
冷蔵庫や冷凍庫の電気代はいくら?計算方法や節約のコツを紹介
2025.3.21[更新]
家庭の中でも、特に消費電力量が大きい家電である冷蔵庫と冷凍庫。経済産業省・資源エネルギー庁の「省エネポータルサイト」によると、夏場は家全体の消費電力量の約18%、冬場は約15%を冷蔵庫が使用しているため、冷蔵庫の消費電力量を抑えることが電気代の節約に効果的です。そこで本記事では、冷蔵庫・冷凍庫の電気代の計算方法や、電気代を節約するための具体的な方法について解説します。

Joshin web 家電担当者「マルちゃん」が、冷蔵庫や冷凍庫の電気代の計算方法や節約方法を紹介いたします!
冷蔵庫の1年間の電気代
電化製品の1年間の電気代は、下記の計算式で求めることができます。
1年間の電気代 = 年間消費電力量(kWh)× 電力料金単価(円/kWh)
電力料金単価は利用している電力会社や契約内容によって異なりますが、ここでは公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が定める目安単価の、31円/kWhを使って計算します。
例えば、年間消費電力量が300kWhの冷蔵庫の場合、年間の電気代は下記のとおりです。
300kWh × 31円/kWh = 9,300円
冷蔵庫の年間消費電力量と電気代の目安は、容量や製造年によっても異なります。具体的な違いは下記のとおりです。 冷蔵庫の年間消費電力量は、一定の容量までは容量の大きさに比例して増加しますが、400Lを超えると減少する傾向があります。
容量による違い
経済産業省の「省エネ性能カタログ2024年版」によると、冷蔵庫の容量ごとの年間消費電力と年間電気代の目安は、下記のようになっています。
■ 容量別・冷蔵庫の年間消費電力量と年間電気代の目安(2024年製造モデルの場合)
← スクロールできます →容量 | 年間消費電力量 | 年間電気代の目安 |
---|---|---|
201~250L | 305kWh | 9,455円 |
301~350L | 338kWh | 10,478円 |
401~450L | 292kWh | 9,052円 |
501L以上 | 279kWh | 8,649円 |
※電力料金単価が31円/kWhの場合
製造年による違い
省エネ技術の進歩により、最新のモデルほど冷蔵庫の年間消費電力量は小さくなります。経済産業省の「省エネ性能カタログ2024年版」によると、2016年製の冷蔵庫と2024年製の冷蔵庫の年間消費電力量と年間電気代の目安は、下記のとおり違います。
■ 容量・製造年別・冷蔵庫の年間消費電力量と年間電気代の目安
← スクロールできます →容量 | 年間消費電力量(年間電気代の目安) | |
---|---|---|
2016年製 | 2024年製 | |
201~250L | 365kWh(11,315円) | 305kWh(9,455円) |
301~350L | 396kWh(12,276円) | 338kWh(10,478円) |
401~450L | 353kWh(10,943円) | 292kWh(9,052円) |
501L以上 | 339kWh(10,509円) | 279kWh(8,649円) |
※電力料金単価が31円/kWhの場合
製造年が新しいと、同じ容量の冷蔵庫でも年間消費電力量や電気代が大幅に抑えられていることがわかります。
冷凍庫の1年間の電気代
冷凍庫の年間消費電力量も、容量や製造年によって異なります。経済産業省の「省エネ性能カタログ2024年版」によると、冷凍庫は同じサイズの冷蔵庫と比較して、消費電力量がやや大きめです。
■ 容量・製造年別 冷凍庫の年間消費電力量と年間電気代の目安
← スクロールできます →容量 | 製造年別の年間消費電力量(年間電気代の目安) | |
---|---|---|
2016年製 | 2024年製 | |
100L以下 | 223kWh(6,913円) | 177kWh(5,487円) |
101~150L | 335kWh(10,385円) | 319kWh(9,889円) |
151~200L | 423kWh(13,113円) | 292kWh(9,052円) |
201~250L | 371kWh(11,501円) | 332kWh(10,292円) |
301L以上 | 547kWh(16,957円) | 446kWh(13,826円) |
※電力料金単価が31円/kWhの場合
冷蔵庫の電気代を節約する方法
冷蔵庫の電気代は、冷蔵庫の使い方や置き方などによっても変わります。電気代を節約するには、下記のような点に注意してください。
設定温度を最適化する
冷蔵庫は一般的に、設定温度をいくつかの段階で調整できるようになっています。「弱」「中」「強」の3段階で温度設定ができる冷蔵庫の場合、電気代を抑えるには、「強」よりも「中」や「弱」に設定するほうが効果的です。季節や室温に応じて最適な温度に設定しましょう。基本的に夏は「強」、冬は「弱」に設定しますが、冷房で室温が安定している場合、夏でも「中」の設定で十分なこともあります。
経済産業省の「省エネ性能カタログ2024年版」では、周囲の温度が22℃の環境で、冷蔵庫の温度設定を「強」から「中」に変更した場合、年間で約61.72kWhの節電ができるとしています。これは電力料金単価を31円/kWhとして計算すると、約1,913円もの電気代の節約になります。

食材を詰め込みすぎない
冷蔵庫に食材を詰め込みすぎると、冷気の循環が悪くなり、冷却効率が下がってしまいます。経済産業省の「省エネ性能カタログ2024年版」によると、冷蔵庫に食材をぎっしり詰め込んだ場合と半分にした場合とでは、消費電力量が年間で約43.84kWhも違うとしています。これは電力料金単価を31円/kWhとして計算すると、約1,359円の差となります。
食材の詰め込みすぎを防ぐには、未開封の調味料や缶詰、瓶詰の食品など、常温で保存できるものは冷蔵庫から出したり、定期的に冷蔵庫内を整理したりするのが効果的です。さらに、バナナやサツマイモといった常温保存が適している果物や野菜は、冷蔵庫以外の場所で保管しましょう。

熱い料理は冷ましてから入れる
熱い料理をそのまま冷蔵庫に入れると庫内の温度が上がり、設定温度まで冷やすために余計な電力がかかってしまいます。カレーやスープなどの温かい料理は、事前に冷ましてから冷蔵庫に入れるようにしてください。

無駄な開閉を減らす
冷蔵庫のドアの開閉回数を減らすことで、庫内の温度上昇が抑えられ、冷却に必要な電力の節約が可能です。
経済産業省の「省エネ性能カタログ2024年版」では、冷蔵庫を12分ごとに25回、冷凍庫を40分ごとに8回開閉した場合と、その2倍の回数の開閉をした場合を比較すると、開閉回数が少ないほうが年間で約10.4kWhの節約になるとしています。これは電力料金単価を31円/kWh として計算すると、電気代にして約332円の差です。また、ドアを開けている時間を短くすることも大切。例えば、ドアを1回10秒開けた場合と20秒開けた場合とでは、10秒のほうが年間で約6.1kWhの節約となり、電力料金単価を31円/kWhとして計算すると約189円の電気代節約につながります。
冷蔵庫を開ける際には、あらかじめ取り出すものを決めておいてドアを開ける時間を短くし、開閉回数も減らせるように心掛けましょう。

壁から適切な距離を取って設置する
冷蔵庫を正常に稼働させるためには、本体の周りに十分な放熱スペースが必要です。スペースが不足するとうまく放熱ができず、冷却効率が低下してしまうため、冷蔵庫を設置する際には、周囲の壁や家具から適切な距離を取るようにしてください。
経済産業省の「省エネ性能カタログ2024年版」によると、冷蔵庫の上部と両側が壁に接している場合と、片側のみが壁に接している場合の比較では、年間で約45.08kWh、電力料金単価を31円/kWh とすると、電気代にして約1,397円の差が生じます。また、冷蔵庫は直射日光があたる場所や、ガスコンロといった熱源の近くに設置しないよう、注意が必要です。
なお、必要な放熱スペースの大きさは、製品によって異なります。カタログや取扱説明書に記載されていますので、購入時にしっかり確認することが重要です。

ドアパッキンを交換する
ドアパッキンがゆるんでいると、冷蔵庫のドアがしっかりと閉まらず、庫内の冷気が外に逃げやすくなります。冷却に余計な電力を使ってしまうため、ドアパッキンは定期的にチェックしてください。
簡単なチェック方法は、冷蔵庫のドアを閉める際に、紙を一枚挟んでみることです。紙が簡単に落ちてしまうようであれば、ドアパッキンがゆるんでいる可能性がありますので、交換を検討しましょう。ドアパッキンは、メーカーから取り寄せるほか、家電量販店で購入することができます。

急速冷凍機能を使わない
一部の冷蔵庫は、食品を短時間で冷凍する急速冷凍機能を備えています。この機能は、食品のおいしさを保ちながら冷凍ができる上、長期間の保存も可能になるため非常に便利です。しかし、急速冷凍は消費電力量が大きく、その分電気代も上がってしまいます。節約を考えるなら、急速冷凍機能を多用せず、できるだけ通常の冷凍機能を使用するといいでしょう。

冷蔵庫を買い替える
新しい冷蔵庫ほど省エネ性能が向上しているため、電気代の節約には冷蔵庫の買い替えも効果的です。特に、10年以上前の冷蔵庫を使っている場合、買い替えることで大幅な節約になります。例えば、容量451~500Lの冷蔵庫を比較すると、2013年製の冷蔵庫の消費電力量は年間370~410kWhですが、2024年製は約271kWh。消費電力量が約27~34%少なくなっています。年間100kWhの差は、電気代にして約3,100円の節約になります。
冷蔵庫の買い替えには初期費用がかかりますが、自治体によっては省エネ家電への買い替えに補助金を提供している場合もあります。長期的に見れば電気代を抑えられるメリットは大きいので、古い冷蔵庫を使用している方は、買い替えを検討してみてください。また、冷蔵庫の容量と消費電力量は比例しません。一定の容量を超えると、大きな冷蔵庫のほうが消費電力量を抑えられる場合もあります。冷蔵庫自体の価格は容量が大きいほうが高額になりがちですが、節電と使い勝手を重視するなら、容量の大きいモデルを選ぶのがおすすめです。
さらに、最新の冷蔵庫には、下記のような節電に役立つ機能を搭載したモデルもあります。新しい冷蔵庫を選ぶ際には、省エネ機能に注目してみるのもいいでしょう。
インバーター制御
インバーター制御は、コンプレッサーやモーターの回転数を状況に応じて変化させ、効率良く運転する技術のこと。冷蔵庫のドアの開閉状況や収納室内の温度に合わせて細かく運転を制御することで冷却効率が上がり、消費電力量を抑えられます。

自動省エネ機能
自動省エネ機能は、室内が暗くなる時間帯や長時間冷蔵庫のドアの開閉がないときなどに、自動的に省エネ運転に切り替える機能です。無駄な消費電力を抑えることで、電気代を節約します。

断熱材
断熱性の高い素材を使用することで、外部からの熱の侵入を防ぎ、冷却に必要な電力を削減した冷蔵庫もあります。特に真空断熱材は、従来のウレタンと比べて熱伝導率が約10分の1程度という、非常に優れた断熱性能を持っています。

冷蔵庫・冷凍庫の電気代は、工夫次第で節約できる
冷蔵庫や冷凍庫は、家庭の中でも特に消費電力量が大きい家電のひとつです。消費電力量は冷蔵庫・冷凍庫の容量や製造年に左右されますが、使い方次第で節約することもできます。例えば、設定温度を最適に調整したり、食材を詰め込みすぎないようにしたり、ドアの開閉回数を減らしたりといった方法が効果的です。
また、10年以上同じモデルを使っている場合は、買い替えを検討するのもおすすめです。省エネ技術は年々進化しており、新しい冷蔵庫・冷凍庫に買い替えることで大幅に電気代を節約できる可能性があります。冷蔵庫・冷凍庫の節電方法といっしょに、買い替えもぜひ検討してみてはいかがでしょうか。