
エアコンをつけっぱなしにすると電気代はどうなる?節電方法も解説
2025.3.16[更新]
「エアコンはこまめにつけたり消したりするよりも、つけっぱなしにしたほうが節電につながる」と聞いたことはありませんか。エアコンをつけっぱなしにしていて問題がないのか、本当に節電につながるのかと疑問に思っている方も多いでしょう。この記事では、エアコンをつけっぱなしにするとどうなるのか、電気代の節約につながるのかをわかりやすく解説します。エアコンをつけっぱなしにした場合のメリットとデメリットもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

Joshin web 家電担当者「K」が、エアコンの電気代についてお話します!
エアコンをつけっぱなしにするとどうなる?
夏の暑い時期には、就寝時もエアコンをつけたままにしたいという方が多いかもしれません。エアコンをつけっぱなしにした場合、電気代やエアコン本体への負荷はどうなのでしょうか。具体的な数字を交えてわかりやすく解説します。
エアコンをつけっぱなしにしたときの電気代の目安
エアコンの電気代は、「消費電力×電力量料金単価」で求められます。電力量料金単価は、地域や電力会社、契約内容などで異なるため、公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会では、2025年2月現在、目安単価を31円/kWh(税込)と定めています。 冷房時の消費電力が400Whのエアコンを例に挙げると、1時間あたり、1日つけっぱなしにしたとき、1ヵ月つけっぱなしにしたときの電気代は、それぞれ以下のとおりです。
<エアコンをつけっぱなしにしたときの電気代>
- 1時間あたりの電気代 : 400Wh×31円/kWh÷1,000=12.4円
- 1日つけっぱなしにしたときの電気代 : 12.4円×24時間=297.6円
- 1ヵ月つけっぱなしにしたときの電気代 : 297.6円×30日=8,928円
ただし、実際にかかる電気代は、エアコンの年式や機種、契約をしている電力会社、電気料金のプラン、設定温度、外気温など、さまざまな要因によって異なります。上記はあくまでも目安と考えてください。

エアコンを24時間つけっぱなしにしても故障はしない
エアコンを24時間つけっぱなしにしておくと、何らかのトラブルや不具合などが発生するのではないかと心配する方もいるでしょう。しかし、結論からいうと、24時間連続運転しても安全上の問題はありません。 大半のエアコンは、⾧時間稼働させることを想定して設計されています。そのため、24時間つけっぱなしにしても、連続稼働が原因で故障やトラブルが発生するリスクは低いといえます。

エアコンのオン・オフを繰り返すと高い負荷がかかる
エアコンを必要に応じてつけたり消したりした場合、つけっぱなしのときと比べて電気代や負荷に違いはあるのでしょうか。エアコンが最も多くの電力を消費するのは、電源が入って起動し、設定温度に達するまでのあいだです。冷房運転であれば、部屋の温度が設定温度に下がるまでエアコンはフルパワーで運転を続けます。 そのため、エアコンの電源を頻繁にオン・オフすると、つけっぱなしにした場合よりも多くの電力を消費する可能性があります。冷房運転を止めると、部屋の温度が再び上昇してしまい、再度エアコンの電源を入れるたび、設定温度に下げるためにフル稼働する必要があるからです。 また、フルパワーでの運転を繰り返すことでエアコンに高い負荷がかかり、故障リスクも増えることになります。

30分程度の外出時はつけっぱなしのほうが経済的
一時的に外出する際、エアコンをつけたままにする場合と、一度消して帰宅後に再び稼働させる場合の、どちらが電気代の節約につながるのでしょうか。 前述のとおり、エアコンの電源をオフにすると時間の経過とともに部屋の温度が外気温に近づいていきます。比較的短時間の外出であれば、エアコンをつけっぱなしにしておくほうが部屋の温度を一定に保てるため、電気代の節約につながるでしょう。 短時間の外出のたびにエアコンの電源を消していると、かえって電気代がかさむ原因となりかねません。目安として、30分程度の外出ならエアコンをつけっぱなしにしたほうが経済的です。

エアコンのつけっぱなし時に電気代を抑える方法
電気代はなるべく抑えたいもの。エアコンをつけっぱなしにする際にも、工夫次第で電気代を節約することができます。具体的には、以下の6点を押さえてエアコンを使用することが大切です。
扇風機やサーキュレーターを併用する
エアコンの冷暖房を効率良く効かせるには、部屋の空気を循環させることが重要です。冷房時の冷気は部屋の床付近に、暖房時の暖気は天井付近に溜まりやすくなります。そこで、扇風機やサーキュレーターを併用して空気をかき回すことにより、室内の温度ムラを解消できます。 扇風機の風は周囲に広がりながら届きますが、サーキュレーターは風をより直線的に遠くまで届けることが可能です。特に広い部屋では、風を送る能力が高いサーキュレーターを併用することで、エアコンの効率を高められるでしょう。 なお、扇風機やサーキュレーターは、冷房時にはエアコン下に背を向けるように設置し、暖房時にはエアコンの反対側に向かい合うように設置すると効果的です。

エアコンの風量は自動にする
エアコンの風量は「自動」に設定したほうが、冷暖房を効率良く利用できます。風量を一定に設定していると部屋を冷やしすぎたり、暖めすぎたりするケースが少なくありません。エアコンの風量を自動に設定すると、エアコンの温度センサーが部屋の温度を検知して、適切な風量に調整してくれます。設定温度に達した後は風量が最小に調整されるため、消費電力を必要最小限に抑えることが可能です。

エアコンの室外機の前をふさがない
エアコンを効率良く使用するには、室内機だけでなく室外機にも気を配りましょう。室外機の吹き出し口が物や壁などでふさがれていると、放出した温風を再び吸い込み口から取り込んでしまうことになり、冷房効率が低下するおそれがあります。室外機の周囲には物を置かないようにし、雑草などが生い茂っている場合にはきれいに刈り取っておきます。また、室外機のすぐ前に壁や塀などがある場合には、室外機の設置場所を変更するのもひとつの方法です。

エアコンのフィルターをこまめに清掃する
エアコンの室内機のフィルターをこまめに清掃することも、電気代の節約に効果的です。エアコンは、室内の空気を取り込んで熱交換器で温度を調整し、再び吹き出しています。 このとき、室内を漂うほこりやカビ菌などでエアコン内部が汚れないように、吸い込んだ空気をフィルターに通して汚れを取り除いているのです。ところが、フィルターを清掃しないでいると、ほこりなどで目詰まりしてしまい、うまく空気を取り込めずエアコンが余計な電力を消費することにつながります。 電気代節約のためにも、2週間に1回はフィルターを清掃しましょう。フィルターをきれいにすることは、エアコンから不快なにおいが発生するのを防ぐ効果も期待できます。また、清掃をしてもフィルターの汚れが落ちないときや経年劣化で破損している場合は、エアコン用フィルターを交換してください。

部屋の保温・断熱の工夫をする
エアコンの冷暖房効果をより高めるには、部屋を保温・断熱する工夫も大切です。冷房運転をしていても、部屋に直射日光が差し込んでいたり、外気が入り込んできたりすると、部屋の温度が下がりにくくなってしまいます。 例えば、カーテンを断熱性や遮光性の高いものに交換したり、窓ガラスに遮熱シートを貼ったり、直射日光が入らないようにすだれをつけたり、植物で窓や壁を覆うグリーンカーテンを設置したりすることで、部屋の温度が上がりにくくなります。エアコンによって温度を下げることだけでなく、部屋の温度が変化しにくいように工夫しましょう。
※カーテンの測り方&豆知識の記事はこちら

エアコンを最新機種に買い替える
エアコンを長年使い続けている場合は、最新機種に買い替えることで電気代の大幅な節約につながる可能性があります。エアコンの性能は年々進化しており、省エネ性能の高い機種も数多く販売されています。省エネタイプのエアコンに買い替えることにより、これまでと同様にエアコンを使用していても、より少ない電力で冷暖房の効果を得られるでしょう。 一般的に、エアコンの耐用年数は約10年です。ただし、使用状況や使用頻度によっては、10年未満でも買い替えたほうが良い場合もあります。エアコンのお手入れをしても冷暖房の効きが良くないと感じるようなら、最新機種への買い替えも検討してみてはいかがでしょうか。

エアコンをつけっぱなしにするメリット
エアコンをつけっぱなしにするメリットは、電気代を抑えられることだけではありません。電気代以外の具体的なメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
暑さや寒さの不快感がなくなる
エアコンを常に稼働させておけば、室内の温度を一定に保つことができます。そのため、室内で暑さや寒さを感じにくくなり、快適に過ごせる点がメリットです。 高温・低温状態の室内で過ごすのは体に負担がかかるだけでなく、気持ちの面でもストレスになりかねません。エアコンをつけっぱなしにしておくことで、こうした不快感を低減できます。

夏場の熱中症を予防できる
夏場にエアコンをつけっぱなしにしておくことは、熱中症の予防にも効果的です。暑い時期には室内でも熱中症のリスクが高まることが知られています。早朝から昼間にかけて徐々に気温が上がっていくと、室温が高くなっていることに気づかない場合もあるでしょう。 室温を28℃以下に保つことにより、熱中症のリスクを抑えることができます。熱中症対策としてエアコンをつけっぱなしにすることは、大きなメリットのひとつです。

快適に眠ることができる
夜間もエアコンをつけたままにしておくことで、暑さや寒さに影響されることなく快適に眠ることができます。温度だけでなく湿度も睡眠に影響を与えるため、蒸し暑い季節にエアコンを稼働させておくことは湿度を下げる意味でも有効でしょう。 睡眠の質が低下すると、睡眠時間を確保しても疲れが十分に取れない、日中に眠くなってしまうといったトラブルが起こりがちです。夏場は室温を28℃程度に保てるようにエアコンを稼働させておくと、睡眠の質を維持しやすくなります。

エアコンをつけっぱなしにするデメリット
エアコンをつけっぱなしにすることで多くのメリットを得られる反面、デメリットもあります。メリットとデメリットの両面を理解した上で、エアコンをつけっぱなしにしておくべきか判断する必要があるでしょう。エアコンをつけっぱなしにするデメリットとして、以下の3つが挙げられます。
エアコンの寿命が短くなる可能性がある
エアコンをつけっぱなしにすることで稼働時間が⾧くなるということは、コンプレッサー(圧縮機)やファンモーターなどの部品の劣化を早めることにつながりかねません。結果としてエアコンの寿命が短くなり、早期に買い替える必要に迫られることも想定されます。 また、エアコンの稼働時間の⾧さは、フィルターにほこりなどが溜まりやすくなる原因にもなります。定期的な清掃を徹底しないと、エアコンが本来の性能を発揮できなくなるでしょう。

エアコンの自動掃除機能が使用できない
自動掃除機能が搭載されているエアコンの場合、常に冷暖房を使用していると自動掃除機能を活かせません。自動掃除機能は、基本的にエアコンの冷暖房がオフになった際に作動するためです。 エアコンの自動掃除機能を有効活用するには、1ヵ月に2回程度は冷暖房をオフにする時間を設けるのがいいでしょう。エアコン内部に汚れが溜まる前に、自動掃除機能を活用してきれいな状態に保つことが大切です。

室内の換気をする必要がある
エアコンをつけっぱなしにする場合、定期的に部屋の換気をする必要があります。エアコンは室内の空気を取り込んで温度を調整し、再び室内に吹き出す仕組みです。このため、室内の空気が循環することになり、定期的に外気を取り入れなければ部屋の空気が汚れた状態となってしまいます。 目安として、1時間に2回程度、5~10分程窓を開けて換気をしましょう。エアコンの中には空気清浄機能を搭載したモデルもありますが、これらの機能は空気中のちりやほこり、菌などを除去するだけです。呼気に含まれる二酸化炭素を減らしたり、酸素を取り入れたりする効果はないため、⾧時間換気をしないと「空気が薄い」状態になってしまいます。なお、現在は換気をしながら冷暖房ができる機能を備えたエアコンも登場しています。

エアコンはつけたり消したりしないほうが節電になる
エアコンをつけっぱなしにすることで、電力を消費して余計な電気代がかかってしまうのではないかと、懸念する人も少なくないでしょう。しかし、実際には室温をほぼ一定に保つほうが、エアコンの電気代は節約できます。室温が上がったり下がったりすると、エアコンは無駄な電力を消費します。電気代を節約しようとエアコンを頻繁にオン・オフすると、反対に電気代が高くなる可能性があるのです。 特に夏季は熱中症のリスクも高まるため、エアコンを常に稼働させておくのがおすすめ。今回紹介した電気代を抑える工夫も参考にしながら、エアコンを効率良く活用してください。