
エアコンのにおいの原因とは?対処法と予防方法を解説
2025.3.25[更新]
エアコンを使用していると、さまざまな不具合が発生します。その中でも、エアコンの風から嫌なにおいがする症状はよく起こる現象です。エアコンから悪臭が漂ってくる場合、どのように対処すればいいのでしょうか。今回は、エアコンからにおいがする原因と対処法・予防方法について、わかりやすく解説します。さらに、嫌なにおいがするエアコンを買い替えるタイミングの見極め方にもふれていますので、参考にしてください。

Joshin web 家電担当者「K」が、エアコンのにおいの対処法と予防方法をご紹介いたします!
エアコンの主なにおいの原因
エアコンの風から嫌なにおいがする場合、いくつかの原因が考えられます。主なにおいの原因は以下の4点です。快適な室内環境を整えるため、まずはエアコンのにおいの原因を突き止めましょう。
エアコン内部に繁殖したカビ
エアコン内部にカビが繁殖した状態で冷暖房を運転すると、エアコンの風とともにそのにおいも拡散されてしまいます。生乾きの洗濯物のようなにおいや酸っぱいにおいがする場合、エアコン内部のカビの繁殖を疑うべきでしょう。
エアコンは室内の空気を取り込み、熱交換器を通して空気を暖めたり冷やしたりします。このとき、温度差によって結露が生じることも少なくありません。湿気を帯びたエアコン内部はカビが繁殖しやすくなります。特に湿度の高い夏場は、カビが発生するリスクが高まるため、注意が必要です。

食べ物やペットなどの生活臭
室内にこもりがちな生活臭も、エアコンのにおいの原因です。例えば、食べ物やペットのにおい、たばこや汗の成分が空気中に漂い、エアコン内部の熱交換器に付着すると、においの元が蓄積されやすくなります。こうした状態が⾧く続くと、エアコン内部ににおいが染み付いてしまいます。また、調理中に舞った油などが油汚れとして蓄積すると、カビが繁殖する原因にもなるため、いっそう悪臭が漂いやすい状況になりかねません。

エアコンのフィルターの汚れ
エアコンには内部にゴミやほこりが侵入しないよう、フィルターが取り付けられています。フィルターを清掃せずにエアコンを使用し続けると、フィルターについたほこりに室内のにおいが染み付いて悪臭の原因となりがちです。フィルターに付着したゴミやほこりがにおいの原因となっている場合、悪臭が自然に消えることはありません。

ドレンホースに詰まった汚れ
エアコンの悪臭は、室内機だけが原因ではありません。エアコン内部で発生した水を屋外へ排出する役割を担っているドレンホースも、においの原因となる場合があります。
ドレンホースに汚れが溜まると十分に排水されず、ホース内に水が溜まりがちです。この状態が続くと、ドレンホース内にカビが発生したり、汚れが蓄積されたりしやすくなります。ドレンホース内の悪臭が室内へと侵入して、嫌なにおいが発生することは十分考えられます。

エアコンのにおいを放置するとトラブルの原因になる
エアコンのにおいを放置したままエアコンを使用し続けると、さまざまなトラブルの原因になります。エアコンの風からにおいを感じたら、早めに対処することが大切です。においを放置することでどのようなトラブルが発生するおそれがあるのか、詳しく見ていきましょう。
エアコンの本来の性能を発揮できなくなる
エアコンの嫌なにおいの原因がフィルターの汚れだった場合、空気の通り道がふさがれて空気を十分に取り込めず、エアコンが本来の性能を発揮できなくなります。エアコンの性能を維持するためにも、フィルターをこまめに掃除するなどして内部を清潔な状態に保つことが大切です。

無駄な電気代がかかる
フィルターにほこりがびっしりと付着した状態でエアコンを使用すると、エアコン内の空気の通り道がふさがれることで、冷暖房の効率が低下します。エアコンメーカーのダイキンは、フィルターの清掃をしていないと、冷暖房時の消費電力が25%も増加するという試算を発表しています。エアコンのにおいを放置することが、無駄な電気代となって家計を圧迫することにもつながりかねないのです。

故障の原因になる
エアコンの吸い込み口やフィルター、熱交換器などに汚れが溜まると、故障が発生しやすくなります。汚れにより風の流れが妨げられて冷暖房の効率が下がると、エアコンは必要以上にエネルギーを使って運転することになります。その結果、部品の劣化が早まり、耐用年数が経過する前に突然故障する可能性が高まるのです。
また、ドレンホースの詰まりなどにより、エアコン内部で発生した水をうまく排出できない場合、室内機から水漏れが発生することがあります。エアコンの水漏れは、早めに対処しなければ故障にもつながりかねません。

体調不良の原因になる
エアコンの不快なにおいの原因がエアコン内部に繁殖したカビの場合、そのままエアコンを使い続けると、室内にカビ菌がまき散らされることになります。免疫力が低下している方や、アレルギーのある方などは、体調不良を引き起こす原因となるため注意が必要です。エアコンから悪臭が漂っているだけでなく、エアコンの使用中に咳や鼻水などの症状が出る場合は、早急にエアコン内部のカビを清掃する必要があるでしょう。
また、アレルギー症状のない方でも、カビ菌が大量に浮遊している空間で⾧時間過ごすのは体に良くありません。

エアコンのにおいへの対処法
エアコンから嫌なにおいが漂うときは、トラブルを起こさないためにも、すぐに対処する必要があります。快適な室内環境を保つための主な対処法として、以下の4つが挙げられます。
エアコンのフィルターを清掃する
フィルターの清掃は、エアコンの日常的なお手入れの基本です。目安として、毎日使用している時期は2週に1回程度の頻度でフィルターを清掃してください。エアコンの取扱説明書を確認した上でフィルターを取り外し、大きなほこりを掃除機で吸い取ってから水洗いします。フィルターの目に詰まったほこりは、歯ブラシなどで軽くこすって取り除きますが、このとき力を入れすぎてフィルターを変形させることのないように注意が必要です。
洗い終えたフィルターは日陰で乾燥させて、完全に乾いてからエアコンに取り付けます。フィルターを湿った状態で取り付けてしまうと、エアコン内部に水が入り込んで故障の原因となりかねません。また、消臭スプレーや除菌スプレーをエアコンに直接吹きかけるのは大変危険です。温度センサーの異常や基板のショートによる火災の原因にもなるため、スプレー類の使用は控えましょう。フィルター自体の汚れがひどい場合や劣化して破損している場合は、エアコン用フィルターを買い替えることをおすすめします。

ドレンホースの点検、清掃をする
ドレンホースに水が溜まり、カビや雑菌が繁殖すると、嫌なにおいが発生します。定期的に点検し、必要に応じて清掃や交換を行いましょう。ドレンホースの点検方法は、まず先端を確認し、水がスムーズに排出されているかチェックしてください。次にホースを軽く揺すって、内部の詰まりや汚れを感じるか確認します。ドレンホースが詰まっていて水がスムーズに排出されない場合は、専用のブラシや針金を使って清掃します。

エアコン本体に搭載された自動掃除機能を使う
エアコンに「自動掃除機能」が搭載されているなら、におい対策に役立てることができます。自動掃除機能とは、日頃しなくてはならないお手入れの一部を、自動で行ってくれる機能のこと。モデルにもよりますが、エアコンを一定時間使用すると、電源を切った後に自動的に掃除モードで運転してくれます。
なお、自動掃除機能によって除去されたほこりが、エアコン内部の「ダストボックス」に集められるモデルの場合、定期的にダストボックスを清掃する必要があります。ダストボックスのお手入れ時期を示すランプが点滅・点灯するなど、掃除のサインが表示されたときは、すみやかにお手入れをしてください。

専門業者にエアコンクリーニングを依頼する
掃除をしてもエアコンの嫌なにおいが取れない場合は、専門業者にエアコンクリーニングを依頼するのがおすすめです。プロに依頼することで、一般の方では手が届かないようなエアコンの内部まで洗浄してもらえます。クリーニングのタイミングとしては、エアコンの使用頻度が高くなる夏や冬の前後に行うのがおすすめです。
なお、賃貸物件に備え付けられたエアコンの場合は、クリーニングを依頼する前に大家さんや不動産管理会社に確認してみましょう。契約によっては、クリーニング費用を大家さんや不動産管理会社が負担してくれるケースもあります。

嫌なにおいがするエアコンの買い替えの判断基準
エアコンのにおいが気になる場合、お手入れをすればにおいが消えるのか、買い替えたほうが良いのか迷うこともあるでしょう。ここでは、エアコンを買い替えるかどうかの判断基準となるポイントを紹介します。
エアコンを使用して10年以上が経過している
多くのメーカーが、エアコンの設計上の標準使用期間を10年程度に設定しています。10年以上使用しているエアコンであれば、買い替え時期と考えたほうがいいかもしれません。10年以上経過したエアコンの場合、故障箇所を修理しようとしても、メーカーに補修部品が残っていない可能性があります。

においが染み付いた部品がエアコン内部にある
エアコン内部の部品に嫌なにおいが染み付いている場合、エアコンクリーニングでも落とせない可能性があります。例えば、断熱材やパッキン、熱交換器といった部品そのものににおいがついてしまうと、分解してにおいを除去するのは非常に困難です。専門業者にエアコンの状態を診断してもらい、部品交換やクリーニングでは解決できないと判断された場合は、買い替えも検討することをおすすめします。

エアコンの電装基板周辺が汚れている
電装基板とは、エアコンの頭脳に相当するパーツです。多くのエアコンは、室内機のフロントカバーを開けることで電装基盤を確認できます。電装基板周辺の汚れは、布やブラシなどで掃き出してお手入れをするのが一般的ですが、汚れの程度によっては十分に落とせない可能性があります。
電装基板やその周辺の汚れがにおいの原因になっているようなら、エアコン自体を買い替えたほうがいいでしょう。無理に汚れを落とそうとすると故障の原因となるため、クリーニング業者に対応が可能か相談してみることをおすすめします。

熱交換器・ドレンパンが汚れている
エアコンの室内機内部にある熱交換器は、冷房・除湿運転時に空気中の水分が結露しやすい部品です。発生した結露水はドレンパンという部品で受け止められ、ドレンホースを通じて室外へ排出されます。この熱交換器やドレンパンの汚れは、エアコンからの悪臭の原因となります。
ですが、どちらもきちんと掃除をするにはエアコンの分解作業が必要で、一般の方が清掃をするのは困難です。また、エアコンのモデルや設置環境によっては、専門業者でも、熱交換器やドレンパンの清掃が難しいこともあります。
専門業者に点検を依頼し、熱交換器やドレンパンがひどく汚れている場合は、エアコンの買い替えも検討しましょう。特に、⾧期間使用しているエアコンや、清掃が困難な場所に設置されているエアコンは、買い替えが最適な解決策となるかもしれません。
エアコンの嫌なにおいを予防する方法
エアコンは使い続けているうちに汚れが溜まるため、定期的なお手入れが欠かせません。一方で、エアコンの使い方によっては、においやカビの発生を抑えることも可能です。エアコンのにおいを予防する3つの方法を紹介しましょう。
送風運転でエアコン内部を乾燥させる
エアコン内部は熱交換器の周辺に結露が発生しやすく、カビが繁殖しがちです。そこで、冷房を使用した後は送風運転をして、エアコン内部を乾燥させることにより、カビの繁殖を抑える効果が期待できます。
冷房運転後、エアコンの電源をすぐに切らずに、1時間程送風運転をしてから電源を切ることで、エアコン内部を乾燥させることが可能です。また、エアコンを使わないオフシーズンであっても、月に一度は送風運転をして、エアコン内部を清潔に保ちましょう。

こまめに換気をする
エアコンの使用中、こまめに換気をすることも大切なポイントです。食べ物やたばこなどのにおいが室内にこもったままエアコンを使用すると、空気とともににおいもエアコン内に取り込んでしまいます。そうして取り込んだにおいが、エアコン内部の各部品に染み付いてしまうと、お手入れをしても取れなくなります。
適度な換気は、部屋の空気を衛生的に保つためにも重要です。厚生労働省は1時間あたり2回以上、数分間は窓を開けて換気をすることを推奨しています。部屋を閉め切った状態で冷暖房を使い続けることのないよう、定期的な換気を心掛けましょう。

定期的に部屋を清掃する
エアコンのフィルターを定期的に清掃することも大切ですが、エアコンが設置されている部屋の清掃も重要です。部屋にほこりが舞っていると、エアコンに取り込まれる空気とともにほこりがエアコン内部に侵入し、蓄積されてしまいます。
ほこりは空気中を浮遊したのち、徐々に床や家具などに積もっていきます。その状態で掃除機を使用すると、掃除機の排気によってほこりが再び舞い上がってしまうことも。掃除機をかける前に、フローリングワイパーやハンディーモップなどでほこりを除去しておくことで、空気中を舞うほこりを抑えられます。

エアコンの嫌なにおいは、こまめな清掃で解消
エアコンから排出される嫌なにおいは、冷暖房使用時の快適性を低下させるだけでなく、エアコンの性能低下や故障の原因ともなります。また、においのするエアコンを⾧期間使用することは、体調不良の原因にもなりかねません。エアコンのにおいを防ぐには、日頃からこまめにお手入れをすることが重要です。今回紹介した対処法・予防方法を参考に、エアコンのにおいを解消して、冷暖房を快適に活用してください。