
エアコンの試運転は夏前と秋に!運転時間や手順、トラブル対策を解説
2025.6.21[更新]
夏・冬ともに、必要不可欠な家電製品のひとつがエアコンです。季節によって使用しない時期があるため、いざ、使おうというとき正しく稼働しないことがあります。本格的な稼働シーズンの前に、エアコンを試運転することが重要といえるでしょう。 今回は、エアコンの試運転が必要な理由と事前に確認することのほか、試運転の手順やトラブル時の対処法について解説します。

Joshin web 家電担当者「K」が、エアコンの試運転について解説します!
エアコンに試運転が必要な理由と適切な時期
一般的にエアコンを使用し始めるのは、冷房が6月から7月頃、暖房は11月頃です。また、この時期は、エアコンの修理や買い替えによる設置依頼が集中する時期でもあります。そのため、エアコンの本格稼働シーズン前に、試運転しておくことをおすすめします。 まずは、エアコンの試運転が必要な理由と、試運転の適切な時期についてご紹介しましょう。
エアコンのトラブルを早期発見する
エアコンの試運転をすることで、故障や誤作動といったトラブルを発見することができます。毎年、エアコンを使い始める時期は、新規購入による設置や修理の依頼が増える時期でもあります。いざ、エアコンを使おうとしてエアコンが作動しなかった場合、修理依頼や買い替え依頼をしても、実際に使えるようになるまでに2週間以上かかるケースも珍しくありません。事前にトラブルを見つけておくことで、早めに対応できます。
また、エアコンの試運転は、準備運動のようなものでもあります。試運転をしないまま、シーズンになっていきなり100%の負荷をかけると、エアコンの故障や誤作動の原因にもなりかねません。エアコンのトラブルを避けるためにも試運転は大切です。

エアコンの試運転を行う適切なタイミング
エアコンの試運転の適切なタイミングは、本格的なエアコン稼働シーズンの1ヵ月程前です。 夏なら4月から6月前半頃、冬なら10月中旬から11月前半頃がおすすめ。この時期であれば、エアコンの不具合を見つけたときでも、修理や買い替えといった対応を比較的スムーズに行うことができます。

エアコン試運転の前に確認すること
エアコンの試運転を行う前には、確認しておきたい点がいくつかあります。エアコンの試運転による故障やトラブルを避けるためにも、下記の点を確認してから試運転を行いましょう。
ブレーカーやコンセント、リモコンを確認する
エアコンの試運転をする前には、まずブレーカーが落ちていないか、コンセントにプラグがささっているかを確認します。 コンセント周辺にほこりが溜まっていると、ショートによる火災の危険がありますので注意が必要です。その場合、コンセント周辺をきれいに掃除し、ゆるみ、がたつきがないよう、しっかりとプラグを差し込み直します。 また、エアコンのリモコンの液晶表示が薄かったり、表示されていなかったりするようなら、電池を交換してください。

フィルターの汚れをチェックする
エアコンを試運転する前には、エアコンのフィルターも確認しておきます。 前回のエアコンシーズンにフィルターを掃除しないまま放置していた場合、フィルターに溜まったほこりに、雑菌やカビなどが繁殖しているかもしれません。そのまま稼働すると、嫌なにおいが発生したり、誤作動や故障などのトラブルにつながったりする可能性があります。

室外機と排水ホースを確認
エアコンの試運転前には、室外機周りと排水ホースの確認も必要です。エアコンの室外機は温度調節に重要な役目を果たしています。室外機のファンの前には物を置かず、落ち葉などでファンがふさがれていたら、きれいに掃除してください。また、排水ホースがつぶれていたり、詰まっていたりすると、正しく排水できず、エアコンの室内機から水が漏れることがあります。排水ホースも試運転前に、確認・掃除しておきましょう。

そのほかの確認事項
エアコンの試運転前の確認事項は、エアコンの室内機や室外機の見た目だけではありません。例えば、エアコン周辺のチェックや、内部から異音がしていないかも確認してください。 エアコンの周辺に小さな黒い粒が散乱していたり、エアコン内部からカサカサとした音がしたりするときは、エアコン内にゴキブリが潜んでいる可能性があります。屋外の排水ホースから侵入したゴキブリが、そのまま住み着いてしまうこともあるので、あやしいときはエアコンの室内機を叩いて外に追い出してください。 また、このとき、エアコンの室内機に殺虫剤を吹きかけるのは、故障の原因ともなりかねないので厳禁です。

エアコンの試運転の方法
エアコンの試運転は、エアコンシーズンの夏前と冬前、年に2回行うことをおすすめします。冷房、暖房が正しく作動しているか、異音や異臭、水漏れなどの異常はないかなどをチェックしてください。ここでは、エアコンの試運転の具体的な手順についてご紹介します。
1. 冷房・暖房モードにして試運転開始
運転モードを夏前には冷房、冬前には暖房にし、試運転を始めます。室温の設定は、設定できる最低もしくは最高温度にします。冷房であれば、16~18℃、暖房であれば31℃です。問題なく作動したら、そのまま10~15分程稼働させます。これは、エアコンに異常があった場合に検知するために必要な時間です。

2. 風が出ているかとエラーランプを確認
エアコンの吹き出し口から冷風もしくは温風が出ているかを確認します。 なお、エアコン室内機のランプが点滅している場合、異常停止している可能性があります。リモコンに表示されたエラーモードや、ランプの種類と点滅パターンを確認し、取扱説明書でエラーの内容をチェックしてください。ご自分で対処できるエラーであれば対応し、解決が難しいようであれば、メーカーや販売店に相談が必要です。

3. さらに動かして水漏れがないかを確認
風が出ており、エラーが出ないことを確認したらエアコンを引き続き動かし、計30分程稼働させます。これは、エアコン内部の冷媒ガスが循環し、外気との温度差で結露した水が発生するまで約30分程度かかるため。30分程動かしてからエアコン内部で発生した水が排水ホースを通して屋外へと排水されているか、確認してください。なお、エアコン室内機の吹き出し口付近から水が漏れてきた場合は、内部で水漏れをしているため修理が必要です。念のため、室内機の下に物を置かないようにしましょう。

4. 異音や異臭がしないかを確認
試運転中に異音や異臭がしないかも確認してください。エアフィルターや内部の熱交換器に汚れが溜まって目詰まりを起こしていると、空気の通りが悪くて振動が生まれ、異音となるケースもあります。 なお、焦げくさいにおいがするときは、直ちに試運転を止め、メーカーや販売店にご相談ください。

自動点検機能のあるモデルは設定の確認を
エアコンの中には、故障部分がないかを自己診断できる「シーズン前自動点検機能」や、シーズン前に自動でお手入れをする「プレシーズンお手入れ機能」を備えたモデルもあります。 いずれも便利な機能ですが、これらの機能を使うには、事前に自分で設定をしなければならないことも。取扱説明書を確認してみてください。
こんなときどうする?エアコン試運転の異常やトラブル
エアコンの試運転中に何らかの異常やトラブルが起こった場合、ご自身で対処できるケースと、できないケースがあります。いざというときに焦ることなくスムーズに対応できるよう、試運転時に起こりやすいトラブルと、その対処法についてご紹介します。
エアコンの電源が入らない・切れない
エアコンのリモコンを操作してもエアコンの電源が入らない、または切れない場合、まずは、エアコン室内機の応急運転スイッチ(応急運転ボタン)で作動するかを確認します。応急運転スイッチの位置はモデルごとに違うので、取扱説明書をご覧ください。 応急運転スイッチでエアコンが作動しない場合は、電源プラグを抜き差ししたあと、エアコン用のブレーカーが落ちていないかを確認します。それでも動かない場合は、メーカーや販売店にご相談ください。
応急運転スイッチが作動する場合、リモコンのトラブルが考えられます。その場合、電池を交換し、正しく作動すれば問題ありません。 リモコンが正常に作動しているかどうかは、スマートフォンのカメラ機能で確認できます。リモコンの先端(送信部)をスマートフォンのインカメラ(液晶画面側のカメラ)に向けて、リモコンのいずれかのボタンを押してみてください。リモコンが正しく作動していれば、スマートフォンの画面に写るリモコンの送信部が光って見えます。 なお、最新のスマートフォンでは、アウトカメラ(背面のカメラ)に赤外線フィルターを搭載していることがあります。こうしたモデルでは、リモコンが正常に作動していても送信部が光って見えません。必ず、インカメラで確認してみてください。 リモコンにエラーを示す表示が出ている場合は、そのエラーに応じた対処が必要です。取扱説明書を確認し、ご自分で対処できないエラーやトラブルだった場合は、メーカーや販売店へ相談することをおすすめします。
部屋が冷えない・暖まらない
エアコンを作動して、冷暖房の効きが弱く感じられる場合は、吹き出し口付近に風をさえぎる遮蔽物がないか、室外機のファンが回っているかを確認してください。 また、風向きの設定や、省エネ運転機能がオンになっていないかなどもご確認を。風向きは、冷房であれば上向きに、暖房であれば下向きにするのが効果的です。 省エネ運転機能がオンになっている場合はオフに変更して、冷暖房の効きが変わるかどうかを確認してください。

エアコン室内機のランプが点滅している
エアコン室内機には、エラーの内容を示すランプが取り付けられています。このランプが点滅している場合は、ランプの種類と点滅パターンを確認し、取扱説明書と照らし合わせて、ご自分で対処できるエラーかチェックしてください。

エアコン室内機から異音がする
作動中のエアコン室内機から下記のような異音がする場合は、どのような音かによって、ある程度原因を推測することが可能です。 なお、異音というにはあまりにも大きな音がする場合は、すぐに試運転をやめ、メーカーや販売店にご相談ください。

カタカタ
試運転開始直後にカタカタという音がする場合、室外機についている電磁弁が作動する音の可能性があるため、エアコンの異常ではありません。しかし、試運転中にずっとカタカタ聞こえる場合は、室内機の前面カバーやフィルター、ダストボックスなどの取り付け不良の可能性があります。各パーツをきちんと取り付け直して、音が改善するかご確認ください。
シュルシュル/サー
シュルシュル、もしくはサーという音は、パイプの中を冷媒が流れたり、その流れを切り換える弁が動いたりした際に出る音です。異常ではありませんが、以前よりも音が大きくなったり、常に鳴り続けたりする場合は、メーカーや販売店に点検の相談をしてみてください。
キシキシ
エアコンの稼働中にするキシキシという音は、パーツの接合部がきしむ音だと考えられます。エアコンは多くの部品で構成されていますが、冷えたり温まったりするとパーツが伸び縮みして、きしみ音が発生することがあります。異常ではありませんが、あまりに音が大きかったり、絶えず音がしたりする場合は、メーカーや販売店にご相談ください。
ポコポコ
ポコポコという音は、エアコンの排水パイプから外気が逆流している音で、異常ではありません。台風や雨の日など、室内外に気圧差ができた場合、排水パイプから空気が流れ込み、ホース内の水を吹き上げてポコポコという音がします。また、風の強い日などにも発生しやすい音です。
エアコン室外機から異音がする
エアコンの室外機からもさまざまな音がしますが、音の種類や原因はおおよそ室内機と同じです。極端に気温の高い日や低い日は、エアコンの設定温度と実際の室温の差が大きく、室外機がパワフルに稼働するため、動作音が大きくなることがあります。なお、急に音が大きくなって止まらない場合は、室外機に何らかの問題が発生している可能性があるため、メーカーや販売店にご相談ください。

異臭がする
新品のエアコンの場合、プラスチックや塗料のにおいがする場合がありますが、基本的にエアコンの風は無臭です。試運転中に下記のようなにおいがする場合は、ご注意ください。

焦げくさい
エアコンから焦げくさいにおいがする場合、配線の過熱などの可能性があります。火災が発生する危険もありますので、すぐに試運転をやめ、メーカーや販売店にご相談ください。
カビやほこりのにおい
長期間使用していない、あるいは長らくお手入れをしていない場合、エアコン内部でカビが繁殖することがあります。まずはエアコンを掃除して、においが軽減するか確かめてください。
屋外のにおい
排水ホースの出口周辺のにおいが、ホースを通じて上がってくる場合があります。気になる場合は、排水ホース周辺を掃除するなどの対処が必要です。
オゾンのにおい
イオン発生機能や空気清浄機能を備えたエアコンでは、わずかにオゾン臭がすることがあります。健康には影響ありませんが、気になる場合は機能をオフにすることで対応できます。
そのほかのにおい
エアコンは室内の空気を吸い込んで吐き出します。室内にはさまざまなにおいの元があるため、それらが混じり合い、独特のにおいを発する場合があります。このようなときは、室内を十分に換気して、においがなくなるかどうか確認してみましょう。
エアコンの本格稼働前に必ず試運転を
しばらく使用していなかったエアコンをいきなりフル稼働させると、故障やトラブルを引き起こしかねません。エアコンのシーズン前には必ず試運転をし、エアコンが正常に稼働するかどうか確認しましょう。 また、エアコンの試運転中に問題を発見した場合は、早めに修理を手配するか、あるいは買い替えも検討してみてはいかがでしょうか。最新モデルのエアコンなら、高機能・高性能であるだけでなく、省エネ性能も高いモデルがそろっていますので、電気代の節約にもつながります。