加湿空気清浄機の一番の魅力は、一台で加湿器と空気清浄機の2つの役割を果たしてくれることです。それぞれを部屋に置くよりも、設置スペースを必要としません。
加湿機能が主に活躍するのは、空気が乾燥しやすい冬。肌や喉に潤いを与えるだけでなく、湿度が高いほうが体感温度は高まるため、暖房の設定温度を低くしても寒さを感じにくくなり、節電につながります。
もちろん、湿度の高い夏場は、加湿機能をオフにして空気清浄機能だけを使用することも可能です。

加湿空気清浄機には、そのモデルがどれほどの広さの部屋に適しているかを表す「適用床面積」が設定されています。これは、「30分で空気をきれいにできる部屋の広さ」を表しています。おすすめなのは、実際に設置する部屋の広さよりも、適用床面積が1～2ランク大きめのモデルを選ぶこと。短時間で空気がきれいになりますし、フルパワーで稼働する時間が短くなるため、電気代の節約にもつながります。
なお、加湿機能と空気清浄機能の適用床面積がそれぞれ違う場合は、加湿機能の適用床面積を参考に、部屋の広さよりも1～2ランク上のモデルを選ぶと良いでしょう。

加湿空気清浄機の加湿性能は、空気清浄機に加湿機能を付加した程度のものから、加湿器に匹敵する能力を持つものまで、メーカー・モデルによってさまざまです。加湿性能を重視するのであれば、カタログやスペック表に記載されている「最大加湿量」をチェックしてください。

最大加湿量とは、1時間あたりに放出できる水分の量を表す数値で、「mL/h」あるいは「mL」という形で表記されています。この数値が大きければ、それだけ加湿能力が高く、部屋に十分な潤いを与えることができます。 ただし、部屋の広さに対して加湿能力があまりにも大きなモデルを使用すると、湿度が高くなりすぎてカビや結露の原因にもなりかねません。加湿機能の適用床面積を確認し、効率良く加湿したい場合、部屋の広さより1～2 ランク上のモデルにしておくことをおすすめします。

家で過ごすことが多く、部屋を長時間加湿するならば、水を入れるタンクの容量もご確認ください。大容量のものなら、給水の回数が少なくて済みます。ただし、タンク容量が大きいモデルは、それだけ本体サイズも大きくなるため、設置場所を考える必要があります。
なお、適切なタンク容量の目安は、最大加湿量と1日の使用時間から割り出すことができます。

＜適切なタンク容量の計算式＞
必要な容量（L）＝最大加湿量（mL/h）×1日の運転時間（h）÷1,000

おおよその目安として、4L以上のタンク容量があれば、長時間の連続運転ができると考えていいでしょう。

加湿空気清浄機は空気中の異物をキャッチするため、タイプの異なる複数のフィルターを搭載しています。
フィルターの種類や性能は、空気清浄能力に大きく影響するため、どのようなフィルターを搭載しているか、事前にチェックしておきましょう。

イオン発生機能は、プラズマ放電や電気分解によって作り出したイオン（プラスやマイナスの電気を帯びた原子）を使って、空気をきれいにする機能です。イオンは、細菌やウイルスの作用を抑制したり、においの原因物質に働きかけて消臭効果を発揮したりします。

イオン発生機能には大きく2種類があり、それぞれ特長が異なります。ひとつは、吸入した空気にイオンを作用させるタイプ。空気清浄機に取り込んだ物質にしか効果がありませんが、大量のイオンを作用させることができます。もうひとつは、発生させたイオンを室内に放出するタイプ。壁やカーテン、家具の表面に付着した細菌やウイルスにも効果が期待できます。

加湿空気清浄機の中には、加湿だけでなく除湿もできるモデルがあります。除湿機能があれば、梅雨時や秋の長雨の時期でも快適に過ごせますし、湿度を下げることで体感温度を下げ、冷房の設定温度を上げることもできます。
また、洗濯物を部屋干しするときなどにも効果的。除湿機能を備えたモデルなら、一年を通じて部屋の空気環境を快適に整えることができます。

• 除湿・加湿機能搭載タイプ

加湿空気清浄機は水を使用するため、掃除をせずに使用し続けていると、内部にカビが生じてしまうことがあります。また、ゴミやほこりが溜まって吸気能力が落ちないように、プレフィルターは定期的な掃除が必要です。加湿空気清浄機を選ぶ上でお手入れのしやすさは、大切なチェック項目といえるでしょう。

メーカーのウェブサイトやカタログなどで、水の経路の掃除のしやすさやフィルターの交換時期などをご確認ください。また、中には内蔵フィルターを自動的に掃除してくれるメンテナンスフリーモデルもあります。こうしたモデルなら、定期的なフィルター掃除の頻度を減らすことができます。

• フィルター自動清掃機能搭載

加湿空気清浄機は、室内の空気を吸入口から取り入れて浄化した後、排気口から吹き出します。排気口はほとんどのモデルが本体上面に備えていますが、吸気口の位置はモデルによって、前面吸気か背面吸気かに分かれます。

加湿空気清浄機は、きれいな空気をまんべんなく広げられるように、部屋の中央に置くのが理想。ですが、ほとんどの環境では難しいでしょう。壁際に設置するなら、吸気効率が悪くならないように前面吸気タイプのモデルがおすすめです。なお、壁から離して設置できるようであれば、どちらの吸気方法でも問題ありません。

加湿空気清浄機には、さまざまな機能が搭載されています。どんな機能が便利かは、環境などで異なります。使用シーンを想定して、必要な機能を搭載したモデルを選んでください。ここでは、代表的な便利機能をご紹介します。

「他社がまねするような商品をつくれ」という、創業者の精神を今も受け継ぐ家電メーカー、シャープ。同社の加湿空気清浄機は、全モデルに独自のイオン発生技術「プラズマクラスター」を搭載しています。イオンを空気中に放出することで、室内の花粉やアレル物質、におい成分などを除去したり、細菌やウイルスを不活化したりする効果が期待できます。
また、1,000mL/hという業界トップクラスの加湿能力を発揮するモデルもラインナップしています。すべてのモデルが本体にキャスターを備えているため、移動が簡単なのもポイント。ダイニングやリビング、寝室など、きれいな空気を家中に連れて行くことができます。

• シャープ

空調機器の分野において、世界トップクラスのシェアを誇るダイキン。一般家庭向けはもちろん、大規模なビルの空調設備・換気設備も手掛ける、総合空調機器メーカーです。同社の加湿空気清浄機は、全機種に「ストリーマ」機能を搭載。強力な酸化分解力で、汚れや花粉、細菌、においの成分などを抑制します。
また、タンクを外さなくても本体上部から給水できる、使い勝手の良いモデルもあります。ハイエンドモデルは除湿機能も備えているので、一年を通じて活躍してくれるでしょう。

• ダイキン

映像・音響機器をはじめ、あらゆるジャンルでトップクラスの製品を作り続ける総合家電メーカー、パナソニック。同社の加湿空気清浄機は、空気中の水分に高い電圧を加えて作る、ナノサイズの微粒子イオン「ナノイー」の発生機能を搭載しています。花粉やハウスダスト、PM2.5、細菌やウイルスなど、さまざまな有害物質を抑制してくれるのが特長です。
また、今すぐ潤いが欲しいときに便利な「お急ぎ加湿モード」といった機能も評判。コンパクトでフラットなデザインは、さまざまな部屋にマッチします。

• パナソニック

加湿空気清浄機は、吸気口から室内の空気を吸い込み、きれいにした空気を排気口から吹き出す構造です。そのため、家具や壁と吸気口との隙間がわずかしかないと、十分な量の空気を吸い込むことができず、空気浄化能力が低下してしまいます。加湿空気清浄機を壁際に設置する場合は、壁とのあいだに30cm以上の隙間を空けてください。 また、加湿機能を使う場合は、エアコンやファンヒーターの風が直接あたらない場所に設置すると、高い加湿効果が得られます。

加湿空気清浄機は空気をきれいにするために、少しずつフィルターが汚れていきます。そのため、定期的な掃除や交換が必要です。
大きなほこりや髪の毛をキャッチするプレフィルターは、2週間に1回の掃除が目安。溜まったほこりを掃除機で吸い取り、汚れがひどいようなら取り外して水洗いをします。
集塵フィルターや脱臭フィルターは、多くの場合、水洗いできません。2週間～1ヵ月に1回、掃除機で汚れを吸引してください。

加湿ユニットは水を使用するため、放置するとカビやにおいが発生しやすい部分です。水は使用するたびに交換し、ぬめりが出やすいタンクや給水トレイなどもこまめに洗ってください。また、加湿フィルターは1ヵ月に1回水洗いをします。メーカー・モデルによっては、1年に1度の交換で水回りをきれいに保つカートリッジを用意していることもあります。
なお、お手入れの方法やフィルターなどの交換時期は、モデルによって違います。取扱説明書の指示に従ってください。

• フィルター・関連商品

常に空気をきれいに保つため、空気清浄機能は24時間・365日稼働させるのが基本です。こまめに電源のオン・オフを繰り返しても、あまり電気代は変わりません。
一方、加湿機能は、部屋の中に人がいるときや、暖房を使用しているあいだだけ使用しましょう。就寝中や外出中などに加湿を続けると、湿度が高くなりすぎて結露やカビの原因になることがあります。

加湿空気清浄機の中には、空気の汚れ具合や乾燥具合をセンサーで検知して、AIが自動的に湿度をコントロールしてくれるモデルもあります。そうしたモデルなら、機械任せで何も操作をしなくても、いつでも快適な空気環境を保つことが可能です。

加湿空気清浄機は室内の空気を吸い込むため、機器の周辺にほこりや髪の毛が集まりやすくなります。ですが、加湿空気清浄機は水タンクがあるため重量があり、掃除をするときも移動が大変。そこで、キャスター付きの台車に載せて、必要に応じて移動できるようにすると掃除が簡単です。

また、メーカー・モデルによっては、キャスターを標準装備していたり、別売のオプションパーツとして用意していたりすることがあります。お掃除のしやすさを考えるなら、こうしたモデルも候補に加えることをおすすめします。