのことです。 ▼PC-Triple C/EX
■圧倒的な広帯域再生と静けさを実現したサエク『 SL-1 』この新導体『 PC-Triple C/EX 』を使った、第一弾の製品がサエクから今春発売されるRCAインターコネクトケーブル『 SL-1 』です。このケーブルにもトップエンドの意味で「STRATOSPHERE」という称号が付けられています。 導体構造は、前述のスピーカーケーブルの『 SP-10 』同様、外周部の導体にもそれぞれ絶縁を1本ずつに施 す「スーパーストラタム構造」へと進化しています。 これにより、『 PC-Triple C/EX 』導体の特性と相まって、圧倒的な広帯域再生と静けさを実現できたと言うことです。 『 SL-1 』については、後日取り上げる予定です。 このように「PC- Triple C」が、STRATOSPHERE『SP-10』『SL-1』として、新たな段階へ深化(進化)したのです。新たなケーブルの登場により、ますますハイエンドオーディオが面白くなりそうです。 今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん) |