
冷蔵庫の適正温度とは?節電できる温度管理方法を解説
2025.2.28
冷蔵庫の各室には、それぞれ食品を最適な状態で保存するための適正温度があります。この温度を守ることで、食品の鮮度を保つだけでなく、冷蔵庫の効率を高めることができ、電気代の節約にもつながります。そこで今回は、冷蔵庫内の冷蔵室や冷凍室、野菜室など、各室の適正温度について解説。また、冷蔵庫内の温度を適温に保つための、具体的な方法も併せてご紹介します。

Joshin web 家電担当者「マルちゃん」が、冷蔵庫の適正温度と節電できる温度管理方法を解説いたします!
冷蔵庫の各室の適正温度
冷蔵庫の適正温度を保つことは、食品の鮮度保持と省エネの両面で重要です。冷蔵庫内の温度が適切でないと、食品が劣化しやすくなったり、無駄なエネルギーを消費して電気代が高くなったりする原因となります。冷蔵庫内の各室の適正温度を知り、正しく管理することで、食品をより長くおいしい状態で保存できるだけでなく、電気代の節約が可能です。
まずは、冷蔵庫の冷蔵室、冷凍室、野菜室、チルド室、パーシャル室の適正温度について見ていきましょう。
冷蔵室の適正温度:約2~6℃
冷蔵室の適正温度は、一般的に約2~6℃とされています。この温度帯は、多くの食品を新鮮に保つのに適しており、細菌の繁殖を抑えながら、食品の凍結を防ぐことが可能です。2~4℃は生鮮食品( 肉や魚など)の保存に適した温度帯で、4~6℃は一般的な食品(飲み物や加工食品など)の保存に適した温度帯です。
冷蔵室は、冷蔵庫の中で最も広いスペースを占めており、日常的に使用する食品の多くを収納します。冷蔵室全体の温度を安定して保つには、冷気の吹き出し口付近が特に冷えやすいことを考慮し、冷気の流れを妨げないよう食品を配置するといいでしょう。食品の配置を工夫することで、冷蔵室内を均一な温度に保つことができます。

冷凍室の適正温度:約-20~-18℃
冷凍室の適正温度は、約-20~-18℃とされています。冷凍室の温度は、日本工業規格(JIS)によって-18℃以下を保つことが基準として定められており、家庭用冷蔵庫もこの基準にもとづいて設計されています。微生物は-18℃以下では活動できません。そのため、食品の安全性を確保する観点でも、この温度帯を維持することが重要です。
また、適正温度を保つことで、食品の風味や栄養素を損なわずに長期間保存できます。冷凍食品やアイスクリーム、冷凍した肉・魚・乾物などを保管するのに適しているでしょう。なお、食品を冷凍する際には、密閉容器や冷凍用保存袋を使用して乾燥や冷凍焼けを防ぐ工夫をすると、より良い状態で保存できます。

野菜室の適正温度:約3~8℃
野菜室の適正温度は、約3~8℃とされています。この温度帯は、多くの野菜や果物をみずみずしく保つのに最適です。野菜室は冷蔵室よりも密閉性の高い設計になっており、外気や乾燥した冷気が直接入りにくいため、温度と湿度を安定して維持できます。これにより、野菜の乾燥を防ぎ、鮮度を長持ちさせることが可能です。
特に、ナスやキュウリなどの低温に弱い野菜は、低すぎる温度で保存すると品質が劣化してしまいます。野菜室で適切な温度で保存し、低温障害を回避しましょう。

チルド室の適正温度:約0℃
チルド室の適正温度は、約0℃です。この温度帯は、食材が凍り始める直前の状態を維持するために設定されており、冷蔵室よりも低温に保たれたスペースです。チルド室の適正温度は、細菌の増殖を抑え、食品の酵素活性を低下させるため、食品の鮮度を長く保つことができます。また、凍結による食材の細胞破壊を防ぐため、食材の風味や食感も損なわれません。
チルド室は、納豆、チーズ、ヨーグルト、練り物(かまぼこ、ちくわ)などの保存に最適です。
パーシャル室の適正温度:-3℃
パーシャル室の適正温度は、約-3℃です。パーシャル室は、食材の微凍結状態を維持するスペースとして設計されており、この温度もJISによって定められています。
約-3℃という温度では、食材の表面に微凍結の層が形成され、酸化を防ぐ効果があります。そのため、冷蔵室やチルド室に比べて、食材の鮮度をより長く保つことが可能です。また、食材を完全に凍らせないため、調理前に解凍する手間がほとんど必要なく、家事の時短にもつながるでしょう。パーシャル室は、肉類や魚類、加工食品、あるいは調理や下ごしらえをした食材などの保存に向いています。
冷蔵庫の設定温度は季節ごとに変えるべき?
冷蔵庫は、外気温の影響を受けやすい家電製品です。そのため、季節に合わせて温度設定を調整することで、無駄な電力消費を抑えられる場合があります。例えば、夏場は温度調整を「強」に、冬場は「弱」に設定すると、適切な温度を維持しつつ、省エネにつなげることができるでしょう。
冷蔵庫の温度調整のタイミング
冷蔵庫は開閉時に外気を取り入れるため、外気温の影響を受けやすくなっています。そのため、季節や気温に応じて温度設定を調整することが大切です。最高気温が30℃を超えたら「強」に、最低気温が0℃付近になったら「弱」にするなど、外気温を基準に調整するのがおすすめです。
省エネを意識しすぎるあまり、夏場に「弱」を設定してしまうと、庫内の食材を傷めてしまうおそれがあるため、注意しましょう。一方で、気密性が高い住宅や、冷暖房機器を使用して室温を一年中一定に保っている場合は、季節ごとの温度調整を過度に気にする必要はありません。
冷蔵庫の温度調整の方法
冷蔵庫の温度調整は、ドアに設置されている操作パネルや、冷蔵室内の温度調整ダイヤルを使って行います。多くの冷蔵庫では、「強」「中」「弱」の3段階で温度を設定可能です。中を基準として、強は約2~3℃低く、弱は約2~3℃高くなります。季節ごとの目安としては、春と秋は中または弱、夏は強または中、冬は弱にするといいでしょう。
ただし、これらはあくまで目安であり、実際の庫内温度や食品の状態を確認しながら調整することが大切です。また、温度設定を変更した場合、庫内温度が安定するまで数時間かかることがあるため、すぐに効果を判断せず、時間を置いて様子を見てください。
冷蔵庫の温度を適温に保つ方法
冷蔵庫内の適正温度を保つことは、食材の鮮度を守るだけでなく、節電にもつながります。ここで紹介する方法を実践して、冷蔵庫内の適温をキープするよう心掛けましょう。
料理は冷ましてから入れる
調理済みの料理を冷蔵庫で保存する際は、冷ましてから入れましょう。調理直後の熱い料理をそのまま冷蔵庫に入れると、庫内の温度が上昇し、余分な電力を消費してしまいます。また、ほかの食材にも悪影響を及ぼす可能性があります。料理はいったん、室温程度まで冷ましてから保存してください。

適切な容量で収納する
冷蔵室に食材を詰め込みすぎると冷気の循環が悪くなり、冷却効率が低下します。このため、冷蔵室の収納率は、容量の50~70%程度を目安にするのがおすすめです。また、食材同士もなるべく適度な隙間を作り、冷気が行き渡るように配置しましょう。一方、冷凍室では、食材を詰め込むほうが効率的です。収納率を上げても問題なく、冷却効率が向上します。

適切なスペースで食材を保存する
各食材に適した保存場所を知ることで、食材の鮮度を長く保つことができます。冷蔵庫の各室に適した食材は、下記のとおりです。
各種食材に適した冷蔵庫内の保存場所
・冷蔵室:日常的に使う食品(卵、豆腐、乳製品など)
・冷凍室:長期保存したい食品(肉、魚、冷凍食品など)
・野菜室:野菜や果物(ただし、すべての野菜が適しているわけではありません)
・チルド室:生鮮食品(肉、魚介類など)や発酵食品(納豆、キムチなど)
・パーシャル室:(肉類、魚介類、ハムやベーコンなどの加工食品、茹でた野菜や下味をつけた肉などの下ごしらえした食材など)
野菜については、ジャガイモやタマネギなどの常温保存可能なものは冷蔵庫に入れず、風通しの良い冷暗所で保存しましょう。
ドアの開け閉めの回数を減らす
頻繁なドアの開閉は、庫内温度を上昇させます。食材の出し入れはできるだけまとめて行い、ドアの開閉回数を減らすように心掛けましょう。普段から冷蔵庫の中を整理整頓することで、必要な食材をすぐに取り出せるため、ドアを開ける時間を短縮できます。

放熱スペースを作る
冷蔵庫は、周囲に熱を放出して庫内を冷やしています。放熱スペースが不足すると冷却効率が低下し、消費電力が増加する原因となります。
冷蔵庫を設置する際は、背面と側面に5cm以上の隙間を設けるようにしてください。また、背面・底面の放熱部分に溜まったほこりを定期的に掃除することで、効率良く放熱できる状態を保つことが可能です。
冷気の吹き出し口をふさがないようにする
冷蔵庫にある冷気の吹き出し口や吸い込み口を食品でふさいでいると、冷気が庫内全体に行き渡らず、冷却効率が低下します。その結果、冷却運転が必要となり、消費電力が増加するため注意が必要です。
冷気の吹き出し口は多くの場合、冷蔵室の最上部に配置されています。一方、吸い込み口は冷蔵室の最下段の奥やチルド室の近くにあることが多いでしょう。食品を収納する際は、これらの周りにスペースを確保し、食品を密集させないようにしてください。また、吹き出し口付近は特に冷えやすく、場合によっては食材が凍ってしまう可能性があるため、注意が必要です。
冷蔵庫の適正温度を守って、賢く節電しよう
冷蔵庫は適切な温度を保つことで、その性能を最大限に発揮できます。各室の適正温度を知り、その温度を守ることは、食品を新鮮に保つだけでなく、電気代の節約にもつながります。
まずは、ご家庭の冷蔵庫の各室が適正な温度になっているかを確認してみてください。もし、適正温度から外れていた場合は、温度設定を変更してしばらく様子を見ましょう。冷蔵庫の適正温度を保って、冷蔵庫を賢く使いこなしてください。