
冷蔵庫が冷えないときの対処法は?原因や確認点を徹底解説
2025.2.23[更新]
冷蔵庫の中が十分に冷えていなかったり、冷却効果が弱まっていたりすると、「故障かもしれない」と心配になります。しかし、冷蔵庫が適切に冷えない原因は、故障とは限りません。比較的簡単に解決できることもあるため、焦らずに原因を究明することが重要です。本記事では、冷蔵庫が冷えない原因と、それに対する適切な対処方法を解説します。

Joshin web 家電担当者「パオ村さん」が、冷蔵庫が冷えないときの対処法について解説します!
冷蔵庫が冷える仕組みは?
一般的な家庭用冷蔵庫は、冷媒という物質の状態変化を利用して庫内を冷やしています。冷媒が気体から液体へ、液体から気体へと変化しながら、冷蔵庫内のパイプを循環するときに作り出した冷気により、庫内を冷やしています。
冷蔵庫は、冷蔵室や野菜室、チルド室、冷凍室など、いくつかの部屋に分かれており、それぞれ適温が異なります。メインの部屋である冷蔵室の適温は約2~5℃、野菜室は約3~7℃が保管に適しています。チルド室は、食材が凍る寸前の約0~2℃で鮮度を保つことが可能です。冷凍室は‐18℃以下とすることで、微生物が繁殖しにくくなり、食品の⾧期保存が可能になります。
冷蔵庫が冷えない原因
冷蔵庫がしっかりと冷えないときの原因は、故障とは限りません。ここでは、冷蔵庫が冷えない主な原因とその対処法をご紹介します。
電源が入っていない:誤ってコンセントを抜いてしまっている場合も
冷蔵庫は、一度設置すると電源を切る機会は少ないため、知らないうちに電源が切れていることはないように思えます。しかし、お子さまやペットが誤ってコンセントを抜いてしまったり、掃除の際にコードが引っ掛かってコンセントが抜けたりすることもありえます。また、電化製品の使用が集中した際に、ブレーカーが落ちてしまうことも。冷蔵庫が冷えない場合は、まずは電源やブレーカーを確認しましょう。
ブレーカーが原因の場合は、ほかの電化製品の電源をすべてオフにしてから、ブレーカーをオンにします。その後、再びブレーカーが落ちないように様子を見ながら、タイミングをずらして必要な電化製品のスイッチを入れてください。

温度設定が正しくない:室温に合わせた温度設定を
夏季のように室温が上昇する期間は、冷蔵庫の温度設定が不適切だと、冷蔵庫内が十分に冷えないことがあります。例えば、温度設定を「弱」にしていたり、エネルギー節約のために節電モードを選択していたりする場合です。このような場合は、室温の上昇に合わせて冷蔵庫の設定温度を調整することで解決できます。

冷気が循環していない:食品の量や霜に注意
冷蔵庫内に食品を詰め込みすぎている場合、冷気が庫内をうまく循環できず、冷蔵庫が冷えにくくなってしまいます。冷蔵庫内に入れる食品は容量の7割程度にとどめ、食品同士の間に隙間を作ると、冷気が循環しやすくなるでしょう。
さらに、冷蔵庫内の送風口付近に霜が付着している場合も、冷気の流れが妨げられて冷えにくくなります。霜は、冷蔵庫内に入った温かい空気が冷やされ、結露した水分が凍ることで発生します。霜をつけないため、ドアの頻繁な開閉や、熱い料理を冷蔵庫に入れるといった、冷蔵庫内で急激な温度変化が起こる行動は避けてください。また、霜がついているときは、取扱説明書に従って霜取りを行うと、冷蔵庫が効率良く冷えるようになります。

庫内の温度が上昇している:扉の開閉は最小限に
冷蔵庫の冷却システムが正常であっても、何らかの原因で冷蔵庫内の温度が上昇しているため、冷蔵庫が冷えないということもあります。例えば、扉を⾧時間開けたままにしたことで、外気が入って冷蔵庫内の温度が上昇してしまうケースです。また、熱を持った食品を冷蔵庫に入れると、食品の熱が庫内の温度を上げてしまい、再び冷えるまでに時間がかかります。こうした庫内の温度上昇を防ぐには、扉の開閉を最小限にし、食品は粗熱を取ってから冷蔵庫に入れることが大切です。
そのほか、冷蔵庫内の温度が上昇する一因として、ドアのゴムパッキンの劣化により外気が侵入しやすくなっている場合があります。定期的にゴムパッキンの状態をチェックし、必要であれば交換しましょう。

放熱できていない:冷蔵庫周辺のスペースや設置場所を確認
冷蔵庫は、熱を外部に放出することで庫内を冷却しているので、冷蔵庫の周りに十分な放熱スペースがないとうまく冷却ができません。必要な放熱スペースは冷蔵庫のモデルによって異なりますが、両サイドや背面、上部にある程度のスペースが必要です。取扱説明書などを確認し、必要な放熱スペースが確保できているかをチェックしましょう。
また、冷蔵庫を直射日光があたる場所や暖房器具の近くに設置すると、周囲の温度が上昇し、冷蔵庫が効率良く放熱できなくなります。冷蔵庫の設置場所についても、適切かどうかを確認してください。

冷蔵庫が故障している:冷蔵庫と冷凍庫の両方が冷えていない場合は故障の可能性大
さまざまな可能性を検討しても冷蔵庫が冷えない原因がわからない場合は、冷蔵庫を冷やす役割を担うコンプレッサーやファンに問題があるのかもしれません。特に、冷蔵庫と冷凍庫の両方が冷えていない場合は、コンプレッサーが故障している可能性があります。このような場合は、メーカーや専門業者に修理を依頼するか、買い替えを検討しましょう。


ほとんどのメーカーでは、取扱説明書に冷蔵庫が冷えない原因や問い合わせ先などを掲載しています。冷蔵庫が冷えない場合は、説明書をチェックしてみるのがおすすめです。また、エラーコードを表示する機能があるモデルなら、コードを確認するだけで原因がわかることもあります。
冷蔵庫が冷えないときは修理や買い替えも検討を
冷却システムの故障が原因で冷蔵庫が冷えない場合、メーカーまたは専門業者に修理を依頼する必要があります。また、冷蔵庫の使用年数や状態によっては、修理ではなく新しい冷蔵庫を購入することも検討しましょう。修理と買い替えのどちらが適切かは状況次第ですが、一般的には購入から9年以内か、それ以上経過しているかがひとつの判断基準となります。
購入から9年以内の場合:修理の検討がおすすめ
購入から9年以内のモデルの場合は、修理を検討するのがおすすめ。メーカーが修理に必要な部品を保管する期間は、製品の製造が完了してから9年間です。9年を過ぎると故障してもメーカーに部品がなく、修理できない可能性があります。なお、メーカーや販売店の保証期間内なら、無料または少額で修理できることがあります。

購入から10年以上の場合:買い換えの検討を
購入から10年以上の場合は、メーカーに修理に必要な部品がなく、修理の対象とならない可能性が高まります。一般的に冷蔵庫の寿命は10年程度とされているので、購入から10年を過ぎている場合は、買い替えの検討をおすすめします。
冷蔵庫を買い替える場合、古い冷蔵庫は処分が必要です。新しい冷蔵庫を購入する小売店で、処分を依頼できるケースも多いでしょう。ただし、冷蔵庫は家電リサイクル法の対象品であるため、処分をお願いする際、リサイクル料金の支払いが必要です。また、回収・運搬料金といった小売店の手数料がかかることも覚えておいてください。ほかの選択肢としては、自治体の回収サービスを利用するか、不用品回収業者に処分を依頼する方法もあります。いずれにせよ費用が発生するため、事前に金額を確認しておいてください。


冷蔵庫のメーカー保証は通常1 年程ですが、メーカーによっては、購入時に有料で保証期間の延⾧が可能な場合もあります。また、購入店の⾧期保証に加入すれば、メーカー保証の期間を超えても、無料や少額で冷蔵庫の修理ができるので安心です。
冷蔵庫が冷えないときは落ち着いて原因を調べよう
冷蔵庫が冷えないと、故障だと考えてしまいがちですが、故障以外の原因も考えられます。例えば、ブレーカーが落ちている、食品の詰め込みすぎで冷気が循環していない、直射日光や暖房の熱があたっていて冷蔵庫の熱が逃れていないといった原因が想定されます。多くの場合は自分で対処が可能なので、冷蔵庫が十分に冷えていないと感じたら、まずは落ち着いて原因を調べてみましょう。